これから介護職をしようかと悩んでいる人の中には、次のようなイメージによって二の足を踏んでしまう方が多いかもしれません。
- 給料など雇用面での待遇が悪い
- 体力的、精神的にきつい
- 不潔な仕事内容
- 社会的な地位が低すぎる
- プロ意識が低い
- ストレスが溜まりやすい
これらのイメージは、平成26年に長崎県福祉保健部福祉保健課が336名の県民に対して「介護の仕事のイメージについてのアンケート」を行った結果です。
今回はこれらのイメージを払拭し、介護の仕事に足を踏み出していただけたらと思い、介護職に転職するべき3つの理由を上げていきたいと思います。
他の仕事と比べてとびぬけてストレスのある仕事ではありません
世間で言われている介護職のイメージは、アンケートの結果にもあるように「きつい、汚い、給料安い」の3Kですが、実際は他の仕事よりも大変じゃないことも多いです。
介護職には数字的なノルマがない
たとえば、ストレスの高い仕事とされていますが、営業の仕事だとノルマがあって達成できないと給料に影響が出たり、上司からきついお叱りを受けたりします。
私は前職で服飾雑貨の店長をしていました。小売りのお店ではたいてい前年比とといって、前年の同じ月と比較して売り上げがどうだったかという成果の評価を受けます。
また、毎年売り上げ目標を設定せねばならず、達成できないと会社での立場が危うくなってしまいます。
他の店長が売り上げを達成して表彰されている中、自分の店は売上目標が達成できず、みじめな思いをすることにもなるので、なんとか避けたいことですよね。
自尊心を保つためにも、給料を上げるためにも、重要なポイントになります。
しかし、介護職にはそういったノルマがありません。
ケアプランという各利用者の自立支援に向けた達成目標はありますが、達成できなかったからといって上司に怒られるわけでもなく、また給料に影響が出るわけではありません。
全体的に、いつまでに必ずこれをしなければならない、ということが少ないです。
介護職がストレスが溜まりやすい職業というのも誤解
認知症の利用者とのかかわりでストレスがたまる、とか、人手不足で負担が大きい、という意見もあります。
しかし、ショップの店員をしていると、やっかいな客というのはいらっしゃいます。
そもそも「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」と声をかけても、無表情で知らんぷりのお客さんも少なくないでしょう。
飲み屋などお酒を出すお店だと、酔っ払いに理不尽にからまれて嫌な思いをすることもあります。
それらと比較して認知症の利用者とのかかわりが、特別ストレスのかかることではない、と捉えることもできますよね。
また、人手不足に関しては、飲食店もなかなかのものではないでしょうか。
先日も某ファミリーレストランに行くと、平日の昼間なのにほぼ満席のお客さんが座っており、予想外の繁盛に店員がひとりで右往左往していました。
注文や料理の提供、レジの対応などに遅れが生じると、クレームに発展したり、直接言わないまでも悪い評判がばらまかれたりと、その店の売り上げにすぐに影響が出かねません。
今ならインターネットの口コミで書かれて大炎上することもありますし。
そういったプレッシャーの中で働いていると考えると、介護職が特別ストレスのかかる仕事かどうか、怪しくなってきます。
介護は本当に好きじゃないと勤まらないという誤解
「介護の仕事は好きじゃないととてもじゃないけれど勤まりませんよね」こんな話しをよく聞きます。
「好き」というのが何を指しているのかがぼやけているのですが、たとえば「お年寄りが好き」とか「人とかかわることが好き」という意味かなと推測しています。
でも、実際は高齢者介護の仕事を最初から好きで始めた人の方が少ないように感じます。
現に、高校卒業後に介護職を目指してわざわざ専門学校に通うなどという志の高い人も激減しています。
生徒の減少は、専門学校を卒業したら、介護福祉士の資格が自動的に取得できなくなったという制度的な理由も影響していますが、それだけではないようも思います。
私自身も志の高い部類ではありませんでした。
正直に言うと、介護職としての志など仕事をする前までは皆無でした。
むしろ介護の仕事を全力で避けたいと思っていたぐらいです。
しかし、結果的に介護の仕事が大好きになりましたし、今はとてもやりがいを感じています。
まずは飛び込んでくることが大切なのではないでしょうか。
悩んでいるならまずはやってみる、そんな精神でいいと思います。
介護職は専門職ですが、始めるハードルが低いです
その理由として、まず介護の仕事は専門職にも関わらず、最初のハードルはかなり低いものとなっています。
介護の資格の登竜門として「初任者研修」がありますが、ハローワークの公共職業訓練や求職者支援訓練を活用すれば、研修費用が無料になる上に、お金をもらいながら取得することもできます。
その他にも、長期間その事業所で働くことが前提にはなりますが、研修費用を負担してくれて、介護の仕事をしながら受講できるところも増えています。
仮に実際に働いてみて自分に合わなくて辞めるにしても、負担しなければならない費用は7万円程度です。
資格は現在の制度であれば一生使えるわけですし、研修の内容もいずれ訪れるであろう自分の親や兄弟、パートナーの介護に生かせると考えれば無駄にはなりません。
私の時代は初任者研修の資格の前身である「ヘルパー2級」の資格を取得することで介護の仕事を始めることができました。
「お金を出せば取得できる資格」というのと、これからは高齢者が増えるということで、将来の安定のために周囲の人に勧められて、渋々受講しました。
しかし、受講しながらもまったく介護の仕事をするつもりがなく、資格取得は安定を願う親を安心させるための目的に過ぎませんでした。
ところが、研修が終了する直前になって、妹が働く介護施設からお声がかかり、気が付いたら介護の仕事をすることになっていたのです。
その段階になって初めて「介護の仕事でいいのか?」と考えた次第です。
入口がどうであっても、介護にやりがいを見出すことはできます
その時の結論としては、介護の仕事の先にはケアマネジャー(介護支援専門員)など、ステップアップしていけば介護の現場で働く必要がなくなること。
さらにはそれなりの給料ももらえて生活できるということで、だったら、ケアマネジャーの資格が取得できる5年間は下働きと考え、介護の仕事を頑張ってみよう、というものでした。
それから17年が経つわけですから、縁とは恐ろしいものだなと思います。
スタートがこのような状況でも、今は介護に対して情熱を燃やしています。
入り口がどうであれ、本気で介護の仕事をすれば、やりがいは見えてくるとうことですね。
まずはやってみることが大切です。実際に自分の目で見て、経験するのが良いのではないでしょうか。
人手不足だからこそ昇進がしやすいのでチャンスです
介護の仕事にチャレンジするメリットは他にもあります。
人手不足で人が敬遠する職種だからこそのチャンスが転がっているのです。
介護の仕事を本気でやれば、他の職業よりも早く出世できるチャンスが十分にあります。
出世して管理職になれば、サービス形態や事業所次第で夜勤がなくなり、現場で排せつ介助をする機会もなくなります。
当然給料も上がり、十分に生活ができるようになるのです。
もしイメージ通り、優秀な人が介護の仕事を敬遠するのであれば、競争するライバルは少ないということになります。
イメージが悪く、人手不足の状況が進めば進むほど、出世するチャンスも拡大するということですね。
私は介護職をパートから初めて、管理職になるまで10年間かかりました。
しかし、今は施設や事業所の数も爆発的に増えているため、5年ぐらいあれば管理職になることが十分に可能です。
社会的なイメージが気になるのであれば「そのイメージを自分が変えてやろう」というぐらいの気持ちでやってしまえばいいのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、本気でこの仕事に向き合えば、それぐらいの情熱はおのずと芽生えるのではないかなと思います。
ただし、デメリットも書いておくと、管理職になると当然人の管理が必要になります。
人材不足が顕著な業界ですから、人の問題で悩まされることは少なくありません。
まとめ
介護職の悪いイメージが先行していますが、世間で言われるほどとびぬけて悪いわけではないですよ、ということと、自分次第で仕事の内容はどうとでもなる、ということを書きました。
また、人手不足の今だからこそチャンスである理由も書いてみました。
2025年に団塊の世代の方がすべて後期高齢者となり、ますます高齢者は増えていきます。
それに伴って老人ホームや介護サービス事業所も増えていくでしょうから、今がチャンスと思って飛び込んでみてください。
もしダメでも大して損はないと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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