人間関係でうまくいかないとき「相手を変えようと思ってはいけない、自分が変わらなければならない」とよく言いますけど、自分を変えると言っても難しいですよね。どうすればいいかわかりません。
この悩みを解決します。
この記事の内容
- 人を変えるのが難しいのは、人それぞれ見えている世界が違うから
- 相手がなにを考えているかを想像すると、自分が変わる
人間関係があまりよくないときや、人材育成がうまくいっていないときによく言われるのが「人を変えようとしてもできない、でも自分を変えることはできる」ということです。
しかし、人を変えるのと同様に、自分を変えるというのもなかなか難しいと感じるのではないでしょうか。
結論から言うと「自分を変える」とは「相手に対する見方を変える」ということです
今回の記事は、自分を変える方法について書いていきます。
人を変えるのが難しい理由
人を変えるのが難しい理由は次のとおりです。
- 人は過去の経験や体験により作られた価値観を通してものごとを見るため、人それぞれとらえ方がちがう。だから、あなたが相手に求めるのと同じ状態を、相手がとらえることはできない。
掘り下げていきます。
自分と相手が見ている世界はちがう
人は同じものごとを見ていても、まったくちがう捉えかたをしています。
なぜなら、自分の価値観というフィルターを通してものごとを見るからです。
たとえば、歌手の福山雅治さんを見て「かっこいい」と思う人もいれば「好みじゃない」という人もいます。
コカ・コーラの缶を見た時の感想も人それぞれでしょう。
Bさん「飲むと骨が溶けるから、身体に毒」(嘘だそうですが)
Cさん「炭酸は苦手だわ」
Dさん「ペプシコーラの方がおいしいよね」
同じコカ・コーラの缶を見ても、それぞれの価値観の中で、いろんなとらえ方をしています。
人は自分の見たいものしか見ない
価値観というフィルターは、過去の経験や体験に基づいて作られています。
当たり前ですが、過去の体験や経験が全く同じ人は、この世に存在しません。
ですから、ものの見方がまったく同じ人はこの世に存在しないということです。
つまり、人は自分の見たいようにしか見ていないということです。
「いや、そんなことないよ!僕とAさんはいつも意見が合うし、価値観がまったく同じだもの」
という反論もあるかもしれません。
たしかに、とても似た経験をしている人はいますよね。
たとえば、学生時代に野球をしていた人には、多くの共通点があります。
- 監督が強烈に怖かった
- 低学年のときは先輩のパシリだった
- 練習中に水を飲めなかった
- 甲子園を目指していた
- 練習漬けの毎日だった
「ひと昔前の高校野球あるある」ですが、体育会系のクラブに所属していた人なら、うんうんと頷いてくれるでしょう。
同じような体験を通じて、似たようなとらえ方をすることはあります。
しかし、それは一部の価値観が似ているだけで、すべてが同じではありません。
「私たち、価値観が同じなの」と言って結婚したカップルが、価値観のちがいによって離婚するのは良くある話です。
結婚して生活を共にし、いろいろな場面を経験した時に、価値観のずれを感じるようになったということです。
まとめると
- あなたと相手のものごとのとらえ方はちがう
- だから「変わってほしい今の姿(現在地)」と、「なってほしい未来の姿(目的地)」を共有できない
- 現在地と目的地が共有できないので、相手はあなたの思うようにならない
ということになります。
だから、人を自分が思うように変えるのは不可能なのです。
自分を変える3つの方法
「自分を変える」とは、自分の見方を変えることです。
見方が変わるととらえ方が変わります。
方法は次の通りです。
- 自分と相手の状況を客観的に見る
- 相手の気持ちを心の中でつぶやいてみる
- 相手の関心ごとに関心を持つ
掘り下げていきます。
自分と相手の状況を客観的に見る
見方やとらえ方を変えるためには、ものごとを客観的に見ることですね。
客観的に見ると自分の感情を通さずに見ることができるからです。
自分の感情が動くのは、ものごとを主観的に見ているからです。
自分ごととして考えるから感情が動きます。
たとえば、人に自分の悪口を言われると腹が立ちますよね。
でも、人が自分とはあまり関係のない人の悪口を言っていても、腹は立ちません。
なぜその相手がそう思ったのか、その理由を冷静に聞くことができます。
このように、客観的にものごとを見るようにするのです。
その方法としては、誰かと話しをしているとき、次のようなイメージを作るのがコツです。
- 自分
- 相手
- 話す2人を見ているもうひとりの自分
相手と話をしながら、第三者の存在を自分の中で作り上げることによって、客観的に見ることができるようになります。
こうすれば感情が動くことなく、相手のことを冷静に受け入れやすくなり、いつもとはちがう視点で見ることができます。
相手の気持ちを心の中でつぶやいてみる
人は相手との関係性が深まっていないと、自分の本音をそのまま言葉や態度に表しません。
出しても理解してもらえない、わかってもらえない、マイナスに受け取られるかもしれない、と思うからです。
実は口で言っていることと、心の中で思っていることは正反対であることもよくある話しです。
ですから、相手の言葉や態度から、相手が心の中で思っている本音を想像し、自分の心の中でつぶやいてみるのです。
たとえば、スタッフに掃除を頼んだとします。
スタッフは口では「はい、わかりました」返答しましたが、表情がこわばって、明らかに不満な様子が見てとれました。
「なんだ、その態度。文句あるのか?」と言いたいところですが、そこは第三者の自分を使って冷静に受け止めてください。
そして、スタッフの心の中を想像し、つぶやいてみるのです。
「なんで俺にばっかり雑用をさせるんだ。自分より後に入ってきた新人だっているのに。いいように使いやがって」
そんな声が聞こえてくるかもしれません。
その時に
「○○君、君の掃除はいつも丁寧だから、新人スタッフの見本になるね。いつもありがとうね」
と相手を承認するような声をかければ、相手の受け取り方は変わってきますよね。
相手の関心ごとに関心を持つ
相手の関心ごとに関心を持つようにする、というのも自分が変わる方法です。
自分の関心から周囲を見るのではなく、相手の関心ごとに関心を持つ姿勢で日々過ごすと、自分の見える世界が変わるからです。
先ほどの相手の本音の声を想像することとも通じますが、普段から相手がどんなことに興味を持っているのかに興味を持つようにするのです。
たとえば
- 趣味
- 好きな食べ物
- 好きな音楽
- 仕事で大事にしていること
- 悩み事
など、利用者のアセスメントと同じように、相手に対する理解を深めていくのです。
すると、どうすれば相手が喜んでくれるかが、見えてくるようになります。
それがわかれば人間関係はとても楽になりますね。
なぜなら、喜んでくれることをすればいいだけだからです。
私は施設長時代、エクセルデータでスタッフの個別票を作っていました。
そこに面談をしたときの内容や、普段の雑談、日々の相談内容などを記録するようにしていました。
人間、どうしても忘れてしまいますからね。
でも、記録するようにしておくと、相手のことを知ろうとする意識も高まるので、いっそう理解が深まります。
パソコンやノートを作って、人の関心ごとを書き留めておくようにするといいですね。
まとめ
相手を変えるのではなく、自分が変わる方法について書きました。
自分が変わるといっても、自分の性格を変えるのは無理な話しです。
でも、ものごとを客観的に見ることで、とらえ方を変えることは意外と簡単です。
なぜなら、自分の価値観のフィルターを通さないだけで、とらえ方は変わるからです。
最初は難しいかもしれませんが、普段から意識してやっていると、だんだん慣れてきます。
そして、それが当たり前にできるようになります。
相手の本音をイメージするのも、相手の関心ごとに関心を持つのも同様です。
そうすれば、人との関わり方が大きく変わるはずです。
ぜひ実践してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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