北海道札幌市東区で、介護職が利用者の顔面を殴り、死亡させるという事件が起こりました。
つい最近、熊本の施設で虐待がニュースになっていた矢先のことです。
同じ介護の仕事をしているものとして、非常に残念な気持ちです。
今回はこの虐待のニュースを取り上げます。
札幌市の障害者殺人事件の概要
事件は札幌市東区の共同住宅で、2019年7月19日、午後5時30分から20日の午前7時25分までの間に発生しました。
この共同住宅で介護サービスを利用しながら生活していた無職の男性、山下茂樹さん(35歳)の顔面などを何度もなぐったりけったりし、脳ヘルニアにより死亡させた疑いがもたれています。
山下さんはひとり暮らしで、身体に重い障害があり、寝たきりの状態であったということです。
そのため、24時間態勢で介護を受けていました。
ニュースでは「介護サービス」となっていますが、山下さんは35歳と若く、身体に障害があったということで、障害者サービスを利用していたと推測されます。
傷害致死の疑いで逮捕されたのは、太田幸司容疑者(24歳)です。
訪問介護サービスの介護職員で、その日は泊まり込みでサービスの提供を行っていたということです。
太田容疑者は犯行の動機として「寝付かないから腹をたててやった」と答えているとのことです。
犯行後、太田容疑者は引き継ぎの際に、山下さんの体調について「変化なし」と申し送っていたことがわかっています。
しかし、引き継いだ介護職員が、嘔吐や呼吸の乱れなどの異変に気づき、病院へ搬送しました。
そして、状態を不審に思った搬送先の病院が、警察に連絡をしたことで事件は発覚しました。
身体には19日以前にできたと思われる皮下出血も発見されているとのことです。
容疑者が虐待に至った要因は?
今回の事件は障害者に対する虐待と考えられます。
では、介護職による、障害者に対する虐待の発生要因は、どのようになっているでしょうか?
介護職による障害者に対する虐待の発生要因
市町村等職員が判断した虐待の発生要因の項目は、高齢者虐待の発生要因の項目とほぼ同じものになっています。
ただ、高齢者虐待の要因にある「個人の資質や性格によるもの」という項目がありません。
容疑者が虐待した要因は、個人の資質や性格の問題?
今回の太田容疑者の虐待の要因は「個人の資質や性格によるもの」であるように思います。
なぜなら、被害者が寝たきりの男性で、容疑者は犯行の理由を「寝つかないから腹を立てた」と供述しているからです。
寝つかないからという理由で、なんども顔をなぐったりけったりしています。
自分の思い通りにいかないことに腹を立て、なんども暴力をふるっていることを考えると、個人に問題があったと言わざるを得ません。
もしかしたら、寝つかず、大声を出すなどのことがあったのかもしれません。
それに対応しきれずの犯行におよんでしまった可能性も考えられます。
ニュースではそのあたりが明らかにされていないのでなんとも言えませんが、いずれにしても、抵抗することができない状態の相手を、死ぬまでなぐるのは、異常ですね。
2人っきりの空間
在宅で24時間の介護サービスを受けていた山下さんですが、介護職と2人っきりになる時間がかなり長かったと推測されます。
だれも見ていない環境で、容疑者はつい手を出してしまったのかもしれません。
高齢者介護でも同じくですが、2人っきりだと感情のコントロール、行動の抑制がむずかしくなるようです。
被害者の山下さんの身体には、今回の犯行の前にできたと考えられる皮下出血が見られるということですから、虐待が以前から常態化していた可能性もあります。
介護サービスは閉鎖的な環境で提供されるため、発覚が遅れてしまいやすいですね。
まとめ
札幌市の、寝たきりの男性が、介護職員によってなぐり殺される、という事件について書きました。
被害者の方は、もしかしたら今回の事件に至るまでの間も、苦しい思いをされていたのではないでしょうか。
殺害されてしまう前に、虐待の兆候に気づけなかったのかと思うと、とても残念に思います。
おそらく、被害者が寝たきりで24時間の在宅サービスを利用しているところから、サービスを提供している介護職以外の目が入りにくい環境だったのではないかと推測されます。
しかし、人手不足の中で、介護職とサービスを受ける利用者が2人っきりになってしまう環境をさけるには、ご家族やそのほかの第三者が入る形でないとむずかしいです。
常時2人の介護職員をによってサービスを提供することは不可能でしょう。
ただ、これだけ虐待事件が多いことを考えると、監視カメラを設置するなどの対策が必要なのかもしれません。
それについては、利用者のプライバシーをいかに守っていくか、という別の問題が出てきますが。
いずれにしても、大きな虐待事件がこれ以上起きないよう、抜本的な対策が必要なのかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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