介護職のチームワークがなかなかうまくいきません。できる人、できない人がいて、できない人が排除されてしまう空気があります。どうしたらいいでしょうか?
こんな悩みを解決します
この記事の内容
介護の職場で退職理由の1位は「人間関係の問題」となっています。
人間関係が悪ければ、チームワークはうまく機能せず、良いサービスを提供することができません。
ということで、チームワークを向上するために、職員同士がなにをすればよいかを書いていきます。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説というものがあります。
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが唱えた説で「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階にわけました。
そして、下層の欲求が満たされると、次の層の欲求があらわれると説いています。
チームの人間関係において影響してくるのは、このうちの「所属と愛の欲求」と「承認欲求」になります。
ここが満たされないと、チームの人間関係がうまくいきません。
たとえば、いじめが起こったり、派閥ができたり、同じ目標に向けて進めなかったりといったことが起こります。
チームワークの質を高めていくために非常に大事な部分になります。
逆に、ここを満たすことでメンバーの人間関係は良くなり、チームワークも向上していきます。
所属と愛の欲求を満たす方法
まずは所属と愛の欲求を満たす方法を具体的に書いていきます。
掘り下げていきます
所属と愛の欲求とは?
所属と愛の欲求とは、自分がどこかに所属していて、果たせる役割をもちたいと思う欲求です。
そして、チームのメンバーなど、他の人に受け入れてもらえているという感覚を欲します。
日本人は特にこの欲求が強いとされており、たとえば自己紹介をする際、多くの人はどういった仕事をしているのかではなく、どこの会社や組織に所属しているのかを名前の前につける傾向にあります。
「介護職の吉﨑です」ではなく、「ハッピーアクトで介護の仕事をしている吉崎です」というような感じですね。
メンバーに役割をもたせる
所属と愛の欲求を満たすためには、メンバー一人ひとりに役割を担ってもらうのが良いです。
別に重要な役割でなくてもかまいません。
というより、役割に重要か重要じゃないか、という区別がそもそもまちがっています。
たとえば、老人ホームには施設長がいて、介護職、看護師、リハビリ職、ケアマネ、相談員、事務員、管理栄養士などの職種がいますが、職種によって高い、低いはありませんよね。
それぞれ専門としている役割がちがうというだけです。
施設長には施設全体の責任を負う役割があって、介護職には利用者の生活を支援する役割があって、ただそれだけのことです。
介護職の中でも、リーダー(主任)がいて、サブリーダー(副主任)がいて、それから一般スタッフという形で構成されているところが多いと思いますが、それらも担っている役割の話しであって、えらい、えらくないの問題ではありません。
その中で、次のような役割をもってもらうといいです。
このように、フロアで円滑に生活支援をするために必要なことがらを、一人ひとりにまかせていくのです。
役割がひとつでも滞れば、チームワークは低下します。
ですから、まかせるときにその役割がいかに重要かを伝えるとよいです。
そうすることで、自分がチーム全体に影響を及ぼす役割を担っていると感じることができ、チームの中の一員であることを自覚することができます。
スタッフの意見を尊重する
もうひとつの方法としては、スタッフの意見を尊重することです。
そうすることで、自分がチームの一員として認められている、と感じることができます。
たとえば、会議などを含めて、メンバーからでる意見については、他のメンバー全員は絶対に否定しないようにすることが大切です。
そして、よっぽど的外れな意見でないかぎり、一度取りいれて行動してみるのです。
自分の意見が取りいれられれば、スタッフのモチベーションアップにつながり、さらにいろいろな意見を出せるようになります。
そうなればチームは活性化し、サービスの質が向上していきます。
とにかく重要なのは、意見を否定しないということですね。
承認の欲求を満たす方法
次に承認の欲求を満たす方法を書いていきます。
掘り下げていきます。
承認の欲求とは?
承認の欲求とは、自分がチームの中で価値ある存在と認められ、尊重されたいと求めることです。
承認の欲求には、他者から承認されたいと思う低いレベルの欲求と、自分自身の評価を重視する、高いレベルの欲求に分けられるとされています。
低い欲求は、他者からの尊敬や地位、名誉、権力などを得ることによって満たされますが、周囲との比較の上でもたらされるものであるため、時には人から奪うことで満たそうとしてしまいます。
たとえば、地位を得るために、他の人の足をひっぱるといった行為です。
相手が下がれば、相対的に自分が上がることになるからです。
ですから、早い段階で高いレベルの欲求にステップアップすることが望ましいとされています。
高いレベルの欲求は、自分が自分に対してどうか、という評価であるため、他者からの目を気にせず、自分を磨くことで得られるようになります。
メンバー間で感謝しあう
チームの中でメンバーそれぞれを価値ある存在とするには、普段からメンバー間で感謝をしあうことが効果的です。
そうすることで、自分がチームの中で役に立つ価値ある存在だと認識できるからです。
ほんのささいなことでもいいので、とにかく感謝の言葉を伝えるようにしてください。
科学的に見ても、「感謝」によって、したほう、されたほう双方に、気分がよくなる脳内ホルモンが分泌されることが証明されています。
また、感謝を伝えることは、コミュニケーションを増やす効果もあります。
よくないことを伝えるのは双方にストレスがたまりますが、感謝を伝えるのはプラスの効果しかありません。
ですから、意識して実践してみてください。
メンバー間で惜しみなくほめあう
感謝を伝えることと同じような話しになりますが、メンバー間でほめあうことも効果的です。
ほめあうということは、お互いを認め合うことになり、承認の欲求が満たされるからです。
この時のコツとしては、ほめるハードルをできるだけさげることです。
たとえば、成果をほめるとなると、なかなか成果がでないスタッフに対してほめることができません。
ですから、そういうスタッフに対しては、成果がでなくても頑張っているその経過をほめるのです。
モチベーションの低い人間に対しては、何かしら行動しようとしていることをほめます。
もっとハードルをさげると、行動にうつせていなくても、やろうとしている意識、たとえば「行動しようとしているんだね、いいね!」とほめることができますし、一番下までさげると、休まずにきちんと仕事にきていることをほめることができます。
このように、できるだけほめるハードルをさげることで、ほめる機会が増やし、承認の欲求を満たしていくのです。
まとめ
マズローの欲求5段階説をもとに、チームワークを向上するためのポイントについて書いてみました。
チームワークを向上するためには、①ワクワクするような目標があり、②その目標に向けてメンバーそれぞれが役割を分担している、③そしてメンバーそれぞれが自分の感情に対してではなく、相手の感情にベクトルを向けて考える、という3つのポイントが重要になります。
この3つが高まれば、チームワークは大きく向上していきます。
今回の記事はそのうちの「相手にベクトルを向ける」という部分に焦点をあてたものになります。
チームワークが向上すれば、仕事に対するやりがいも大きなものになります。
この記事が参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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