自分は高齢者が特に好きなわけじゃないし、人の役に立ちたいとは思うけれど、奉仕の精神があるわけじゃない。介護の仕事は「好きじゃないと続かない」とよく聞くし、それにイメージも悪いよね。3Kだし自分には無理かなと思う。こんな気持ちから介護の仕事をはじめて、続いた人はいるのかな?
こんな疑問を解決します。
この記事の内容
介護の仕事は、きつい・汚い・給料が安いと3Kの仕事として敬遠されがちですよね。
17年間介護の仕事にたずさわってきた私も、御多分に漏れず同じ思いでいました。
スタート時はなんの志もなく、親を安心させるためにヘルパー2級の資格を取りに行ったら、いつのまにか介護職をしていた、というくちです。
しかし、そんな私だからこそ、本当に好きで介護の仕事をはじめなくても、この仕事の魅力がわかれば天職になると断言できるのです。
持論としては、介護の仕事の入り口はなんでもよい!です。
介護の仕事が嫌だった理由
私が介護の仕事をしたくなかった理由をあげていきます。
たぶん、介護未経験のかたも、同じようなイメージを持たれているのではないかと思います。
この記事の後半で現実の話し、つまり実際に働いてみたらこうだったよ、ということを書いていきます。
介護の仕事にふみだすための参考になればと思います。
まとめると次のような内容となります
掘り下げていきます。
給料が安いと聞いていた
実際に介護の仕事をしている女性から「男性は介護の仕事では給料が安くて結婚できないかも」と聞いていました。
ただ「ケアマネジャーや管理者になればそれなりの給料がもらえるはず」という話しも同様に聞こえてきました。
前職で服屋さんの店長をしていた関係から、がんばれば昇進できるというセルフイメージを持っていたので、そのあたりはなんとかなるだろうと考えていました。
で、結論を言うと、なんとかなりました(笑)
給料面でいうと、景気にほぼ影響を受けません。
介護サービス事業所の規模にもよるでしょうが、大きいところだとボーナスが出ないということも少ないでしょう。
ただし、3年に1回の介護報酬改定法により影響を受けるので、一時期もうかっているからといってすぐに給料はあがりにくいですね。
なぜなら、国によって収益をコントロールされるからです。
もうかっているサービスについては報酬をさげるかたちで、収益が低いようであれば報酬をあげるかたちで介護報酬が改訂されます。
今期もうけが多く出ているからといって、来期も同じようにもうかるとはかぎらないのです。
女性の職場で人間関係が悪いと聞いていた
最近は男性の介護職も増えて、全体の30%を超えています。
しかし、私が就職した17年前は10%もいなかったと思います。
介護は完全に女性中心の職場だったわけです。
ですから、男性がなじむのはむずかしいと言われていました。
今では男性、女性関係なく人間関係のむずかしい職場と言われています。
閉鎖的な業界で、新しい人がなじむには時間がかかります。
また、排他的な考えを持つ人も多いかもしれません。
おそらくその原因は、介護職に「自己肯定感」の低い人が多いからではないでしょうか。
別記事にくわしく書いていますので、ご覧ください。
社会的な評価が低い
介護の仕事は社会的な評価が低く、介護福祉士という国家資格を取得しても、なかなか専門的な仕事という見方をされないところがあります。
それにくわえて「私の時代は男性に家事や人の世話をさせるなんて申しわけない」という意識が強い世代の方がおおくいらっしゃいました。
ですから私がお茶をだすと、ほとんどの人からたいそう気を使われたものでした。
介護の社会的評価が低い理由は、次の記事をご覧ください。
汚い仕事をしなければならない
私がいちばんのネックと感じていたのは、排せつ介助です。
ふだんの生活で人の排泄にかかわることはありません。
ですから、精神的に大きな抵抗がありましたし、それだけはどれだけがんばっても受けいれられないだろうと思っていました。
しかし、ヘルパー2級の現場実習で特別養護老人ホームに行き、そこで右も左もわからないまま入浴介助をさせられてから、排せつ物になれてしまいました(笑)
というのも、その施設はたいがいひどく、おしりを洗うとべったりと大きい方がタオルにつくのです。
おかげで洗面器は常に茶色いどぶのような状態になっていました。
いちどに10人程度の人がはいれる浴室で、数十人のかたのおしりを無我夢中で洗ったおかげで、抵抗がなくなってしまったというわけです。
実際に介護の仕事をした結果
私は、絶対嫌だと思っていた介護の仕事にいつのまにか就職することになりました。
そして、すでに17年が過ぎています。
やってみた結果どうだったのかを書いていきます。
給料は自分次第で稼げる
「介護職は給料が安い」とよく言われます。
たしかにそれはまちがいありません。
しかし「いち介護職」のままいるから給料が安いわけで、昇進していけばそれなりの給料を得ることができます。
たとえば、現場のリーダーや施設のケアマネジャー、施設の管理者になっていけば、おのずと給料は上がっていくのです。
そんなことを言っても、だれもが出世できるわけじゃないよね?出世できない人はどうするのさ。えらそうに言うなよ。
そういう反論があるかもしれません。
もちろんだれもが出世できるわけではないですが、それは他の仕事でも同じことでしょう。
努力して成果をあげなければ出世することはできません。
しかし、他の仕事とくらべたら、チャンスは多いと感じています。
なぜなら、事業所の数がたくさんあり、そのぶん管理者が必要になるからです。
もちろん介護の仕事をする人も増えているので、競争率はあがるかもしれません。
しかし、だれしもが管理者を目ざしているわけではありませんし、むしろそこまで出世に意欲を持っている人は少ないです。
ですから、他の業界で努力するよりも、出世するチャンスも多いですしスピードも早いですね。
ちなみに具体的な金額は言えませんが、それなりのポジションに着けば、年齢の平均年収をこえる給料を手にすることは可能です。
介護の仕事は奥が深い
介護の仕事は生活全般を支える仕事になります。
しかも、ただ支えるだけではなく、介護が必要な高齢者を主体にして、そのかたが自分の求める生活を実現できるよう、自立支援していくことが役割となります。
この役割を果たそうと思ったら、次のような技術や知識が必要になります。
具体的な内容として、ほんのごくごく一部をあげます。
介護の目的である自立支援を実現しようと思ったら、介護の仕事は本当に奥が深く、むずかしい仕事になります。
人間の本質を理解したり、生きていく意欲をひきだしたりといったことから、具体的な身体のつくりや動き、ふだん自分がどのように身体を動かしているのか、といったことを意識しながら、それを支援する際にいかしたりと、今まで自分がどれほど無意識にいろんなことをしていたのかがわかります。
かんたんにできないからこそやりがいを感じるし、うまくいったときによろこびを感じることができるのです。
そして、自分でできることが増えていく高齢者を見ながら「やっててよかった」と思うのです。
本気でやれば人間性をみがくことができる
介護は「他人の人生を支える仕事」になります。
自分の価値観や考え方を横において、他人の価値観や考え方にフォーカスし、そこからもとめる生活を支援していくのです。
ですから、相手の立場に立って、相手の価値観でものごとを考えることが必要になります。
それができれば、自分の周囲の人たちに対しての接し方も変わってきます。
相手の気もちを考え、相手の立場を重んじ、相手がどのようにしてほしいかを考えることができるようになるのです。
これは人間関係を良好にするためにとても大切なことです。
介護の仕事をすれば、おのずとその部分がみがかれていくはずです。
汚いものがそう見えなくなる
最後に汚い仕事という部分ですが、これについてはなれますし、ちがうものに見えてくるようになります。
排せつ物は、身体の状態を知る重要な情報だからです。
たとえば、お金を扱う仕事、コンビニやスーパーなどのレジ打ちをしたとします。
そこにはお金がありますが、自分のお金とはちがう感覚でとらえていますよね。
お金だけれどお金じゃないような感覚と言いますか、つまりそれを使ってどうこうしようとしないので、自分にとってはお金の役割を果たすものではないという見え方になります。
介護における排せつ物についても同じようなとらえ方になるのです。
つまり、排せつ物は汚いものではなく、利用者の健康のために定期的に出さなければならないもの、そして形状や質、においなどによって健康状態を確認するためのもの、という感覚ですね。
ですから、汚いものという感覚が軽減していくのです。
安心してください(笑)
まとめ
介護の仕事をするのが嫌で仕方がなかった私が、介護を天職と思うようになった理由を書いてみました。
私が経験した限りでは、今世間で言われているイメージを覆すのに十分な魅力のある仕事です。
たいていどんなことでも、実際にやってみたら全然ちがったということはよくあることですよね。
ですから、少しでも興味があるのであれば、飛びこんで実際に経験してみるのがいちばんかなと思いますね。
得られるものは他の仕事よりも多いかもしれません。
個人的な意見としては、そのように感じてます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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