突き詰めていくと、悩みの大半は人間関係です。
施設でリーダーの役割を担っている人は、多かれ少なかれスタッフとの関係において、悩みが尽きないでしょう。
- スタッフが自分の言うことを聞いてくれない
- 反発ばかりする
- 退職者が多い
と悩んでいるリーダーは多くいます。
今回の記事は、そんなリーダーにぜひ読んでいただきたい内容となっています。
正しく実行することで、悩みの多くが解決するはずです。
承認とはなにか?なぜ必要なのか?
リーダーが部下をまとめていくにあたって非常に重要な役割として「スタッフを承認する」ということがあります。
「スタッフを承認する」とは、リーダーが「自分を見てくれている、自分のことを考えてくれている、自分のことを信じてくれている」とスタッフが感じることができるようにすることです。
人は承認されていない相手から褒められても、叱られても、受け取ることができません。
たとえば「よく頑張ってるじゃないか」と褒められても、承認の関係ができていないければ「見てもいないのにあなたになにがわかるの?」との反応になります。
逆に叱った場合も「なにも知らないくせに、なぜ叱られなければならないのか」であったり「機嫌で怒りやがって」とネガティブにしか受け止められません。
リーダーの言葉をきちんとスタッフに届けるため、逆に言うと、スタッフがリーダーの言葉をきちんと受け止められるようにするには、承認という土台がなければいけないのです。
スタッフを承認する3つの行動
スタッフを承認するためにリーダーがしなければならないことは、次の3つです。
- スタッフの良い行動をその場で褒める
- スタッフを思いやる
- スタッフを信じる(スタッフの可能性を信じる)
この3つを徹底的に行うことで、スタッフはリーダーから承認されていると感じます。
それぞれの方法を詳しく書いていきます。
スタッフの良い行動をその場で褒める
スタッフの良い行動を見たら、その場ですぐに褒めると、スタッフはポジティブに受け取ることができます。
リアルタイムで褒められると、リーダーの言葉を疑う余地がありません。
頑張っている姿を認められると、スタッフは嬉しい気持になりますし、さらに行動しようとします。
さらに褒めることによって積み重ねられ、承認の土台ができます。
スタッフを思いやる
スタッフを見ていてなにか気になることを感じたら、積極的に声をかけましょう。
たとえば、少し沈んだ表情をしていると感じたら「どうした?元気ないように見えるけど?」と尋ねます。
逆に嬉しそう、楽しそうにしているときも「なにかいいことあった?」と声をかけましょう。
すぐに胸の内を話してくれるとは限りませんが、積み重ねることによって「自分のことを気にかけてくれている」というのが相手に伝わります。
私が施設長をしていたときは、スタッフが出退勤でタイムカードを打つ際に、挨拶+αで声をかけるようにしていました。
体調のことであったり、仕事や人間関係が順調かどうか、その他世間話しをできる限りすべてのスタッフとするように心がけていました。
連続勤務が続いていたら「ありがとう、無理させてごめんな」と声をかけますし、夜勤中に救急搬送の対応をしてくれたスタッフには「適切な対応ありがとうね、助かりました」と伝えます。
また、他のスタッフから聞いたスタッフの良いところを「○○でがんばってくれてるって聞いてるよ、ありがとうね」と伝えるようにしました。
人から聞いたポジティブなことを本人に伝えると、本人のやる気が上がるだけでなく、教えてくれたスタッフとの関係も良くなります。
AさんがBさんのことをCさんに褒めていたとして、それをCさんがBさんに伝えると、AさんとBさんの関係も良くなるということです。
人伝いに褒めるという行為は、プラスの効果が2倍にも3倍にもなることがあります。
スタッフを信じる(スタッフの可能性を信じる)
リーダーがスタッフに自分を信じてもらいたいとを思ったら、まずリーダーがスタッフを信じなければなりません。
自分が信用していないのに、相手が信用してくれることはないからです。
人間には「返報性のルール」というものがあり、なにかをしてもらったら、自分も相手に返さなければならない、という心理が働くようになっています。
リーダーが信用をスタッフに与えることで、スタッフもリーダーに対して信用を返してくれるようになるのです。
たとえば、スタッフがミスをしたとき、リーダーがそれをとがめるのではなく「一生懸命やっている中で起こったんなら仕方がない。あなたが仕事で手を抜くわけがない」と信用を示したとしましょう。
スタッフはどのように思うでしょうか。
自分を信用してくれているリーダーに対して申し訳ない気持ちと、信用に応えるために同じようなミスは起こさないようにしよう、と考えるはずです。
逆に、リーダーが「気を抜いているからそんなことになるんだ」とスタッフを責めたら、スタッフは自分を守るために、ミスの言い訳を考えるようになってしまいます。
仮に今信用に足るほどの仕事ができていないとしても、将来的にそうなると信じてスタッフにかかわらなければなりません。
承認すると現れる効果とは
承認を積み重ねて、承認の土台ができると、チームは劇的に変わります。
それによる効果は、具体的に言うと「陰口が減る」「退職者が減る」「スタッフが前向きになる」の3つです。
陰口が減る
スタッフの陰口の多くは、会社やリーダーに対しての不満です。
「会社はなにを考えているんだ」とか「リーダーのやり方に納得がいかない」といったものです。
リーダーとスタッフが承認の土台を築くことができれば、会社やリーダーの方針に信頼を寄せることができるため、不満による陰口が減ります。
スタッフが前向きになる
人間は人から認められたいという欲求を持っています。
それが満たされないと、不満を感じるようになります。
「こんなに頑張っているのに、なぜ認めてくれない」といった不満です。
逆に、承認の欲求が満たされると、仕事に対して前向きになります。
承認の土台をつくることは、承認欲求を満たすことであるため、スタッフを前向きにすることができます。
退職者が減る
リーダーがきちんと自分を見てくれている、というチームでは、退職者が明らかに減ります。
退職の原因の1位は「人間関係が原因」となっています。
人間関係の中には、会社やリーダーに対する不信や不満が大きく占めています。
承認の土台をつくることで、それらの問題が解決され、退職者が減るのです。
実際に私が施設長をしていた施設でも「承認の3つの行動」を実践した結果、極端に退職者が減りました。
約50名の介護スタッフのうち、それまでは年間平均10名を超える退職者が出ていました。
しかし実践1年後からは、年間に多くても2名までの退職者に減少しました。
まとめ
リーダーの役割としてもっとも重要なものは「スタッフのことをしっかりと考える」ことです。
人は誰しも人から大切にされたい、認められたいと思っています。
リーダーがその欲求を満たすことで、スタッフの満足感は高まります。
承認の土台は一朝一夕でできませんが、積み重ねると間違いなく効果がでます。
人間関係の問題を根本から改善できるほどの大きな効果です。
ぜひ実践してみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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