とても楽しい研修もあれば、時間がすごく長く感じる退屈な研修がありますよね。
中には「配られた資料を読んでればいいんじゃないの?」と思うような内容であったりします。
研修の質は講師の良し悪しによって大きく変わりますよね。
せっかくその場に集まって、講師と受講生が時間を共有するわけですから、読んでいるだけで終わるような研修は意味がないなと感じます。
受講生にしたら貴重な時間を割くわけですから、受けていて楽しく、また明日から使えるような内容のほうが良いに決まっています。
今回の記事は、いろいろな講師の先生から学ばせていただく中で、私が講師として心がけていることを書いていきます。
研修の主役は受講生
まず、研修の主役は講師ではなく、受講生であることを肝に銘じておかなければなりません。
主役を受講生として考え、研修の内容をつくる際のポイントは次の通りです。
- 受講生が求めるものよりもプラスアルファが必要
- 身近なこととして感じられる要素をいれる
- おみやげをつくる
この3点を掘り下げていきます。
相手が求めるものよりプラスアルファが必要
あらためて、研修の主役は受講者です。
講師は前に立って、多数の受講生に対して話しをするため、時に自分が主役であるように勘違いしてしまいます。
しかし、受講生がいなければ研修は成り立ちませんし、講師も必要ありません。
ですから、講師は自分が話したい内容ではなく、受講生が知りいた内容を話さなければなりません。
ただし、それだけでは不十分です。
研修が知りたい内容レベルで終わってしまうと「なるほどね」で終わってしまうからです。
興味をさらに持ってもらうためには、プラスアルファの要素が必要です。
つまり、今まで考えたことがなかった「新たな気づき」です。
「そんな考え方があるのか」であったり「そんなふうに見ればいいのか」といった、受講生が新鮮に感じたり、驚きを感じるような内容をいれることができれば、研修により魅力を感じてもらえることができます。
身近なこととして感じられる要素をいれる
研修に興味を持ってもらうためには「内容が自分にも関係がある」と感じてもらわなければなりません。
なぜなら、自分に関係がないことがらを学ぶ気にはなれないからです。
施設における研修の多くは介護保険指定基準で定められていて、開催しなければなりません。
そして、受講生であるスタッフは強制的に参加しなければなりません。
ですから、目的意識を持って主体的に参加するスタッフは少ないのが現実ではないでしょうか。
しかし「自分にも降りかかってくるかもしれない」と感じることができれば、受講する気持ちも変わってきます。
身近な情報であったり、受講生が関与する可能性もあるんだ、ということを伝える内容を盛りこむことができれば、主体的に話しを聞いてくれるようになります。
たとえば「身体拘束・虐待の研修」で考えると、全国的に何件の虐待が起こっている、と伝えるだけでなく、その地域でどれぐらいの虐待が起こっているのか、それが全国的に見て多いのか、少ないのか、といった情報を付け加えると、とらえ方が変わってきます。
受講生がかかわっている地域が、全国的に虐待の多い地域であると数字で示すことができれば、より身近に感じることができます。
受講生が他の人に話せるおみやげをわたす
「研修が終わったら内容がほとんど頭に残っていない」ということがよくありませんか?
それは、自分ごととして「この内容を実践すれば良くなる」と感じることができていないからです。
そういったことを防ぐためには、持ち帰った後に「誰かに話しをしたい」と思えるようなネタを作っておくことが効果的です。
私は「おみやげをわたす」と表現しています。
たとえば「視覚障害者でもわかるように、お金にはさわったらわかる印がついている」というネタだと、研修が終わってからも身近な人に話したくなりますよね。
受講生がその話しをする際に、どこでこの情報を知ったか、ということもあわせて話すでしょうから、研修の内容をアウトプットする機会となります。
人はアウトプットすることで、より記憶するようになります。
ですから、人に話をするということがとても大切なのです。
内容をつめこみすぎない
充実した研修にするために、ついあれもこれもと伝えたくなってしまいますが、あまり内容をつめこみすぎると逆効果になります。
研修は「なにを伝えるか」ではなく「どう伝えるか」が重要となります。
あまりに内容をつめこみすぎると、伝えることに意識がいきすぎて、受講生に伝わっているかどうかが二の次になってしまいます。
内容に追われるのではなく、丁寧に伝えるために時間を割くことが大切です。
講師として必要なのは、研修の中で受講生の反応を見る余裕が持てるかということです。
研修に自信がなかったり、緊張してしまうと、つい受講生を見る余裕を失ってしまいます。
受講生の理解度を見ながら研修を進めていかなければ、講師のひとりよがりになってしまいます。
場数が必要になる部分ですが、意識して受講生の様子にアンテナを張るようにしましょう。
アイスブレイクが研修を決める
研修の質を決めるのはアイスブレイクです。
アイスブレイクというのは、文字通り氷を解かすように研修の場の空気をあたためることです。
冷えたままだと受講生は積極的に発言したり、行動したりすることができません。
へたするとリアクションすらないような研修になってしまいます。
そうなると内容も頭に入っていかなくなります。
勉強をする際に大切なのは、受講生が「楽しい」という感情をともにすることです。
人は「楽しい」と感じることに対しては積極的に行動し、頭が働くようになります。
そのための地ならしをしていくことがアイスブレイクで、その良し悪しが研修の質全体に影響をおよぼします。
講師を身近に感じてもらう
まず、研修の冒頭で講師は自己紹介をしますよね。
その時に、受講生が講師を身近に感じられるような内容を入れておくとよいです。
たとえば、地元で有名な場所、お店、食べ物の話しをしたり、自分の趣味を話したりと、情報が多ければ多いほど共通点を見つけやすくなります。
講師との共通点が見つかると、受講生は講師を身近に感じることができます。
身近に感じると、講師の話を聞きやすくなるのです。
身体を動かす機会をつくる
研修の際、講師が一方的に受講生に話す形になると、受講生は集中力が持ちません。
座ったまま長時間過ごすのは、けっこうつらいことです。
身体を動かすことで、頭も働くようになります。
ですから、アイスブレイクの際に、身体を動かすようなことを取り入れるのです。
たとえば、受講生全員が順番に自己紹介をしてまわるなど、いっしょに勉強する仲間と交流をはかりながら身体を動かすような機会をつくると、場の雰囲気があたたまり研修が進めやすくなります。
まとめ
受講生のかたが研修に前向きに取り組み、意味のあるものにするために必要な講師の心がけについて書きました。
一番重要なポイントとしては、受講生に「楽しんでもらう」ということです。
「研修はたいくつでつまらないもの」というイメージを持っている人が少なくありませんが、講師の進め方によって楽しくできるのです。
そこが講師の役割でもっとも重要な部分です。
どれだけ中身の濃い研修をしても、受講生が聞く気にならなければまったく意味がありません。
それでは講師の自己満足になってしまいます。
いかに受講生のことを考えて、場の雰囲気をつくれるかが、講師としてもっとも重要です。
最後までよんでいただき、ありがとうございます。
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