介護のリーダーになったけれど、なかなか言うことを聞いてもらえません。どうすればみんなが自分の指示に従い、頑張ってくれるでしょうか。人を動かす方法を知りたいです。
という悩みを解決していきます。
本記事の内容
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- 部下がリーダーの指示を聞いてくれない理由
- 部下がリーダーの指示に対して主体的に動いてくれるようになる方法
リーダーになると、チームのメンバーをまとめていかなければなりません。
ひとりでいくら頑張っても、良いサービスにはつながらないからです。
たとえば、リーダーが利用者の残存機能を活用した介護をしても、他のメンバーが過剰介護によって残存機能を奪っていては意味がありません。
どうすればリーダーの声に耳を傾けてくれるようになるでしょうか。
部下が言うことを聞いてくれないのはなぜ?
部下が言うことを聞いてくれないのは理由があります。
リーダーの言うことを聞いてもらうためには、聞いてくれない理由の理解が必要です。
その理由とは、次の3つが考えられます。
- リーダーが話しを聞いてくれないから
- なにをしなければならないのかわからないから
- リーダーの言動が一致していないから
この3つを掘り下げていきます。
リーダーが話しを聞いてくれないから
人は、自分の話しを聞いてくれない人の言うことを聞こうとは思いません。
いくらリーダーの指示が正論であったとしても、部下の話しを聞かないリーダーの言うことを、部下は聞きません。
考えれば人として当たり前のことですよね。
でも、リーダーになるとつい「部下は自分の言うことを聞くべきだ」と勘違いしてしまいます。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉が、リーダーに必要な姿勢を示してくれています。
私は介護職から施設ケアマネ、そして管理職と段階を経ましたが、一番好き勝手発言できていたのは介護職の時でした。
階段を上がるたびに、まずスタッフの話しを聞いてから、発言するようになりました。
立場や権力を振り回すと、誰もついてきてくれません。
なぜそれをしなければならないのか伝わっていないから
リーダーが独りよがりに進む方向を示しただけでは、部下は行動しません。
なぜそれをする必要があるのか、が理解できないからです。
そもそも、リーダーと一般のスタッフが見ている景色は違います。
たとえば、フロアリーダーであれば、そのフロア全体を考えて進む方向性を指し示します。
でも、チームを構成している一般スタッフは、リーダーのようにフロア全体を考えているわけではありません。
では、どんな景色を見ているかというと、自分の置かれている立場からものを見るのです。
これを抽象度の差と捉えるとわかりやすいです。
施設の職員の立場を抽象度で表すと、個人→フロアの介護スタッフ→施設の介護スタッフ→市の介護スタッフ→県の介護スタッフ→日本の介護スタッフ→世界の介護スタッフの順に抽象度が上がっていきます。
つまり、抽象度が高いとは、そのくくりの中に該当する範囲が広く、対象となる情報量が増える、ということになります。
個人はひとりですが、フロアに所属しているスタッフは複数います。
施設全体のスタッフだとさらに多くなり、といった感じです。
つまり、リーダーといちスタッフでは見ている範囲の広さが異なるため、丁寧に説明しないと伝わりません。
たとえば、いちスタッフの位置からは死角になっている崖の向こうの様子を、一段上から見通しているリーダーが説明するようなイメージですね。
リーダーの言動に不一致があるから
3つの中で一番問題となるのが、リーダーの言動の不一致です。
言っていることとやっていることが違うリーダーは、部下から絶対に信頼されません。
ですから、どんな指示を出しても、部下は素直に応じてくれません。
たとえば、自分は利用者にくだけた言葉で話しをしているのに、部下には丁寧な言葉使いなさい、と指導する、などですね。
古い付き合いで利用者と関係ができているリーダーと、そうではないいちスタッフでは、言葉遣いに差があってもしかたがないでしょ、という意見もあるかもしれません。
しかし、ありのままの事実だけを見ると「リーダーだって丁寧に話しをしてないじゃないか、それなのに私には注意するなんて」となります。
ここで重要なのは部下の目にどう映るか、ということです。
この言動不一致が一番部下の信頼を損なう行為になります。
部下がリーダーの指示に応えてくれるようにする方法
上記の問題を解決する方法は、次の4つです。
- 部下が「話しを聞いてもらえた」と感じるように聞く
- それをすることで、部下にどんなメリットがあるのかを伝える
- 自分の言動を常に一致させるよう意識する
- 日頃から部下を承認する
これらを掘り下げて書いていきます。
部下が「話しを聞いてもらえた」と感じるように聞く
部下に自分の話しを聞いてもらうためには、まずリーダーが部下の話しを聞かなければなりません。
「返報性のルール」といって、人に何かしてもらったら、自分も同じように返さなければならない、という心理が人には働くからです。
ここで重要なのは、話しを聞く際に、相手が聞いてもらえたと思えるような聞き方をすることです。
具体的な聞き方については、過去記事のリンクを貼っておきますので、そちらを読んでいただけたらと思います。
それをすることで、部下にどんなメリットがあるのかを伝える
リーダーが部下にやってもらいたい内容を部下が理解できるよう、丁寧に説明することが大切ですが、もう一歩踏み込んで、それを実施することで部下自身にどのようなメリットがあるかを伝えることが重要なポイントとなります。
人は自分事と感じれば感じるほど、行動が伴うようになるからです。
たとえば、フロア全体のメリットを解いたところで、いちスタッフにとってはリーダーや先輩スタッフの仕事と捉えてしまいます。
だから、主体的に考えて行動しようとはしません。
主体的に行動しないということは、成果を出すための行動にならないということです。
ですから、リーダーがいないところでは指示通りやらなかったりするのです。
しかし、自分にもメリットがあると理解すれば、主体的に行動するようになります。
主体が伴えば、誰が見ていようがみてなかろうが、自分が決めたこととして実施するようになります。
自分の言動を常に一致させるよう意識する
繰り返しになりますが、言動の不一致は一番信頼されない行為です。
言ってることとやっていることが違うということは、ある意味嘘をついているのと同じだからです。
つい「きちんとしているつもり」になっていることが往々にしてあるので、常に意識をしておいてください。
ただし、リーダーが一般スタッフと同じように、シフトで現場に入らなければならない、という意味ではありません。
おそらく「リーダーは現場に入らない、事務仕事ばかりしている」との不満の声に悩んでいるリーダーもいると思うので、それについては別の機会に書きたいと思います。
日頃から部下を承認する
いざという時に部下がスムーズに指示に従って行動してくれるかどうかは、リーダーが普段から部下をきちんと承認しているかどうかにかかっています。
つまり、普段から部下の仕事ぶりをきちんと見て、その頑張りを認めること、そして、認めていることを部下にしっかりと伝えていることが重要なポイントなのです。
これが深くまでできていると、丁寧に説明しなくても部下は動いてくれるようになります。
なぜなら、自分たちのことを普段から考えてくれているリーダーが、自分たちのマイナスになるような指示を出すはずがない、きちんとした理由や目的があるはずだ、とポジティブに考えてくれるからです。
チームスタッフの多くがこの状態になると、リーダーの仕事は非常に楽になります。
そして、チーム一丸となって大きな目標に向かっていけるので、仕事へのやりがいは増し、リーダーとしての喜びを感じることができるはずです。
そんなリーダーの下で働けば、部下もリーダーを目指すようになります。
このような好循環が生まれるようになると、組織は成長していきます。
承認について書いた記事のリンクを貼っておくので、読んでみてください。
まとめ
リーダーとしての指示に対して、部下が言うことを聞いてくれない理由と、その解決方法を書きました。
介護のリーダーにとって、人に関する悩みは尽きないと思います。
いくらでも新しい人を採用できる業種や終身雇用が当たり前の時代であれば、リーダーの強権発動も通用したのでしょうが、深刻な人材不足である現在の介護業界においては、マネジメント能力が高くないとリーダーとして役に立ちません。
むしろ、人材の流出を招いてしまい、施設に致命的なダメージを与えてしまうこともあります。
この記事が参考になると幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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