高齢者に介護サービスを提供するにあたって、適切な身だしなみとはどういうものでしょうか。
制服があるところも、髪や爪、履物については職員個人の倫理感が求められます。
良いサービスを提供するためにも、周囲からの信頼を得るためにも、身だしなみは重要です。
ちなみに、人は見た目にもっとも影響を受ける生き物で、視覚情報が55パーセントを占めるとされています。
見た目が相手にもたらす影響は全体の半分以上を占める、ということをあらかじめ認識しておいてください。
また、私たちがかかわる利用者や家族は、高齢の方が多くなります。
その方々の価値観によって判断されるということを理解しておかなければなりません。
身だしなみに求められるものは?、おしゃれの違いとは?
衣服を含めた外見を考える際、「身だしなみ」と「おしゃれ」という基準があります。
「あの人の身だしなみはきちんとしている」というのと「あの人はおしゃれな人よね」という場合の基準はちがいますよね。
身だしなみには、相手が気持ちよくなるためのもの、という基準があてはまります。
対しておしゃれは自分が気持ちよくなるためのものです。
周囲からは流行性やセンスが求められます。
仕事に求められるのは身だしなみ
仕事で求められるのは、お客様が気持ちよくサービスを受けられるために必要ないでたち、ということになります。
ですから、自分が気持ちよくなったり、楽しむための「おしゃれ」ではなく、相手の気持ちを重んじた「身だしなみ」のものさしで考えなければなりません。
プライベートでの格好と、仕事での恰好を明確に分ける必要があるということです。
介護職でいうと、清潔感や利用者の安全、周囲から見た時に信頼を得られるような恰好をかどうかが、身だしなみを考える際の基準になります。
求められる身だしなみは職業によって異なる
身だしなみを考える際に注意が必要なのは、職業によって求められるものがちがうということです。
たとえば、若い女性向けのアパレルショップに行ったとしましょう。
そこには、最先端の流行に合わせたアイテムが並んでいます。
店に入ろうかと思ったら、店員さんが無地のポロシャツにデニムパンツのだとどうでしょうか?
店員さんのセンスを疑ってしまいますよね。
きっとこの店に入ることを躊躇するかもしれません。
少なくとも、この店員におすすめの商品を聞かないと思います。
若者向けのアパレルショップに必要な身だしなみは、最先端のおしゃれな服装を着こなすことなんです。
そうすることで、お客様が「自分もあんなふうにコーディネートしてもらいたい」と考えたり、自分が着たときのイメージを重ねたりして、商品を購入しやすくなります。
つまり、おしゃれな服装が、お客様にとって気持ちよく買い物ができることにつながるわけです。
介護職が身だしなみによって提供しなければならないものとは?
介護のお客様は、介護を必要とする利用者だけではありません。
そのご家族もお客様です。
なぜなら、介護にはご家族の支援も含まれるからです。
介護職は身だしなみで、利用者とご家族に次のことを提供しなければなりません。
安心感と信頼感
介護サービスは生活を支援するサービスになります。
サービスの性質上、自宅を訪問したり、生活全体にかかわるプライバシーの高いエリアに入ることになります。
そこで求められるのは、迎え入れる相手の安心感や「きちんとした人に介護してもらっている」という信頼感です。
精神的な負担の軽減
直接会話をしなければその人の中身はきちんとわかりません。
ではそれまでの間、なにで人を判断するかというと「見た目」です。
昔と比較するとずいぶんましになったとはいえ、依然としてまだ介護サービスを利用することに、うしろめたさを感じる人もおられます。
ご近所の目が気になるのです
きちんとした身だしなみの職員が訪問するのと、そうではないのとでは、近所の方の印象も違ってくるでしょう。
サービス利用についてのハードルも下がります。
利用者の安全
介護職は利用者の身体に直接触れることの多い仕事です。
サービスを提供するにあたって、利用者の安全を守ることができる恰好でなければなりません。
利用者の安全に危害が及ぶような要素は排除する必要があります。
介護職に必要な身だしなみ
介護職が身だしなみによってお客様に提供しなければならないことが分かったところで、具体的にどのような恰好が必要かをまとめていきます。
衣服や履物
利用者の身体に密着する仕事である介護職に求められるのは、清潔感です。
清潔感のある服装と聞くと、どんな服装が浮かんできますか?
たとえばナースなど、医療系の服装は清潔感が重んじられています。
また、食べるものを提供する飲食店の店員も、清潔感のある服装になっています。
介護職も同じような清潔感を求められています。
その他に、介助をした際に利用者の身体を傷つけないよう、なるべくベルトやファスナー、鉄のボタンなどの付いていない服装が望ましいです。
履物については、かかとのある動きやすいものを選んでください。
利用者の安全を守るために、急な動きをしなければならないこともあります。
サンダルやクロックスだと、急な動きに対応しづらくなります。
スニーカーがベストです。
爪や装飾品(結婚指輪を含む)
利用者を傷つけないためにも、清潔感のためにも、爪は短く切りましょう。
爪が伸びていたために、支援中に利用者の肌を傷つけてしまったという事故が起こるからです。
これは完全な介護ミスです。
防げる事故ですので、必ず爪を切るようにしてください。
装飾品についてですが、指輪、ピアス、ネックレスについては外しましょう。
これらも利用者の身体を傷つける恐れがあります。
よく結婚指輪だけはOKという施設や事業所がありますが、利用者の身体を傷つける恐れ、という点は変わりませんので、外した方が良いでしょう。
髪形やひげ
髪の長い女性は束ねるようにしてください。
清潔感を感じますし、支援の際に利用者の顔に髪がかかってしまう、ということを防ぐことができます。
髪の毛が顔にかかるのはとても不快ですので、必ず束ねるようにしてください。
また、前髪が目にかかるほど伸びている状態では、相手に暗い印象を与えます。
目が見えるように、髪形に注意してください。
髪の毛の色については、ひと昔前は髪の毛を染める=不良、というイメージでしたが、今は茶髪も珍しくなくなりました。
金髪になると行き過ぎですが、少し髪の色を明るくする程度なら問題ないでしょう。
香り
香りについても注意が必要です。
香りの好き嫌いは個人差があるので、香水は控えましょう。
また、タバコを吸わない人にとって、タバコの臭いはかなり不快なものになります。
たまに車の中など閉鎖的なところでタバコを吸い、体中からにおいをまき散らしている方がいますが、くれぐれも注意してください。
まとめ
今回は身だしなみについて書かせていただきました。
プロとして仕事をする以上、適切な身だしなみで働くことは最低条件です。
どれだけ技術があり、思いやりがあったとしても、見た目がきちんとしていないとマイナスとなってしまいます。
勤務中については、最大限パフォーマンスを発揮できる身だしなみを心がけてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント