チームワークを高めるためには、目標が必要だと聞きました。介護の目的は自立支援なので、その目的があればいいのではないでしょうか?どうして目標が必要なのでしょう?
こんな疑問を解決していきます
この記事の内容
チームとは、目的を達成するためのグループです。
そして、目的を達成するためには、目的達成までの目印となる目標が必要となります。
なぜなら、目標がないと目的に向かって進められているかの達成状況がわかりにくくなるからです。
今回の記事では、このあたりを詳しく書いていきます。
目標がないとチームはどうなるか?
チームワークを高めていくためには、「目標」はなくてはならない「不可欠」なものです。
では、仮にその目標がないと、チームはどうなってしまうのでしょうか?
次のようなことが考えられます
掘り下げていきます。
メンバーがどこに向いて進めばいいかわからなくなる
チームとしての目標がないと、メンバーはどこをめせばいいのか、そしてなにをしなければならないのかがわからなくなります。
到達地点がないので、現在地からどうやって進めばいいのかが見えないからです。
目的があるんだから、目標がなくても問題ないんじゃないの?
そんな反論があるかもしれません。
たしかに、目的地は定まっています。
ひとりで行くのであれば、問題ないかもしれません。
しかし、チームで行こうとすると、目的地だけでは不十分なのです。
たとえば、複数の家族がいっしょに旅行に行くとしましょう。
目的地を決めたら、次になにをしますか?
どんな手段を使って、どんなルートで行くかを決めると思います。
そして、まずはどこに集合するのかを決めることになるでしょう。
ですから、集合場所が最初の目標地点になります。
ここを決めておかないと、いっしょに目的地まで行くことはできません。
それぞれの価値観で方法を決めてしまう
介護に戻して考えてみましょう。
自立支援を目的としている介護の場合、その意味あいは広く、ケースによっていろいろな到達地点が考えられます。
たとえば、車いすでを利用しているかたで、移動を介助されている利用者さんの自立支援をめざすとします。
すると、次のような方法が考えられます。
3つすべて、自分で移動できるようになります。
ですから、目標をどこに置くか決めていないと、Aさんは車いすの操作のしかたを利用者さんに教えようとするかもしれませんし、Bさんは電動車いすを借りてくるかもしれません。
そしてCさんは車いすを使わず、下肢筋力がきたえられるよう、生活の中で機能訓練に励むかもしれません。
1つの目標を決めておけば、もっと効率的に、適切な方法で自立できるはずなのに、みんながそれぞれちがう方向をむいてしまっては、目的の達成すらできなくなる可能性があります。
なにより、利用者さんが混乱してしまいますよね。
人間関係が悪くなる
チームのメンバーが目標を持たず、各々の考えで行動するようになると、まちがいなく人間関係が悪くなります。
なぜならメンバー全員が、基本的に自分のやっていることが正しいと思っているからです。
ですから、自分とはちがう方向に進んでいる人と意見がぶつかるようになります。
その結果、似た意見を持った人同士が集まって派閥をつくり、ほかの派のやりかたを批判するようになるのです。
派閥ができると収拾がつかなくなってしまいます。
ですから、目標をしっかりと定め、どの方法でいつまでに達成するのかを明確に決め、共有する必要があるのです。
目標があるとチームはどうなるか
目標をしっかりと定め、期日を設定してチームで共同すると、次のような効果が得られます。
これらを掘り下げていきます。
スタッフの目標ができ、向上心を引き出すことができる
チームの目標ができると、その目標を達成するために必要な個人の能力が明確になります。
つまり、チームメンバーの個人的な目標を立てることができるようになるのです。
たとえば、ある利用者さんに対して「現在の車いす移動から、自分で歩いてもらうようになる」という目標を立てたとします。
そのためには、利用者さんに「自分の足で歩きたい」というモチベーションを維持してもらい、下肢筋力を向上させ、歩けるように支援しなければなりません。
介護職のAさんは、モチベーションを維持するためのかかわりが苦手だとしたら、その向上が目標になるでしょう。
逆に、下肢筋力を向上するための支援が苦手な介護職のBさんは、そのかかわりの上達が目標になるかもしれません。
そうやってチームの目標にそって個人の目標を立てると、自分の成長がチームの成長になるため、メンバー全員が主体的にチームの目標に取り組むようになります。
チーム全体の評価を個人の連携で達成する意識
また、個人の目標の達成を目指すいっぽうで、介護職それぞれの得意なところを活かし、役割分担することで、チームワークが高まっていきます。
よく「ライバルをつくることで人は成長する」と言いますが、ライバル関係として好ましいのは、ひとつの成果を競う形ではなく、チームの目標を達成するために個人の成長を競う形です。
ひとつの成果を競う形になると、相手の評価を下げることで、相対的に自分の評価を上げることができてしまいます。
そうなると、相手の成功を素直によろこべませんし、つい悪い気持ちがでてしまい、相手の失敗を願うようになります。
これではチームワークの成果が最大化しなくなります。
分担した役割の中で、それぞれの成果を競う形にすれば、お互いが相手を上まわる成果を出そうとして、その結果チームの力が向上していくのです。
仕事にやりがいが持てるようになる
目標をかかげて、それをチームで達成できると、成功体験になります。
それは個人のよろこびだけでなく、チームのメンバー全員でよろこべるものです。
人は自分がよろこべるのと同時に、他の人にもよろこんでもらえることで、満足感が高まります。
成功体験をすると自信となり、人はさらなる成功体験を求めるようになります。
そうやって新たなチャレンジをくりかえし、ますます成長していくのです。
このサイクルが仕事に対するやりがいにつながっていきます。
まとめ
チームワークを高めるために「目標」が不可欠である理由を書いてみました。
まとめると、個人の成長がチームの成長につながり、チームとしての成果につながります。
そのためには、まずチームとしての目標が必要であり、その目標に添う個人の目標がいるということです。
そして、目標に向けて取り組むなかで、全体的なサービスの質があがっていくということですね。
そうするためには、ただ単純に目標をかかげればよいというわけではありません。
チームメンバーのひとりでも多くの人が、目標を達成することで得られる成果に、ワクワクすることができるかが重要となります。
ですから、目標は非常に大切なのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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