介護職による高齢者虐待が増加している環境要因とは?

身体拘束・高齢者虐待

介護職による虐待が増えているのはなぜなんでしょうか?考えられる要因としてはどんなことがありますか?

こんな疑問を解決します

この記事の内容

介護職による高齢者虐待が増えている環境要因

  • 利用者の重度化
  • 職員の経験や知識不足

介護職による高齢者への虐待が増えています。

そして、これからもさらに増えていくと考えられます。

今回の記事は、介護職を取り巻く環境の変化によって、高齢者虐待が増加する要因を書いていきます。

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老人ホーム(介護施設)の利用者の重度化

今後、老人ホームなどの介護施設で生活する要介護高齢者は、重度化していくと考えられます。

その理由は次の通りです。

 

  • 要介護高齢者の増加
  • 入院可能期間の短縮

この2点を掘り下げていきます。

要介護高齢者の増加

要介護高齢者が増えると・・・・

  • 重度者の介護保険サービス利用者が増える
  • 介護職員の負担が増える
  • 虐待のリスクが高まる

近年、高齢者は少しずつ増加しています。

そして、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上になるため、一気に増加します。

いっぽうで、総人口は年々減少しているため、75歳以上の人口が占める割合は大きくなっていきます。

高齢者が増えるのと比例して、要介護高齢者も増えていきます。

受け入れる施設には限りがあるため、今よりもいっそう、要介護度の軽い方は在宅での生活を、そして重度者のみ施設入所が可能になっていくと考えられます。

入所者は、日常生活のほとんどで介助が必要なADLが低い方か、身体は元気でも深い認知症により対応が困難な方かのいずれかとなります。

つまり、施設での介護は、さらに手間と時間がかかり、むずかしくなっていくと予想されます。

2015年からは特別養護老人ホームに入所できる条件として「要介護3以上」が設けられました。

それでも、現在も特養に入所できない方はたくさんおられるのが現状です。

入院可能期間の短縮

要介護高齢者が増えると・・・・

  • 入院患者が増える
  • ベッドを回転させるため早期の隊員が必要となる
  • 重度の介護保険サービス利用者が増える
  • 介護職員の負担が増える
  • 虐待のリスクが高まる

高齢者が増えると、病気を患う人も増えていきます。

病気になれば入院が必要となり、入院患者が増えていくことになります。

しかし、病院のベッド数にも限りがあるため、治療が済んだ人は早期に退院してもらわなければ、新しい患者に対応できなくなります。

そうなると、これまでは病院にいられた状態でも、介護施設や在宅に生活を移さなければならなくなり、介護保険サービスの利用者が重度化します。

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職員の経験や知識不足

虐待の要因としてもっとも多いのは「介護職員の知識、技術の不足」となっています。

要介護高齢者が重度化するいっぽうで、介護保険サービスを提供する側の職員の質は低下しています。

その理由は次の通りです。

  • 介護職の人気の低さ
  • 介護職の定着率の低さ

掘り下げていきます。

介護職の人気の低さ

介護職の人気が低いと・・・・

  • 新たに介護職員が増えない
  • 介護職を選ぶ人の質も低下する
  • サービスの質が低下する

介護職の人気は年々低下しているように感じます。

きつい、汚い、給料安い、の3Kの仕事として、特に若い人から敬遠されています。

要介護高齢者が増え、施設も増えている中、介護をしようとする人材は減っているため、2018年の介護職の有効求人倍率の全国平均は3倍以上となっています。

これは、3つの会社が求人を出しても、そのうちの1社しか採用できない倍率です。

逆に言うと、1人の求職者に3社が求人を出している状態で、選べるような環境にあるということです。

これまでの流れとして、景気が悪くなると、安定している介護に目を向ける人が多くなるので、そうなれば介護をしようと考える人材は増えるかもしれません。

ただし、日本全体の景気としては、オリンピック、大阪万博あたりまで悪くならないと考えられるので、介護の深刻な人材不足はまだしばらく続きそうです。

新しく介護の仕事をしようと思う人が少ないということは、単純に優秀な人材が入ってくる可能性も低くなるということです。

優秀な人材が少ないということは、介護サービスの質が低下することにつながります。

介護職の定着率の低さ

離職する人が多いと・・・・

  • ある程度成長すると退職してしまう
  • 新人を雇用し、再び育てる必要がある
  • サービスの質が低下する

介護は離職率の高い仕事となっています。

○宿泊業、飲食サービス業

○生活関連サービス業、娯楽業

○教育、学習支援業

に次ぐ4番目の高さです。

人材が定着しないということは、介護サービスの質の低下を招きます。

ある程度仕事を覚えて、知識や技術が増えてきた人が退職してしまうと、その代わりに新しく人を雇用する必要がありますよね。

そのスタッフが未経験者であれば、チーム全体の知識、技術は低下します。

入職してある程度成長しては退職し、また新しい人材が入ってくる、という環境では、なかなか全体の知識、技術は底上げされていきません。

介護の人材不足

人材が不足すると・・・・

  • 慢性的な人材不足
  • 介護職員のモチベーション低下
  • サービスの質が低下する

介護の業界は慢性的な人材不足となっています。

平成29年度の介護労働実態調査では、4年連続で介護人材の不足感が悪化しているという結果になりました。

「介護人材が不足している」と回答した事業所は、全体の66.6%にのぼります。

人材が不足している中では、知識や技術を高める機会やモチベーションを維持するのがむずかしくなることが考えられます。

仕事に追われてしまう状態ですね。

ですから、介護の質が向上していかないのです。

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まとめ

介護職による高齢者虐待が増加している環境要因について書いてみました。

これからさらに要介護高齢者が増えていき、施設利用者の重度化が進んで行くであろうと考えると、虐待において介護職の置かれている環境はますます厳しくなっていくのではないでしょうか。

というのも、虐待のもっとも多い要因としてあげられているのが「介護職の知識、技術の不足」だからです。

知識、技術が向上していかないと、高齢者虐待を減らすことはできない、ということになります。

効率的な職員教育がより必要になっていくということですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

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