居宅ケアマネをしている人「コロナウイルス肺炎の集団感染により、名古屋では行政からデイサービスの休止要請が出たね。2週間デイサービスが休みになると、利用者の生活はどうなるんだろう?またサービス事業所としてどう対応したらいいんだろう」
こんな悩みを解決します
この記事の内容
こんにちは、せいじです。
現在、居宅のケアマネジャーやセミナー講師をしています。
これまで、介護の業界で18年働いています。
さて、新型コロナウイルス肺炎の感染問題が、ついに介護業界にも大きな影響をおよぼしています。
先日はデイの送迎ドライバーの感染により、次のような対応がなされていました。
- 施設入所者への外部からの面会制限
- デイ利用時の体温測定
- 出勤時の介護職の体温測定
施設入所者への面会は基本的に禁止されています。
また、デイサービスは37.5度以上の発熱があれば、利用中止。
介護職員も出勤停止です。
それでも起こった名古屋のデイサービスでの集団感染。
デイサービス中止で起こる問題と、対処法を考えていきます。
コロナウイルスでデイサービスが中止、起こる問題とは?
名古屋で2週間、デイサービスを中止するよう行政から要請が出ました。
ほかの地域でも、いつこのような対応が必要になるかわかりません。
なので、今のうちにどのような問題が起こりえるか、対処法はなにかを考えておいたほうがいいと思います。
さて、デイサービスが中止になると、どのような問題が起こるでしょうか。
家族の生活に影響が出る
デイサービスが中止になると、確実に利用者、家族の生活に影響が出ます。
仕事に行けなくなると当然会社にも影響がでるので、日本の経済にも影響をおよぼします。
30〜40代のかただと子供がまだ手をはなれておらず、学校が休みになったことで、子供とあわせて身内の要介護高齢者への生活の支援が必要になります。
これはかなりの負担になると考えられますね。
当然ひとりでは対応がむずかしいので、他の家族にも影響が出ます。
ひとり暮らしの人は生活ができなくなる
要介護高齢者でひとり暮らし、近くに身寄りがいないかたは、生活ができなくなるかもしれません。
デイサービスによって提供されているサービスは次のようになります。
- 食事の提供
- 排泄その他の生活の支援
- 入浴の介助
- 機能訓練
- 安全の確保
極論で言うと入浴や機能訓練は2週間なくても生活できますが、食事や排泄の支援をうけられないとなると、生活がままならなくなります。
また、日中ひとりで過ごすにはリスクが高い人も、デイサービス利用の対象となります。
その方々の生活をどう守っていくかが課題になりますね。
サービス事業所が経営的に大きなダメージを受ける
サービスの事業所にも大きな影響が出ます。
考えられるのは次の影響です。
デイサービス単体で経営しているところは、死活問題となるでしょう。
元々それほど大きな利益をあげられるサービスではないので、予備体力は高くないですから。
行政からの支援がないと、つぶれる事業所が出てくる可能性もありますね。
また、デイサービスが提供できないかわりに、デイサービスの職員が自宅を訪問して、訪問介護のヘルパーと同じようなサービスを提供しても良いと行政は打ち出しました。
しかし、これまでデイサービスで働いてきた介護職が、いきなり訪問介護の仕事をできるでしょうか?
訪問介護のむずかしさは、次のようなことがあります。
- 施設とはちがい、介護の環境が十分に整っていない中でのサービス提供となる
- 自分以外に介護職がおらず、すぐに助言や助けを求めることができない
どちらがむずかしいかという問題ではなく、ちがう能力が求められる仕事ということです。
なので、デイサービスの職員には負担となり、ほとぼりが冷めたあと、バーンアウトして退職者が増える可能性も考えられます。
それに、デイサービスが中止になるということは、それに代わるサービスが必要ということになります。
デイサービスのスタッフが訪問するだけでは、まにあいません。
行政は訪問介護が補うことを期待しているようですが、ことはそう簡単ではありません。
そもそも訪問介護は人材不足、高齢化が深刻です。
なので、対応できるマンパワー、介護職の体力の問題があります。
他にも緊急の施設入所や、ショートステイの利用が考えられますが、これまでに利用していた人なら大丈夫でしょうが、今回の騒動で緊急で利用する人となると次のような問題が発生する可能性があります。
認知症の利用者は環境に適応する力が低下しているとされています。
なので、環境が変わると適応できず、認知症が悪化する可能性が高まります。
また、認知症でなくても、高齢になると同じく適応力が低下します。
それにより、せん妄などの症状が出る可能性があります。
上記のことや、精神的に不安定になることによって、転倒してケガをするリスクが高まります。
介護職は利用者の情報が十分にない中で対応しなければならず、負担が大きくなります。
事故などが増えるとさらに負担は増しますね。
コロナウイルスによるデイサービス中止への対処法
さて、コロナウイルスによるデイサービス中止に対して、どのような対応策があるでしょうか?
ケアマネという立場も含めて、具体的に考えてみたいと思います。
ショートステイを利用する
真っ先に上がるのがショートステイの利用ですね。
特にひとり暮らしで近くに身寄りのない人は、最優先の選択肢と考えられます。
ただし、受け入れ施設にも限界があるため、必ず利用できるわけではありません。
ケアマネの立場としては、他のケアマネと取り合いになるだろうなと思います。
サービスをやりくりするケアマネへの負担も大きくなりそうですね。
訪問介護の回数を増やす
すでに訪問介護を利用している人は、その回数を一時的に増やしてもらう、という選択肢があります。
ショートと同じく、他のケアマネの利用者も回数を増やすことを希望するでしょうから、訪問介護事業所が新規に対応できるだけの体力がない可能性が高いですね。
しかも、普段から訪問介護は人材不足、高齢化に陥っています。
回数を増やすにも限界があると考えられます。
今まで利用していなかった人が、新規でサービスを利用するというのもありですが、スムーズにサービス利用につなげられるかは不安なところですね。
宅配のお弁当を利用する
ケアマネとして支援する中で、問題があれば最優先で解決しなければならないのが次の3つです。
- 食事
- 排泄
- 入浴
特に食事、排泄については、毎日欠かせない行動です。
食事については、訪問介護による調理支援などが選択肢となります。
また、配食サービスといって、お弁当の宅配を頼むという手もありますね。
家族が同居していたり、近くに住んでいる方は、家族が対応するしかないかもしれません。
家族が介護をする
どのサービスも利用できないとなれば、家族に介護をお願いするしかありません。
サービス提供者としては最終手段となりますが、致し方ない場合もあり得ると思います。
ただ、家族が支援できない状況であったり、負担軽減のためにサービスを利用している人も多いので、期間限定とはいえ家族の負担は大きくなりますね。
しかも、2週間でサービスの利用中止が必ず解除されるとき待っているわけではないので、精神的な負担も大きくなると考えられます。
まとめ
新型コロナウイルス肺炎によりデイサービス中止の問題について考えてみました。
どんどん医療が発達しているにもかかわらず、このような事態が起こるとは、正直おどろきですね。
ただ、少しでも早くおさまるように、個人的にも協力が必要かと思います。
みなさんももらわないよう、そしてうつさないよう、十分に注意してください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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