パーキンソン病に対応する介護職「パーキンソン病の利用者さんがいるんだけれど、病気の特徴やどういったところに注意して介護をしたらいいのかがわからないんだよね。そのあたりをしっかりと理解しておきたいな」
こんな疑問を解決します。
こんにちは、せいじです。
介護の仕事を17年やってきた中で、パーキンソン病を患っている方の対応を経験してきたほか、私の叔父がパーキンソン病でした。
親戚一同でお墓参りに行ったとき、急に足がまったく前に出なくなり、歩くのに四苦八苦しながらなんとか車まで連れて行ったのを記憶しています。
それらの経験を踏まえて書いていきます。
この記事の内容
介護の仕事をしていると、パーキンソン病を患った利用者の対応をすることがあります。
症状が特徴的で、日によってや一日の中でも時間によって状態が変わるため、きちんと病気を理解したうえで対応しないと対応を誤ってしまう場合があります。
誤った対応は利用者の残存機能の低下やストレスにつながるので、きちんと知識をもっておく必要があります。
パーキンソン病の方と実際関わって印象的なのは、、表情が顕著に乏しくなります。
そして、身体が固まっているような感じで動きが小さく、少なくなり、自然な仕草が見られなくなります。
というわけで、今回はパーキンソン病について書いていきます。
パーキンソン病はどんな病気?原因は?
パーキンソン病は難病指定されている病気で、脳の異常のために、運動機能に障害があらわれる神経系の病気です。
1817年、イギリスのジェームス・パーキンソンが最初に患者を報告したことから、彼の名前からパーキンソン病と付けられました。
日本には患者が15万人いると言われ、50~65歳ぐらいで発症する方が多いとされています。
また、男性よりも女性の方が、かかる人が多い傾向にあります。
進行するにつれて徐々に運動機能が低下していき、最終的に寝たきりの生活になる可能性もある病気です。
パーキンソン病の原因
パーキンソン病の原因は、脳内のドーパミンの減少です。
脳の黒質と呼ばれる部分の神経細胞が徐々に減少し、その影響によってドーパミンが欠乏するとされています。
ただ、難病指定されている病気である通り、なぜそのようなことが起こるのかは、まだはっきりとわかっていません。
ドーパミンは神経伝達物質で、脳から出た運動の指令を伝える役割をしています。
ですから、ドーパミンが減少するときちんと指令が伝わらず、思うように身体が動かなくなります。
パーキンソン病の症状や特徴
パーキンソン病の症状は、運動症状と非運動症状に分かれます。
運動症状が主な症状になり、パーキンソン病の4大症状と呼ばれます。
パーキンソン病の4大症状
パーキンソン病の4大症状とは、次のようなものです。
- 手足の振戦
- 筋固縮(きんこしゅく)
- 寡動(かどう)・無動(むどう)
- 姿勢反射障害
それぞれの症状を書いていきます。
手足の振戦
症状の特徴
- 静止時にふるえる
- 動くと止まる
- 片方の手や足から始まる
なにもしていない状態、つまり安静にしているときに手足にふるえが見られる症状です。
逆に、なにか行動しているときは、手足のふるえが止まるのが特徴です。
振戦はパーキンソン病のもっとも代表的な症状で、多くの患者に見られます。
手足の振戦が主症状である場合、パーキンソン病の進行が比較的緩やかである人が多い傾向があるとも言われています。
筋固縮
症状の特徴
- 肩、膝、指などの筋肉がこわばる
- 歯車症状
- 鉛管現象(えんかんげんしょう)
筋肉の緊張が強くなり、こわばってしまう症状です。
その結果、手足の動きがぎこちなくなり、手足の関節を動かす際に抵抗を感じるようになります。
関節がカクカクと動くようになるため、「歯車症状」と呼ばれます。
また、こわばりが続く状態を「鉛管(えんかん)現象」と呼びます。
手足の関節の他にも、肩や首が回りにくくなることがあります。
初期症状として現れることも多く、肩の痛みからパーキンソン病に気づくことがあります。
寡動・無動
症状の特徴
- すくみ足
- 小刻み歩行
- 仮面様顔貌(かめんようがんぼう)
- 声が小さくなる
- 文字が小さくなる
動作の開始に時間がかかったり、動きが小さくなります。
歩き出すときに足が前に出なくなる「すくみ足」や歩幅が狭くなる「小刻み歩行」、歩行の際にほとんど手を振らなくなる、といった動作の特徴があります。
これらの影響もあり、素早い動作ができなくなります。
加えて、一度に複数の動作をしようとすると、さらに動きが鈍くなります。
また、まばたきが減り、顔の表情がなくなってしまう「仮面様顔貌(かめんようがんぼう)」の症状がみられます。
他にも、書く文字(小字症)や声が小さくなるといったことが見られます。
姿勢反射障害
症状の特徴
- バランス能力が低下
- 突進現象
- 姿勢の悪化
軽く押されただけでバランスを崩してしまう症状です。
身体のバランスを取り戻す能力が低下してしまうため、転倒のリスクが高くなります。
パーキンソン病が進行すると出てくる症状とされています。
方向転換ができず、まっすぐに歩き続けてしまう「突進現象」があります。
パーキンソン病の4大症状以外の症状
パーキンソン病には4大症状以外にも症状があります。
- 自律神経症状
- 認知症状
- 嗅覚症状
- 睡眠障害
- 精神症状
- 疲労や疼痛、体重減少
症状を詳しく見ていきます。
自律神経症状
- 便秘
- 排尿障害
- 起立性低血圧
- 食事性低血圧
- 発汗
- むくみ
- 冷え
- 性機能障害
自律神経症状では、排泄に対しての症状が見られます。
便秘は9割の患者に見られます。
また、頻尿傾向になり、夜間何度もトイレに起きるようになります。
その他の症状も、自律神経の影響により起こるものですね。
認知症状
物事を行う際に、段階を経て実施していくということが難しくなったり、計画を立てることができなくなる、物忘れがひどくなる、といった認知症状が出ます。
嗅覚障害
においの感じ方が鈍くなり、においがしない状態になります。
睡眠障害
夜間眠れなかったり、途中で覚醒してしまったりという症状が出ます。
また、日中に眠気に襲われるといったことがあります。
精神症状
うつ傾向になったり、不安な気持ちが強くなったりします。
身の回りのことをする気が低下して、整容など身だしなみを整えなくなるなどの症状が見られます。
他にも、幻覚、妄想が現れることもあります。
疲労や疼痛、体重減少
疲労を感じやすくなったり、関節の痛み、筋肉痛、手足のしびれや痛みが出ます。
体重が減少も症状として見られます。
パーキンソン病患者の介護をする際の注意点
パーキンソン病の方を介護する上で、注意すべき点をまとめていきます。
日内変動や日によっての状態の変化
パーキンソン病は日によって、また1日の中でも状態が変化する病気です。
今歩けていたのに、急に足が出なくなってしまったり、といったことが起こります。
残存機能を活用するにあたって、そのあたりを理解したうえで接する必要があります。
普段できているからと言って、いつでもできるとは限らないわけです。
状態に合わせて、支援するようにしましょう。
歩行障害による転倒リスク
4大症状にあるように、パーキンソン病は歩行障害の症状が出ます。
小刻み歩行やすくみ足で足が思うように出なくなってしまったり、バランスを崩しやすい、方向転換が難しくなる、といったことです。
これらは転倒リスクにつながるので、留意しておく必要があります。
歩行介助の際は、どうしても歩様が小刻みになり、前につんのめるような形になってしまいがちなので、できるだけ大きく足を出してもらうように声をかけましょう。
小刻みになってきたら一旦止め、体制を整えて大きく足を踏み出してもらうように支援します。
すくみ足については、本人がどれだけ前に足を出そうと思っても、足が出ない状態になります。
その場合、本人の前に足を置いて、それを乗り越えるように本人の足を出してもらったり、廊下にビニールテープで等間隔に線を引いて、またぐように意識してもらうと、足が出やすくなります。
私も介護老人保健施設のご利用者に実施しましたが、線を意識してもらうことで足が出やすくなりました。
明らかに効果があるので、ぜひ試してみてください。
便秘対策
パーキンソン病患者の9割は便秘になります。
- 下剤の服用
- 繊維質の多い食事
- 水分接種
- 運動機会を持つ
これらの対策により、便秘が解消できるように支援していきましょう。
まとめ
パーキンソン病の原因や症状の特徴、介護をするにあたっての注意点について書きました。
難病指定されている病気で、治療は難しく、徐々に進行してく病気です。
進行していくにつれて症状も変わっていくので、それに合わせて支援を考えていく必要があります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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