クルド・レヴィン氏が提唱する3つのリーダーシップスタイルのうちの、専制型リーダーシップについて書いていきます。
この記事の内容
この記事を書いている筆者の簡単な経歴は次の通りです。
さて、専制型リーダーシップに対して、あまり良いイメージがない人も多いですよね。
特にメンバーの立場としては、専制型のリーダーの下で働くのは辛そうだな、と感じるかもしれません
実際にどうなのか、専制型リーダーシップの特徴や欠点などを書いていきます。
専制型リーダーシップの特徴やメリットとは
専制型リーダーシップの特徴を書いていきます。
まとめると次のようになります。
- すべての事柄をリーダーが決める
- 短期的には生産性が高い
- 未成熟なメンバーが多い場合に向いている
- 緊急事態や危機的な状況では効果的
- チームを素早く変えることができる
掘り下げていきます。
すべての事柄をリーダーが決める
専制型リーダーシップでは、リーダーがチームのすべてにかかわり、決定権を持ちます。
そして、トップダウン形式でメンバーに指示を出します。
たとえば、昔の日本の軍隊がこの形ですね。
隊長の指示がすべてとなります。
時にはリーダーからの指示で命を懸けることを求められたわけです。
また、昭和の時代の運動部、特に野球部なんかもこの形です。
監督の指示がすべてであり、選手は一切口ごたえできません。
高校野球なんて半端ないぐらい監督が力を持っていましたね。
選手が歯向かうなんてことは、猫が金魚を出産するぐらいありえないことだったのです。
というわけで、繰り返しになりますが、専制型リーダーシップとは、リーダーがメンバーに対して絶対的な権力を持っており、メンバーはリーダーの指示に従う立場となります。
短期的には生産性が高い
専制型のリーダーシップは、短期的には生産性の高いリーダーシップスタイルです。
メンバーに有無を言わさず行動を強いることができるため、早期に成果が出やすくなります。
課題に対する検討から決定、行動まで短時間で済むからです。
リーダーが問題を感じたら、すぐに対応の手を打つことができます。
また、新規の事業に対しても、すぐに実行することができます。
非常にフットワークが軽く、動きの取りやすいチームの形ですね。
ただ、リーダーの判断が間違っている場合、チーム全体が不利益を被る形になります。
メンバーはリーダーの指示に従うだけであり、たとえ間違った方向に進んでいると感じても、意見できないからです。
未成熟なメンバーが多い場合に向いている
専制型リーダーシップは、まだ業務に精通していない、未成熟なメンバーが多い場合に向いているリーダーシップスタイルです。
なにをしたらいいのかが理解できていない場合、上司からの指示によって素直に動くことができるからです。
たとえば、まったくの未経験の新人であれば、まずは先輩の指示を欲します。
それがないと動くことができません。
なぜなら、必要な行動を考えたり、判断したりする情報が圧倒的に不足しているからです。
だから先輩から降りてくる指示を忠実にこなそうとします。
このように、リーダーからの指示に忠実に動ける状態であれば、専制型リーダーシップは生産性の高いリーダーシップスタイルとなります。
緊急事態や危機的な状況では効果的
専制型リーダーシップは、緊急事態や危機的な状態の対応に向いたリーダーシップスタイルになります。
即座に判断して行動しなければならない状況では、メンバー間が話し合って結論を出す、というプロセスを踏んでいる時間がないからです。
だから、緊急事態ではリーダーがメンバーに指示を与え、メンバーはその指示に即座に動く、という専制型リーダーシップが有効になるのです。
チームを素早く変えることができる
専制型リーダーシップは、リーダーの決定がすべてとなります。
だから、新しいものを行ったり、今あるものを変える際のスピードが速くなります。
メンバーはリーダーが打ち出した方針に従うしかないので、一時的に方向性を変えることが容易にできるのです。
専制型リーダーシップの欠点とは
専制型リーダーシップには欠点があります。
民主型リーダーシップとくらべると、チームの限定的な場面で有効なリーダーシップであり、通常の状況には向いていません。
まとめると次のようになります。
- 人材が育たない
- メンバーに不満が溜まる
- 長期的になるとチームが崩壊する
掘り下げていきます。
人材が育たない
専制型リーダーシップでは、メンバーの成長が期待できません。
メンバーはリーダーの指示で動くので、自分で考えて行動することがないからです。
だから、メンバーは指示待ち人間になります。
指示待ち人間の特徴としては、指示を「~しなければならない」と捉えます。
人が物事に取り組むとき、「~しなければならない」とやらされる状態より、「~したい」と自発的に行動する方がモチベーションが上がり、仕事の質もスピードも高まります。
専制型では自発的に行うことでモチベーションを高めることが難しいのです。
また、専制型リーダーシップの下では、成功体験を感じにくくなります。
自分で考えて成功したわけではないので、自分の力で成し遂げることができた、と実感しにくいのです。
メンバーに不満が溜まる
専制型リーダーシップでは、リーダーがすべての事柄において決定権を持ち、指示を出すため、それに納得できないメンバーには、大きな不満が溜まっていく可能性があります。
リーダーがメンバーの意見を聞くことはなく、また話し合える場もありません。
自分で考えるのが嫌で、上司からの指示をただこなしている方が楽、と思うメンバーには合うかもしれませんが、それなりの熱意をもって仕事をしている人にとっては、やらされ感になって仕事へのモチベーションが下がっていく可能性が考えられます。
まだ成熟していない状況であれば、メンバーに判断軸がないため、専制型リーダーシップの下でも大きな問題にはなりません。
しかし、メンバーがそれなりの経験を積んでいくと、ある程度状況が見えてくるようになります。
ですから、専制型リーダーシップは優秀な人材が多ければ多いほど、メンバーから反発を招いて、チームがうまく機能しなくなるということです。
長期的になるとチームが崩壊する
繰り返しになりますが、専制型リーダーシップは、メンバーの成熟度が低く、これからいろいろ学んでいかなければならない状況においては、その威力を発揮します。
メンバーは指示がないと行動するのに時間がかかってしまうからです。
しかし、仕事に徐々に慣れていき、それなりの知識と経験が手に入ると、自分の価値観で仕事について考えるようになります。
そして、メンバー個々にアイデアを持つようになります。
専制型リーダーシップでは、メンバーのアイデアを吸い上げる形になっていません。
メンバーにとっては不満が溜まることになり、リーダーの指示を聞かなくなる可能性があります。
そして、退職につながることになるのです。
まとめ
専制型リーダーシップについて書きました。
専制型リーダーシップは、普段のチーム状況において、長期的に採用するべきリーダーシップスタイルではないと言えます。
デメリットが大きく、チームの崩壊を招く可能性が高いからです。
しかし、緊急時やチームのメンバーに未成熟のものが多い場合は、有効なリーダーシップと言えます。
つまり、限定的に使えば、十分に効果のあるリーダーシップなのです。
普段は民主型リーダーシップによりチームを動かし、特定の場面のみ専制型リーダーシップを発揮する、といった形で使い分けていきましょう。
というわけで、今回の記事はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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