役割に悩む介護リーダー「介護職のリーダーをしているんだけれど、介護リーダーとして一番の悩みは、自分がきちんと役割をこなせているのかわからないということ。介護リーダーの心得なんかが書いた本などがあればいいんだけれど。介護リーダーを辞めたいって言う声もネットで見かけるし、大変なポジションだと思うけど、介護リーダーの具体的な役割ってなんだろう。
こんな悩みを解決します
こんにちは、せいじです。
今回は介護リーダーの役割について書いていきます。
私自身の経験としては、老健や特養、介護付有料老人ホームを全部で4か所、管理し、介護リーダーの育成に取り組んできました。
この記事の内容
「介護職として頑張っていたら、ある日突然リーダーとして任命され、なにをしていいかわからないまま日々悪戦苦闘している」
というリーダーは多いのではないでしょうか。
なぜ悪戦苦闘するかというと、リーダーとしての役割の理解や必要なスキルの習得ができていないからです。
つまり、ひとりの介護職として働いていた時とは違って、介護の知識や技術以外のスキルが必要になるということですね。
そのスキルとは、リーダーシップとマネジメントです。
介護職がいきなりリーダーになって、組織をまとめていくのは簡単ではありません。
- 指示を聞いてくれないスタッフ
- 陰口を言うおばさん介護職(失礼しました)
- シフト作成などの事務作業は時間外や自宅に持ち帰ってやるしかない
- 上司と部下の板挟さみに合う
このような問題に悩み、介護リーダーを辞めたいと思う人も多いでしょう。
リーダーの役割とは、リーダーシップとマネジメントを駆使し、チームをまとめあげて成果を出すことです。
いうわけで、今回の記事は、介護職のリーダーの2つの役割について掘り下げて書いていきます。
介護リーダーに必要なリーダーシップ
介護職のリーダーにはリーダーシップが必要です。
リーダーシップとは、目的地を明確にし、介護職員に指し示すことです。
山登りでたとえると、どの山に登るのか、どのルートで登るのかを決めることです。
- 施設の理念を浸透させる
- 目標を立てる(旗を立てる)
- 方針を立てる(ルートを決める)
掘り下げていきます。
施設の理念を浸透させる
まず、介護職のリーダーは、介護スタッフに施設の理念を浸透させなければなりません。
なぜなら、施設理念はその施設の存在意義、施設の目的を示しているからです。
その施設に属している限りは、理念の実現がスタッフが達成すべき目的となります。
ですから、目的達成のために取り組むチームを作らなければなりません。
理念が目的って言うけれど、最初に少し説明されただけで、働いているときにほとんど意識することはないよ?そんなに大切なものなの?
という疑問を持つ人もいるかもしれません。
たしかに理念が形骸化している施設が多いですが、それでは目的地を見失うことになります。
目的地が明確になっていないと、働いている人はなにを目指せばいいのかがわからなくなります。
そうなると、スタッフはそれぞれの価値観で進む道を決めてしまいます。
その結果、似たような価値観を持つ人が派閥を作り、施設がバラバラになって、人間関係が悪化してしまったり、また関係性は良いけれど、単なる仲良しごっこのグループになってしまい、生産性が低くなってしまう恐れがあります。
理念はチームを作る上で非常に重要である、ということを肝に銘じておきましょう。
目標を立てる(旗を立てる)
介護リーダーは、自分が担当するフロア(部署)の目標を立てなければなりません。
フロアの目標を立てる際に必要なのは、施設目標に沿ったものでなければならないということです。
施設目標は、施設理念の達成に向けた目印となるものです。
ですから、フロア目標は、施設目標を達成するための目印となるものでなければなりません。
この3つに整合性がないと、施設はバラバラな状態となります。
方針を立てる(ルートを決める)
フロア目標に対して、達成するための方針を立てます。
どのようなことをして目標を達成するのかを示すのです。
山登りに例えると、山頂に登るルートは1つではありません。
リーダーはどのルートを選択して、どのようなペースで登るのかを指し示さなければなりません。
そうすることで、スタッフが日々取り組むべき内容が、明確になります。
介護リーダーに必要なマネジメント
介護リーダーには、リーダーシップと合わせてマネジメント能力も必要です。
マネジメントとは、目的に向かって進むための運営です。
山登りに例えると、リーダーシップによって決めた登る山、ルート、ペースに対して、実施できるよう管理していくことです。
- 介護職のケア
- 介護職を育成する
- フロアの運営・管理
介護職のケア
目標に対して、介護スタッフが順調に進んでいけているかを確認し、必要であれば軌道修正しなければなりません。
その時に必要な能力としては、次の通りです。
- スタッフの話しを聞く
- 自己決定できるよう支援する
- 承認することにより信頼関係をつくる
スタッフの話しを聞く
スタッフがフロアの目標、方針に向けて進めるようにするためには、リーダーがスタッフの話しをいかにしっかりと聞くことができるかが重要です。
人には「返報性のルール」が働き、自分が聞いてもらった分だけ相手の話しを聞こうとします。
つまり、リーダーの指示にスタッフが耳を傾けるかどうかは、リーダーがいかにスタッフの声に耳を傾けているかによるということです。
ですから、リーダーはスタッフの話しをしっかりと聞かなければならないのです。
聞く方法については「介護のリーダーがもっとも重視すべき役割「聞く」その方法とは? 」で詳しく書いていますので、ぜひ参考にしてください。
きちんとスタッフの話しを聞けるようになると、フロアの状態は大幅に改善されます。
自己決定できるよう支援する
リーダーがスタッフの話しを聞くときに大切なことは、相手の話しをありのまま受け止め、相手の価値観を否定しないということです。
そして、スタッフが自分自身で物事を掘り下げて考えていけるよう導いていかなければなりません。
リーダーがスタッフにしてほしいことを伝えるのではなく、スタッフ自身がその必要性に気づき、自己決定できるよう導いていくのです。
自己決定は、対人援助技術の原則であるバイスティックの7原則で説かれています。
次の記事が参考になると思います。
承認することにより信頼関係をつくる
リーダーがスタッフと信頼関係を構築するためには、スタッフを承認しなければなりません。
承認するとはスタッフが次のように感じることです。
リーダーが・・・・
- 見てくれている
- 考えてくれている
- 理解してくれている
このようにスタッフが感じられるようになると、リーダーの話しを受け取るようになります。
具体的な承認の方法については「介護リーダーの悩みを解決 人をまとめる承認力とは?」をご覧ください。
介護職を育成する
スタッフの成長を促し、サービスの質を上げていくこともリーダーの役割です。
そのために必要なことは次の4つです。
- 承認「ほめられた」
- 達成感「やった」
- 裁量度「任された」
- 成長「わかった・できた」
スタッフはこの4つを感じることによって、成長していきます。
リーダーは成功体験を持てるよう、スタッフをマネジメントしていかなければなりません。
フロアの運営・管理
フロアで必要なサービスをきちんと提供できる組織にしておくことも、リーダーの役割です。
毎月のシフト作成時、フロアで必要なサービスが適切に提供できるよう、スタッフの配置を考えながら組んでいかなければなりません。
また、フロアを運営していく上で必要な業務に対して、スタッフに役割分担していくのもリーダーの仕事です。
自分がすべて抱え込んでしまうのではなくスタッフに任せることで、リーダーはリーダーにしかできない仕事に注力することができるようになります。
任されたスタッフについては、その役割を成し遂げることによって、成長体験となり、成長する機会になります。
その他にも、急なトラブルが発生した場合、どのような対応をするのかをリーダーは考えておかなければなりません。
たとえば、スタッフの急な体調不良でシフトに穴が開いた場合、どうするのかをリーダーが判断し、指示を出していく必要があります。
こういったトラブルの場合も、すべてリーダーが抱え込んでしまうと、精神的、肉体的な負担が大きくなって、つぶれてしまいます。
リーダーがするべきなのは、采配をすることです。
普段からスタッフに役割を持たせ、緊急時にもスタッフが対応できるような環境を作っておかなければなりません。
その中で、リーダーが動くことがチームにとってもっとも良いと判断した時に、リーダー自身が穴埋めするようにしましょう。
まとめ
介護リーダーの役割について書きました。
介護職はこれまでの介護職としての仕事ぶりを評価されて介護リーダーに任命されます。
だから、いざリーダーを任された時に、介護職以外の能力を求められることになり、とても困るのです。
組織をまとめていくためには、介護職に必要な知識、技術とはまた違う、リーダーとしての能力を獲得していかなければなりません。
具体的にはこの記事の内容や、リンク先の記事に書いていますので、ぜひ読んで実践してみてください。
リーダーは大変な仕事ですが、自身の人生においても非常に貴重な経験となるはずです。
ぜひ頑張ってください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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