阪神タイガースの矢野監督のガッツポーズが話題となっています。
プロ野球の歴史上、選手以上に喜びを表現する監督は初めてではないでしょうか?
このガッツポーズが賛否を呼んでいますが、スポーツ心理学に基づいて考えると、勝利に結びつく行為であることが証明されています。
今回の記事は矢野監督を通して、リーダーが喜びを表現する効果についてと、一歩掘り下げて、その土台となっている事柄についても触れていきます。
2019年矢野監督が行っているガッツポーズとは?
2019年、阪神タイガースの指揮官は、現役時代打てる捕手としてと二度の優勝に貢献した矢野燿大監督が就任しました。
矢野監督が就任してから、阪神タイガースのチームの雰囲気は明らかに変わりました。
バッタ―がヒットで出ると、ベンチにいる選手やコーチのほとんどが、その選手に向かって笑顔でガッツポーズをして称えるのです。
ヒットを打ったバッターは、それに応えてベンチに向かってガッツポーズを返します。
プロ野球において「明るいチーム」というのはこれまでもありましたが、矢野阪神の違いは、監督である矢野燿大さんが率先してガッツポーズに加わっているところです。
選手が結果を残すと、すぐに手を上げて笑顔で成果に対する喜びを表現するのです。
メディアから「矢野ガッツ」と名付けられ、話題となっています。
チームの中で一番成果を喜ぶ矢野監督
また、喜びの表現はガッツポーズや笑顔だけにとどまりません。
二軍で長くくすぶっていた高山選手がサヨナラ満塁ホームランを打った場面や、大腸がんの手術を経て、久しぶりに復帰を果たした原口選手がサヨナラヒットを打った場面では、他の選手を押しのけて、いの一番に本人に抱きついていました。
選手以上に野球を楽しみ、選手の成果を喜んでいるのが、矢野燿大監督なのです。
これまでのプロ野球の監督との違い
これまでのプロ野球の監督像は、ベンチでは表情を崩さない人がほとんどでした。
表情を変えるということは、相手チームに対して隙を作ることにつながるからです。
監督の心の動きはチーム全体に影響を及ぼします。
それを相手に読み取られないように、なにがあっても動じない姿勢をベンチで表していたのです。
また、無表情でいることで、選手の緊張感を保つ目的もあります。
しかし、矢野監督はプラスの感情については全力で表現しています。
このような監督はこれまで皆無だったといえます。
ガッツポーズがもたらすプラスの効果
ベースボールキングより引用
ガッツポーズには脳をプラスに変える効果がある、ということが分かっています。
人間の脳は、落ち込んでいる時などネガティブな感情でいる時でも、行動をプラスに変えることで、同じようにプラスに変わるとされています。
つまり、脳はガッツポーズという行為をすることで、なにか良いことが起こったと判断し、感情がポジティブに変わるのです。
人がパフォーマンスを発揮できる状態のひとつは「プラス思考にあるとき」ですから、監督や選手がガッツポーズを繰り返すことで、チーム全体がポジティブな思考を持てるようになっているのです。
リーダーが喜ぶことで周囲に与えるプラスの影響
選手は、リーダーである監督が喜んでいる、楽しんでいる姿を表現してくれることで、どのように感じるでしょうか?
脳科学の権威、西田文郎さんによると「人間の能力は、いかに楽しむか、心をワクワクさせるかによって発揮される」と著書の中に書いておられます。
人間は、楽しむことで能力を発揮できるようになっているのです。
矢野監督が喜びを表現することで、選手にとっても喜びが大きくなり、心がワクワクするような状態が生まれます。
当然選手のパフォーマンスは上がり、チームの成績は上がっていきます。
2019年6月時点での阪神タイガースにおいては、春から行ってきた矢野監督の姿勢がチームに浸透しつつあるようです。
その成果として、昨年最下位だったチームが優勝争いをしているのでしょう。
ただ単に監督が喜んでいるから、だけではない「承認」という重要なポイント
しかし、単にリーダーが喜んでいるだけでは効果は生まれません。
矢野監督はインタビューで答えているように、選手一人ひとりの普段の頑張りをよく見ているのです。
それが選手に伝わり、その頑張りを認めてくれる指揮官だからこそ、喜んでいる姿が選手にプラスとして伝わるのです。
つまり、矢野監督と選手の間には承認の土台ができているのです。
承認の土台がない状態であれば、選手はきっとこう思うはずです。
「結果が出た時だけ喜びやがって」
「普段の頑張りを知らないくせに、脳天気に笑いやがって」
「チームの成績が上がれば自分の成果になるから喜んでいるんだ」
このように、承認の土台がなければ、いくらリーダーが喜びを表現しても、選手はしらけるだけです。
そうならないのは、普段から監督が自分達を見てくれている、という信頼関係の賜物なのです。
「矢野ガッツ」に否定的な意見の理由は?
日本経済新聞より引用
矢野監督のガッツポーズは、非常に良い成果を生んでいます。
しかし、当初、主にプロ野球のOBの方からは、否定的な意見が聞かれていました。
「監督たるもの、選手と同じように喜んでいてはいけない。
いついかなるときも、次の場面を想定しなければならないのだから、喜んでいる暇はない」
というのがその方々の意見でした。
矢野監督が次の手を考えていないはずはありません。
それに加えて、選手のモチベーションを上げるために、喜びを表現しているのです。
どうやら、自分たちの時代の考えを当てはめて、批判しているようです。
恐らく、阪神タイガースの成績によって、これらの批判的な声は消えていくでしょう。
まとめ
阪神タイガース矢野照弘監督の、ガッツポーズや喜びを表現することが、チームにどのような影響を与えているか、ということを書きました。
重要なポイントは、ただ単に喜びを表現しているのではなく、選手一人ひとりを普段から把握しているという承認の土台の上に成り立っているからこそ成果が出ている、ということです。
矢野監督のように、成果が出ていない間の選手の様子を語れるリーダーを目指していきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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