若い介護職に出世欲がない3つの理由とは

リーダー能力向上

介護職の人は、リーダーや施設長といった管理職になりたがらない人が多いように思います。管理職になれば給料も上がるし、やりたい介護がしやすくなると思うのですがなぜなのでしょうか?

この疑問を解決します。

この記事の内容

  • 管理職を見ていると「なりたい」と思えない
  • 時代が変わり、地位や名誉への欲がなくなった
  • 訴訟や虐待事件など、管理職のリスクが高すぎる

これまで300人の採用面接、1000人ほどの介護スタッフとかかわらせていただきました。

その中で驚いたのは、多くの若いスタッフの出世欲や向上心が低いことです。

今回の記事は、介護職の出世欲や向上心が低い原因や理由を書いていきます。

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管理職を見ているとなりたいと思えない

スタッフが口にするのは、自分の上司であるフロア(ユニット)リーダーの仕事を見ていると、なりたいとは思えないということです。

その理由として、次の3点があげられます。

 

  • 仕事量が多すぎるように見える
  • 休みでも出勤しなけれならない
  • 職員をまとめていくのが大変そう

掘り下げていきます。

仕事量が多すぎるように見える

リーダーの仕事量は膨大であると感じているスタッフは多いですね。

リーダーの仕事をまとめると、次のようになるかと思います。

  • 一般スタッフ同様シフト勤務
  • 時間外で書類関係の作成、処理
  • 時間外で各種会議に参加
  • 家族などの外部対応

一般スタッフにしたら、シフトをこなすだけでも大変なのに、そのうえ時間外の仕事や、家族対応までしなければいけないと考えると、精神的にも負担を感じるようです。

ただ、本来であれば、もっと一般スタッフが協力して、シフト内でリーダーが書類作業に当たれたり、会議に参加できるよう配慮してもいいのではないかと感じますね。

リーダーが書類業務をシフト内でしようとすると、現場スタッフから不満ができることが多いすから。

スタッフルームにばかりこもって、シフト業務をしてくれない、と。

リーダーには一般スタッフにそのあたりを理解してもらいつつ、自分の仕事をマネジメントするの力が求められますね。

スタッフの目ばかり気にしていると、自分を犠牲するばかりになり、結果リーダーの仕事をやりたがらない一般スタッフが増える、ということになってしまいます。

休みでも出勤しなけれならない

休みで出勤しているリーダーを見て、「自分はなりたくない」と感じるスタッフも多くいます。

自分のプライベートな時間を、そこまで削りたくない、ということですね。

リーダーが休みに出勤してくるのは次のようなときです。

  • 急な欠勤者が出て、穴埋めしないとシフトが回らなくなった
  • 利用者の体調不良により、プラスワンでスタッフが必要
  • 夜間の救急搬送対応
  • 書類や雑務が残っている

特に急な夜勤の交代や、夜間の救急対応は、肉体的にも精神的にも負担になりますね。

夜間対応などは、ある程度経験のあるスタッフ数人の当番制にするなどの解決策が考えられます。

しかし、つい自分が負担をすべて負ってしまうリーダーが多いようです。

他のスタッフに頼むことで、それが不満や負担につながり、退職されたら困るという気持ちが先行するからでしょう。

そうならないような信頼関係を作っていくことが、本来は求められます。

職員をまとめていくのが大変そう

上の2つも含めてになりますが、リーダーとしてスタッフをまとめていくことが、とても大変そうに見えるようです。

たとえば

  • スタッフの人間関係への対応
  • スタッフの施設やフロアへの不満の対応
  • 施設長とスタッフとの板挟み

といったことがらですね。

たしかに、リーダーで一番頭を悩ませるのは人間関係であることが多いでしょう。

また、施設とスタッフとの板挟みになる立場なので、精神的な負担はありますね。

施設の方針を守りつつ、一般スタッフの心身の負担にも理解をしつつ、うまくマネジメントしなければならないところが、大変そうに見えるのでしょう。

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時代が変わり、地位や名誉への欲がなくなった

時代の変化により、地位や名誉にあまり魅力がなくなったようです。

その理由として、次のようなことが考えられます。

 

  • 夫婦の役割分担が変わった
  • ネットゲームやSNSで所属や承認欲求が満たされるようになった

掘り下げていきます。

夫婦の役割分担が変わった

結婚をしている方に増えているのが、仕事でバリバリ活躍するよりも、家庭の中で過ごす方を重要視する傾向です。

その理由をまとめると、次のようになります。

  • 夫婦共働きが増え、仕事や家事、育児は妻の仕事ではなく、夫婦で分担することが主流になった。
  • 夫婦共働きであれば、夫が出世しなくても十分生活できる。
  • 地位や名誉よりも、現実的な生活が優先されるようになった。

昔とちがって共働きが当たり前となり、夫婦ともに同じような条件で働いている家庭が増えています。

そうなったことによって、以下のようなことが増えました。

  • 夫が子供を保育園へ送り迎えする
  • 子供の体調不良により、夫が仕事を欠勤、早退する
  • 夫が育児休暇を取る

奥様の方に「ご主人が仕事で出世して、たくさんお金を稼いできてくれたら嬉しくない?」と質問すると、ほとんどの方が「忙しくなるのなら、出世しないで家にいる時間を増やしてくれた方がいい。お金は共働きであればなんとかなるし」

という返答でした。

男は稼いでナンボ、出世してナンボ、という意識は、男女ともに薄らいできているようです。

夫の育児休暇を推奨する声もありますし、夫婦の関係が変わってきていることが、仕事の優先順位を下げているのでしょう。

良いか悪いかではなく、昔とはちがう点としてあげさせていただきました。

ネットゲームやSNSで所属や承認の欲求が満たされるようになった

若い世代では、ほとんどの人がネットゲームやSNSを利用するようになり、そこで人に受け入れてもらったり、コミュニティを作って所属の欲求が満たされる時代になりました。

その結果、職場でそれらを満たす必要性が低下したようです。

インターネットやSNSが今ほどメジャーになっていなかった時代は、自己肯定を持てるものとして収入や役職といった立場により、承認欲求を満たそうとしていた人が多かったのでしょう。

しかし、他のことで満たせる環境であれば、仕事より楽しいゲームやSNSに頼るようになるのは自然な流れです。

選択肢が広がったのは悪いことではないと思いますが、全体的な仕事の生産性という意味では、低下しているのが現実ではないでしょうか。

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訴訟や虐待事件など、リスクが高すぎる

介護を取り巻く状況は非常にリスクが高くなっています。

リーダーはそのリスクを負う責任があるので、どうしても敬遠してしまいます。

まとめると次の2点です。

 

  • 訴訟に至るとほぼ負けてしまう
  • 虐待などの事件が多い

掘り下げていきます。

介護事故は訴訟に至るとほぼ負けてしまう

介護現場に事故はつきものです。

特に24時間、365日生活の支援をする老人ホームでは、本人のプライバシーを守る観点からも、常に監視しておくことや、自由な行動を抑制するようなことは禁じられていますし、人の生活として適していません。

老人ホームの事故でもっとも多いのは、転倒事故であり、場所は自室となっています。

これが他の事故と比べて圧倒的に多いのです。

理由は、この見出しの冒頭に書いた通り、老人ホームでの支援は、人としてあるべき生活を支援するものであるからです。

その中で一見防ぎようのない事故であっても、前例として訴訟に至ると施設に対して責任が発生します。

まったく施設に責任はなかった、という判決が出るのは、非常にまれな状況となっています。

そのリスクを考えると、責任の重いポジションを敬遠したくなるのでしょう。

虐待などの事件が多い

役職者に責任が求められることがらとして、虐待事件もあげられます。

年に数件は全国のどこかで大きな事件が起こっています。

完全に防ぐことができればいいですが、万が一そのような事件が自分のフロアで起こって、矢面に立つことを恐れる気持ちはあるでしょう。

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まとめ

一般スタッフと比べて、リーダーが抱える責任や役割は当然重くなります。

給料が上がるとはいえ、役割と照らし合わせて考えると、割に合わないと感じるのかも知れません。

ひと昔前の時代なら、地位や名誉に価値を置いて「リーダーになりたい」という人もいましたが、今のご時世はそこに価値を見出す人が減っています。

仕事でリスクを冒して所属や承認の欲求を満たさなくても、他の手段で精神的な満足を得られているのかもしれませんね。

ただ、このままでは人材とともに人財の不足もますます深刻になっていきます。

リーダーがあこがれのポジションになるために、改善が必要なのは明らかです。

その点については、またの機会に書きたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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