ダニエル・ゴールマンが提唱する6種類のリーダーシップスタイルのうちのひとつ、強制型リーダーシップについて書いていきます。
強制型リーダーシップはクルト・レヴィン氏が専制型リーダーシップとして位置付けているスタイルとほぼ同じです。
リーダーなどの権力を持つ立場になって、勘違いした人が取りやすいリーダーシップスタイルであると言えます。
間違って使い続けると、チームを崩壊させてしまう可能性が高いので、注意が必要ですね。
この記事の内容
強制型リーダーシップの特徴とは
強制型リーダーシップの特徴をまとめると次のようになります。
- 権力や圧力によってチームをまとめる
- リーダーが絶対的存在である必要がある
- 危機的状況に向いている
掘り下げていきます。
強制型の特徴①:権力や圧力によってチームをまとめる
強制型リーダーシップは、権力者であるリーダーが、その立場を利用してメンバーに権力を行使し、圧力によって行動させるリーダーシップスタイルです。
メンバーはリーダーの指示に従い、指示の通りに行動することが求められます。
チームの方針はすべてリーダーによって決められ、メンバーの行動はリーダーの意向に沿うものでなければなりません。
メンバーはリーダーに意見したりアイデアを出すといった立場になく、指示に従って即座に行動することが求められます。
強制型の特徴②:リーダーが絶対的存在である必要がある
強制型リーダーシップでは、リーダーはチームの中で絶対的な存在として位置付けられる必要があります。
その立場によって強制的、圧力的なリーダーシップを発揮するからです。
たとえば、リーダーが黒いと言えば、たとえそれが白くても黒いと受け入れなければならないということです。
逆に言えば、強制型リーダーシップが機能するためには、リーダーにはメンバーが従うほどの圧倒的な能力やカリスマ性が求められます。
強制型の特徴③:危機的状況に向いている
強制型リーダーシップは、危機的な状況に陥っている場面に向いているリーダーシップスタイルです。
即決即断しなければならない状況においては、スピードが命になるからです。
たとえば、想定外のトラブルが発生して急な変更が必要になり、メンバーの意見を聞いている暇などないようなときは、強制型リーダーシップが適しています。
他にも天災などによる危機的状況が該当します。
強制型リーダーシップのメリットとは
強制型リーダーシップのメリットについてまとめると次のようになります。
掘り下げていきます。
強制型のメリット①:短期的に生産性を上げることができる
強制型リーダーシップのメリット、1つ目は短期的に生産性を上げることができる点です。
メンバーはリーダーの指示を絶対として動くため、必要な成果にチームの行動を向けやすいのです。
たとえば、関係重視型はメンバーとの関係を重視するため、チームの目標を達成するためであっても、リーダーがメンバーに強制的に指示をすることはありません。
関係を良好にしたままメンバーの行動を促さなければならないため、特に関係が深まっていない初期の頃には、関係づくりに時間をかける必要があります。
ビジョン型リーダーシップでも、リーダーはビジョンをメンバーに落とし込み、それによってメンバーが自分自身の行動を考えて動くため、強制型のようにすぐに行動につながりません。
なので、どちらのリーダーシップスタイルも、生産性が上がるまでに時間がかかってしまいます。
しかし、リーダーがメンバーの動きを指示する強制型であれば、すぐに生産性を上げることが可能なのです。
強制型のメリット②:メンバーに問題がある場合に効果がある
強制型のメリット、2つ目は、問題があるメンバーに対して一時的に使う場合に効果を発揮することです。
たとえば、チームの中で思うような仕事ができていないメンバーがいたとします。
そのメンバーに対して、リーダーがすべて指示を出し、必要な行動を強制的にさせていくことで、成果をあげることができるように持っていくのです。
長期的にするとメンバーの成長を止めてしまったり、指示に対して反発を招く可能性がありますが、短期的には有効な方法ですね。
強制型リーダーシップのデメリットとは
強制型リーダーシップのデメリットをまとめると次のようになります。
掘り下げていきます。
強制型のデメリット①:メンバーが育たない
強制型のデメリット、1つ目はメンバーが育たないことです。
強制型リーダーシップの下では、メンバーはリーダーの指示に従うことが求められ、自分で考えて行動することがないからです。
たとえば、指示があるまでいつもぼーっと立っているスタッフって1人はいますよね。
完全に「待ち」になっている状態です。
自分で周囲を見て、今なにが必要か、と考えることをしないしできないわけです。
こうなった背景には、強制型リーダーシップの下で、指示以外のことをしてはいけない環境で過ごした経験があるからかもしれません。
だから、指示がない中で動くことができないのです。
また、その状態で動くことで叱責されることを恐れているのかもしれません。
この状況が続くと、いつまでも成長しないことになりますね。
人は自分で考え、行動し、そして経験して成長していくため、強制型リーダーシップでは人は育っていかないのです。
強制型のデメリット②:メンバーの不満が高まり、チームが崩壊する
強制型のデメリット2つ目は、メンバーの不満が高まりチームが崩壊する、ということです。
強制型はメンバーの意思に関係なく、リーダーの指示で行動しなければなりません。
リーダーはチームとしては絶対的な存在なのです。
ただ、長期的にこのような状況が続くと、メンバーは不満を持ち、リーダーに対して反発を感じるようになります。
そして、リーダーの指示にメンバーが従わなくなり、チーム自体が崩壊してしまうのです。
強制型リーダーシップは、短期的であったり、特別な場面で成果を発揮するリーダーシップスタイルであり、日常時に採用して継続して成果を発揮できるリーダーシップスタイルではないということですね。
まとめ
ダニエル・ゴールマンが提唱する6つのリーダーシップスタイルのうちの、強制型リーダーシップについて書いてみました。
強制型リーダーシップは、短期的に成果を上げたり、チームの方向性を変えるのに有効ですが、長期的に用いるとデメリットが大きすぎてチームが崩壊します。
また、メンバーの成長が見込めないので、チームに発展性がなくなりますね。
なので、緊急事態や特別な場面で用い、普段は関係重視型やビジョン型のリーダーシップといった使い分けが必要ですね。
というわけで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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