コミュニケーションの取り方に悩む介護職「コミュニケーションってむずかしいよね。利用者さんと話していても、すぐに会話が途切れてしまう。利用者さんも話しにくそうにしてるしさ。なにか良いコミュニケーションの取り方がないかしら?」
こんな悩みを解決します
この記事の内容
こんにちは、せいじです。
リーダー育成やチームワーク向上、介護の知識、技術全般を取りあつかうセミナー講師をしています。
介護業界歴は18年間、介護職、ケアマネ、施設管理職をしていました。
さて、介護においてコミュニケーションが重要なのは言うまでもありませんね。
人同士が理解しあうために、コミュニケーションは不可欠です。
トイレやお風呂など、プライバシーの高い行為の支援をする介護では、よりいっそうコミュニケーションが大切になります。
今回は、利用者とのコミュニケーションの取り方について書いていきます。
利用者とのコミュニケーションの取り方
利用者とコミュニケーションを取るにあたって、意識するべきことがらを書いていきます。
ポイントとしては次の通りです。
- 話し上手は聞き上手
- 質問ばかりしないようにする
- 自己開示:自分のことも話す
掘り下げていきます。
話し上手は聞き上手
話し上手になりたかったら、聞き上手になりましょう。
矛盾してるように聞こえるかもしれませんが、これが真実です。
なぜなら、人は自分がしゃべりたい欲求が強い傾向にあるからです。
話し上手というと、つい上手にしゃべることができる人、と考えてしまいます。
理路整然と噛まずに、立て板に水のように話しができる人って感じですね。
しかし、人が実際に会話をして、話し上手だなと感じるのは、相手がすらすら話す様子ではなく、話しをしていて楽しいと感じることです。
話しをしていて楽しいと感じるためには、本人がある程度しゃべる環境が必要なんですね。
ということで、利用者と話しをしてよろこばれるのは、自分がペラペラしゃべるのではなく、利用者が話しをしやすい環境づくりや雰囲気づくり、やりとりをするってことになります。
そこで大切になってくるのが次の二つですね。
- 非言語コミュニケーション
- 質問力
ひとつめは非言語コミュニケーションですね。
表情、うなずき、しぐさ
といったことがあげられます。
話しをしていてしゃべりやすく感じるのは、相手がきちんとこちらの話しを聞いてくれている、と感じられるときです。
こちらをほどよく見て、感情に添って表情が変わり、あいづちやうなずきをしてくれると、話しがしやすくなります。
リアクションが大切ということですね。
ふたつめは会話を広げていくことができる質問力ということになります。
これについては、この記事の後半でとりあげていきます。
なお、対人援助の基本原則としてバイスティックの7原則があります。
こちらの記事に詳しく書いているので、読んでいただけると嬉しいです。
質問ばかりしないようにする
介護職は利用者との会話から、支援に必要な情報を収集します。
これをアセスメントと言います。
アセスメントをする際に注意しなければならないことは、相手に尋問のように感じられないようにすることです。
質問ばかりされると、人はかまえてしまいます。
「なんでそんなに根ほり葉ほり聞いてくるの?」と不審に感じるのです。
なので、介護の現場にある、アセスメント用紙を使いつつ話しをする場合などは、特に注意が必要です。
用紙の項目に意識がいきすぎることで、尋問のようになってしまいがちだらからです。
むかし、私の施設の利用者に、認定調査員がやってきました。
介護保険の認定を受けるための調査なのですが、用紙に収集しなければならない必要項目が書かれています。
調査員はそれを埋めていかなければなりません。
「調査をするためにお部屋へ行きましょうか」
そういって、歩行器を使って歩く利用者といっしょに、利用者の部屋へ移動しました。
そして一番最初の質問が、「歩けますか?」でした(笑)
今歩いて食堂から部屋まであなたといっしょに来ましたけど?って突っ込んでしまいましたね。
形式的にしようとすると、このようなことが起こるので、ふだんの会話や生活の中で、自然に情報収
集できるように、うでを磨いていきましょう。
自己開示:自分のことも話す
人と話をするときは、相手の情報ばかりを聞きだすのではなく、自分の情報も開示する必要があります。
これを自己開示と言います。
人は、自分の情報ばかりを聞きだされると、まるで奪われているような気持になります。
そして、相手のことを不審に感じてしまいます。
そうならないように、自分の情報も相手に提供しつつ、コミュニケーションをはかることが大切です。
こちらの記事にも自己開示について詳しく書いています。
見ていただけると嬉しいです。
利用者とのコミュニケーションで質問を工夫する
利用者とコミュニケーションを円滑にしていくためには、質問を工夫することが大切です。
質問のしかた次第で相手が話しやすくなったり、会話が広がったりするからです。
ここからは、質問のしかたについて考えていきます。
質問には次のふたつの形があります。
- クローズドクエスチョン
- オープンクエスチョン
掘り下げていきます。
クローズドクエスチョンの活用
クローズドクエスチョンとは「とじられた質問」という意味です。
イエス、ノーで答えられたり、答える方法や範囲が限定されているので、返答しやすい質問方法になります。
たとえば「お腹が減っていますか?」の質問に対しては、「はい」もしくは「いいえ」で答えることができます。
「トイレに行きたいですか?」もそうですね。
相手が定型で返すことができるので、楽なのです。
ただし、デメリットとして、話しが広がりにくいということがあります。
話しを広げていくためには、次のオープンクエスチョンと組み合わせる必要があります。
オープンクエスチョンの活用
オープンクエスチョンは「ひらかれた質問」という意味です。
「はい、いいえ」のような限定的な返答ではなく、自由に返事ができる質問ですね。
たとえば「昼食は何が食べたいですか」といった聞き方ですね。
相手は自分が食べたい料理を考えて答えることになります。
オープンクエスチョンはクローズドクエスチョンに対して、話題が広がりやすいメリットがあります。
ただ、デメリットとして、質問の答えを考えなければならなかったり、時間がかかったりといったことがあります。
コミュニケーションが取れない時は
コミュニケーションがとりいくい利用者に対しては、まずクローズドクエスチョンから入って、徐々にオープンクエスチョンをおりまぜていくのがいいですね。
こたえやすい質問で会話を交わしてから、考えてこたえるような質問を入れていく感じです。
たとえば朝、施設で利用者さんと会った場面を想定して考えてみます。
「昨日はよく眠れました?」(クローズドクエスチョン)
「いつも何時ぐらいに寝てるんですか?」(クローズドクエスチョン)
「若い時からですか?」(クローズドクエスチョン)
「私、いつもなかなか寝つけなくて。すぐに眠れる方法ってないですかね?」(自己開示しつつオープンクエスチョン)
こんな感じです。
人には一貫性というものが働くので、クローズドクエスチョンにこたえてくれていたら、オープンクエスチョンにしても、なにかこたえようと考えてくれます。
一例として参考になれば幸いです。
まとめ
利用者とのコミュニケーションの取り方について書きました。
介護の仕事をはじめた当初は、だれしもがとまどうのがコミュニケーションです。
どうしたら話しができるだろう、会話がつづくだろう、広がるだろう、ってことに悩みます。
なので、本記事をご覧いただき、ぜひ試していただけたらと思います。
ちなみに、利用者と会話がひろがりやすい話題については、介護現場でのコミュニケーションのコツ【かんたんです】にまとめています。
読んでいただけると嬉しいです。
というわけで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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