まったく介護の経験がない新人が、入職後どれぐらいで一人前に仕事ができるようになるかというと、だいたい早い人で3ヶ月、遅い人でも半年ぐらいです。
一人前というのは、夜勤も含めたすべてのシフトに入れるようになり、先輩職員がついていなくても、ひと通りの介護や業務をなんとかこなせる状態を指します。

誰でもそれぐらい一人前になれるのですか?

もちろん個人差はありますが、目安として半年ぐらいでできるようになりますよ
当然人によって成長に差があるので一概には言えませんが、私の経験則で言うと、学校を卒業して社会人経験なく入職した人の方が、成長は早いです。
まっさらな状態の方が素直にいろいろなことを吸収できるからでしょう。
今回はひとり立ちに至るまでに必要な過程を書いていきたいと思います。
業務がひとりでできるようになる
介護の現場では次のような業務があります。
業務とは、直接利用者にかかわらない、雑務などのことをさします。
- 利用者の居室のゴミ集めや掃除、シーツ交換
- リビングやフロアのごみ集めや掃除、ゴミ出し
- おむつや洗剤など、介護に必要な物品の補充
- 食事の準備など
流れとして、利用者とコミュニケーションをはかることと並行しながら、これらの業務を覚えていくパターンが多いのではないでしょうか。
施設によっては「介護補助」という、直接利用者とかかわらない業務を専門とする職員がいるので、介護職が担わない場合もあります。
起床介助(モーニングケア)や朝食介助からかかわる「早出」、昼食をまたいで勤務する「日勤」、夕食や終身介助(ナイトケア)にかかわる「遅出」、そして夜間対応を行う「夜勤」、それぞれの勤務で行う業務も変わります。
各利用者を把握し信頼関係をもって支援することができる
書類の確認や直接コミュニケーションをとるなど、かかわりをもつことによって利用者を把握していきます。
- 排泄介助や食事介助、入浴介助といった「三大介助」
- 施設や屋外の移動はどうやってするのか、その時の注意点は?
- ベッドから車椅子に移る移乗方法はどうやってするのか?
その他にも、抱えている病気などによって、普段どんなことに注意しなければならないのか、といったことを把握していきます。
また介助を行う上では、利用者と信頼関係を作っていく必要があります。
利用者の立場からすると、もっともプライバシー性の高い排せつや入浴の介助をしてもらうには、信頼関係がなくては気兼ねなくゆだねることができません。
信頼関係を作るには、相互理解が必要です。
利用者を知り、そして利用者にも自分という人間を知ってもらわなければなりません。
お互いが理解し合うこと、それがコミュニケーションであり、信頼関係の構築につながるのです。
排せつ介助への抵抗がなくなる
日常の生活の中で、他人が排せつをしている空間に入ることはありません。
介護職をすることによって初めて他人の排せつ物を目にしたり、処理したりする人が多いはずです。
介護の仕事で、もっとも大きな抵抗を感じるところではないでしょうか。
しかし、3ヶ月もすればその抵抗は解け、順応していけるようになります。
たとえば、飲食店や物販など、お金を取り扱う仕事をしていると、良い意味でお金がお金に見えなくなってきます。
お金は商品と引き換える際に必要なものであり、どれだけ売り上げが上がったか、という仕事ぶりを評価する指標になるものであって、日常自分が使っているお金とは違う感覚になります。
そうでなければ、多額の現金を目の前にして、冷静ではいられません。
それと同じように、介護の仕事における排せつ物に対する感覚も、日常とは違うものになります。
排せつ物は、利用者が健康を維持するために、ある程度の間隔で出さなければならないもので、健康状態を確認するためのものです。
そして、利用者が清潔に過ごすために処理しなければならないもの、という感覚になります。
その感覚になれば、抵抗も減少していくでしょう。
職員との関係が構築できる
介護はチームでおこなう仕事です。
スムーズなチームワークによって、利用者に質の高い生活を提供することができます。
それには、チームを構成するメンバーが、互いを理解する必要があります。
先輩職員は新人の成長状況を把握し、新人職員は先輩職員の動きを見ながら自分がどのように動かくことがチームとして機能するのか、理解しなくてはなりません。
それには普段からのコミュニケーションが大切です。
コミュニケーションを通じて互いを知り、認め合い、欠点を補い合える関係を作っていくことが、チーム力を向上する重要なポイントだからです。
介護の仕事は利用者を知るだけでなく、介護職同士がお互いを知ることも大切なのです。
まとめ
ひと通りの仕事ができるようになるまで、つらい思いをすることも少なくないでしょう。
途中で投げ出したくなったり、やめたいと思うことがあると思います。
そんなときは、今バリバリ働いている先輩職員も、最初から今のように働けたわけではないことを考えてください。
そして、勇気をもって先輩に相談してみましょう。
きっと乗り越える方法をアドバイスしてくれるはずです。
もっともつらいのは最初の3ヶ月です。
その壁を乗り越えることができたら、介護の仕事の楽しみを理解できる日が必ず来ます。
あきらめないで乗り越えてください。
先輩職員は、新人スタッフが壁を乗り越えられるように支援してあげてください。
新しい介護職がすばやくチームになじんで、介護の楽しみを感じられることを願ってやみません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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