チームワークを向上するために必要なことは、メンバー同士の連携ですよね。その連携がうまくいくようにする方法はありますか?
こんな疑問を解決していきます。
この記事の内容
利用者の自立支援に向けて、一貫した介護サービスを提供するためには、チームワークが不可欠となります。
なぜなら、ひとりの職員が24時間生活を支援できるわけではないからです。
どの施設においても、複数のスタッフがシフトによって交代で支援をしています。
つまり、チームのメンバー全員が目的や目標、その他の情報を共有できていないと、利用者に対する支援がバラバラになってしまうことになります。
というわけで、円滑な連携をはかるために、どのように関係を作っていけばよいかを書いていきます。
ポイントは、自分の価値観を横に置いて、相手の価値観からものごとを考えてみる、ということです。
相手に心の矢印を向けるということ
相手に心の矢印を向けるということは、相手の立場に立って、相手の価値観でものを見てみるということです。
一般的にも「相手の立場に立って考えることは大切だ」とよく言われますが、しかし、相手の立場に立って、自分の価値観で考えいるかたが多いように思います。
それでは結局自分が見たいようにしか見えないので、相手がどのような思いをしているか、どのような考えからそのような行動をしたのか、などを理解することはできません。
よくいう「自分があの人だったらこうするのに」というお話しは、まさに自分の価値観で相手の立場から見ている証拠ですね。
では具体的に、どのようにすれば相手の立場に立って、相手の価値観でものを見ることができるようになるかを考えていきます。
相手に心の矢印を向ける具体的な方法
相手の価値観に基づいて考えるようになるためには、次の3点が必要です。
- 見えている景色がちがうことを理解する
- 相手には伝わらない前提で話しをする
- 相手の気持ちを言葉にして心でつぶやく
掘り下げていきます。
見えている景色がちがうことを理解する
まず、人が見ている景色と自分が見ている景色はちがう、という理解が大前提になります。
なぜなら、この理解がないと、相手の気もちを理解することはできないからです。
たとえば、同じ「金魚」を見たとしましょう。
人によって受けうけとめかたに次のようなちがいがあらわれます。
Aさん「あー、金魚だ、かわいいな」
Bさん「お父さんとすくいにいった子供の頃を思い出すな」
Cさん「金魚って臭いから好きじゃないな」
Dさん「あれは琉金という種類で、弥冨の方で作られていて・・・・」
このように、人によってずいぶんちがうことが理解できると思います。
ですから「あの人おかしいよね!ふつうはこうするのがあたりまえなのに!」って憤慨するのは、自分の価値観でしかものをはかっていないことになります。
つまり、自分とはちがう見えかたをしているんだということが理解できていないってことですね。
言葉にするとかんたんですが、実際に見えかたがちがう、ということを理解するのはむずかしいです。
なぜなら、考えなければならない相手というのは、大抵の場合今よりも関係を深めたかったり、現在関係がうまくいっていなかったり、というケースだからです。
ですから、つい自分の心に矢印が向いてしまって、相手のことを非難したい気持になります。
その感情を横に置いて、相手の心に矢印を向けることがたいせつなのです。
相手には伝わらないという前提で話しをする
見えている景色がちがうので、伝えかたにも注意が必要になります。
自分が見えている景色、理解を前提に伝えようとすると、相手にはなかなか伝わりません。
ここでも、相手がものごとをどのようにとらえているかを理解したうえで、相手がわかるように伝える必要があるのです。
「ふつう、こう言ったらわかるよね?」というふつうは、あくまでもあなたのふつうであって、相手のふつうではありません。
いや、他の人に聞いたら、みんな「わかる」って答えてくれるよ!わからない相手が特殊なんだよ。
このような反論があるかもしれません。
たしかにそう感じる気もちも理解できます。
しかし、その状態で確認する相手は、たいてい自分の思いを理解してくれる人を選んで聞いているのです。
聞く相手は普段から仲の良いひとであることがほとんどのはずです。
つまり「自分のほうが正しい!」と思って質問する人をさがすので、当然、自分の意見に賛同してくれる人をさがすようになります。
心の検索窓に入力して、自分と同意見の人を無意識的にさがすのです。
ですから、自分に賛同してくれる人ばかりなのは当たり前なのです。
もし、相手がどのようなとらえかたをするのかを知りたかったら、相手と同じような考え方をする人に聞いてみるべきでしょう。
そうすれば、自分の見えている世界からは考えつかない受けとりかたを知ることができます。
相手の気持ちを言葉にして心でつぶやく
人は表に出す言葉や態度が必ずしも本心とはかぎりません。
むしろ、そうでないことがほとんどです。
なぜなら「大人」だからですね。
ということは、ほとんどの人が心の中ではべつの思いをもっているということになります。
たとえば、中堅のスタッフに会議の資料のコピーなどの準備を頼んだとします。
中堅スタッフは、少し表情をこわばらせたように見えましたが「わかりました」と答えました。
そんなときに、相手の気持ちを心でつぶやいてみるのです。
もしかしたら「新人はいっぱい入ってきているのに、なんでいつも俺ばかりに雑用をさせるんだ」と不満に思っているかもしれません。
そう感じたら、その中堅スタッフに頼む理由を伝えてあげることができます。
「いつもめんどうな作業をありがとうね。会議の資料ってとても大切なもの。
この資料をもとに貴重な時間を使ってみんなで話しあう。
資料に不備があると、せっかくの会議が十分なものでなくなってしまう。
その点中堅スタッフの君なら、いつも確実にきちんと仕事をこなしてくれるからね。
安心して任せられるよ」
そんなふうに伝えると、スタッフはどのように感じるでしょうか。
自分の気もちをわかってくれていたんだ、とか、そんなふうに自分を信頼してくれていたんだ、と感じるでしょう。
そうなれば、同じような場面がまた出てきても、中堅スタッフは「信頼してくれているから自分に依頼しているんだ」という前提で取り組んでくれるようになります。
まとめ
相手に心の矢印を向けることの重要性と、その具体的な方法について書いてみました。
人間関係を良くしていくためには、自分の心を中心に考えるのではなく、相手の心を中心に考えることが必要です。
それはべつに自分を犠牲にするということではなく、自分の意見を通したり、自分の思いを実現したりするためにも、効果的なのです。
自分の感情だけを優先していては、周囲の人は賛同してくれませんし、協力もしてくれません。
しかし、相手の気もちに理解をしめすことによって、相手もこちらの気もちに理解をしめしてくれるにようになるのです。
こちらが深く理解すればするほど、相手も同じように深く理解してくれるようになります。
ですから、まずは自分が相手の気もちを理解することが大切なのです。
チームのメンバー全員が、このような気もちでかかわるようになれば、まちがいなくチームワークは向上します。
いじめや派閥ができることは、そうそう起きないでしょう。
というわけで、チームワーク向上に必要なポイントをおとどけしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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