仕事を悪く言われて悩む介護職「介護の仕事をしているけれど、社会的な評価はとても低いと感じるんだよね。介護の仕事は底辺職だ、なんて言われ方をすることもある。なぜそこまで言われるんだろう。介護の仕事はどうして評価が低いんだろうか」
こんな悩みを解決します。
この記事の内容
こんにちは、せいじです。
高齢者福祉の仕事を17年間しています。
私が介護の仕事をすると決めた際、当時お付き合いしていた女性から「彼氏が介護職だなんて恥ずかしくて友達に言えないからやめてほしい」と言われたことを昨日のことのように覚えています。
どうして介護の仕事は一般的に評価の低い仕事になっているのでしょうか?
そして、本当に介護職は底辺なのでしょうか。
というわけで、今回は介護職は底辺職なのか?というテーマで書いていきます。
介護職は底辺と言われる理由
世間の評判やインターネットの情報を見ていると、「介護職は底辺職だ」「介護職なんてしたくない」といった声が聞かれます。
なぜそのような印象を与えてしまっているのでしょうか?
まとめると次のようなことが考えられます。
- 給料が安いので介護職の男は底辺
- 専門職としての専門性が薄い
- 間口が広く誰でもできる仕事との印象
- 社会性が低いイメージ
- 介護職自身が自己肯定できていない
掘り下げていきます。
給料が安いので介護職の男は底辺
日本の企業全体の平均年収は、2018年で441万円となっています。(国税庁平成30年分民間給与実態統計調査より)
いっぽう介護職の平均年収は、2019年9月のデータで316万円となっています。(求人ボックス給料ナビより)
平均年収としては約130万円の差がありますね。
月間で10万円以上の差になるので、これはかなり大きい額です。
男性の介護職が結婚を考える場合、どうしても足かせになります。
一家の大黒柱である男性が稼げない、というのはつらいですね。
それ故に、特に介護職をしている男性は、底辺のように言われてしまうのです。
専門職としての専門性が薄い
介護職の資格として、初任者研修(旧ヘルパー2級)、実務者研修、介護福祉士という3つがあります。
このうち介護福祉士は国家資格です。
しかし、介護福祉士は名称独占の資格であり、看護師やセラピスト(理学療法士や作業療法士)のように、その資格を持たないと業務をすることができない「業務独占」の資格ではありません。
つまり、介護福祉士の資格を取れば介護福祉士と名乗れるだけで、資格がなくても介護の仕事はできます。
ですから、一緒に働く看護師やセラピストに対して、どうしても格下になってしまいます。
仕事内容も相まって、まるで看護師の下請け作業のような仕事に捉えられてしまうのです。
また、在宅介護については家族も行っています。
「素人である家族が家でできるようなことを、介護職は仕事としてやっている」ということで、専門性が低く見られるのです。
間口が広く誰でもできる仕事との印象
繰り返しになりますが、介護の仕事は資格がなくてもできる仕事です。
ですから「資格がなくてもできる仕事」=「専門性の高くない仕事」=「誰にでもできる仕事」という図式ができあがってしまうのです。
また、業界全体が人手不足の状態であるため、正社員で就職することが容易です。
資格の件もあいまって、誰にでもなれる職業となっています。
社会性が低いというイメージ
資格も要らず、間口も広い状況だと、当然様々な理由で介護職の仕事に就く人が出てきます。
お金や時間という犠牲を払った上で就く仕事ではないので、安易な気持ちや仕方なく介護職をしている人も少なくありません。
中には社会性が低く、他の仕事では正社員になれなかった結果、介護職の仕事に就く人もいるので、全体のレベルは低くなってしまいますね。
そんなところから、介護職は全体的に社会性が低い、というイメージを持たれているのだと考えられます。
たしかに、実際に長く介護の業界にいて、肌で感じる部分はあります。
- 挨拶ができない
- 言葉遣いがきちんとなっていない
- 来客対応ができない
- 電話対応ができない
これらのレベルは事実として低いと言わざるを得ません。
介護職自身が自己肯定できていない
実際に介護の仕事をしている介護職が、これらのイメージを引きずっているところがあります。
介護職をしている人は、比較的自己肯定感が低いのです。
自己肯定感が低いと、人は周囲から奪うことで肯定感を得ようとします。
ですから、介護の職場は人間関係が悪くなってしまいやすいのです。
実際に介護の仕事をしている人が、自分の仕事を肯定できず、また人間関係の悪い職場について口コミで広めていくため、介護職のイメージは悪くなっていくばかりだと考えられます。
介護職は本当に底辺なのか?その実態とは
私は2004年から介護の仕事をはじめました。
ヘルパー2級の資格を取得し、パートで特別養護老人ホームの介護職に就き、ケアマネジャー、2013年からは施設長などの運営面に携わる仕事をしていました。
この経験を基に、介護職の実態を書いていきます。
まとめると次のようになります。
- 給料は平均年収ほど開きはない
- 介護職の専門性は高い
- 介護職はピンキリ
掘り下げていきます
給料は平均年収ほど開きはない
介護職の給料は安いと昔から言われています。
平均年収としては130万円ぐらいの差がありますね。
ただ、全体の平均年収には管理職の給料も入っていますが、介護職の平均年収は介護職としての管理職の給料までしか入っていません。
つまり、施設長や事務長、ケアマネといった給料は含まれていないことになります。
ですから、実際には数字ほど格差はないと考えられます。
おそらく、実際の平均年収の半分ぐらいの差ではないでしょうか。
それでも月間で5万円ほどの違いがあるので、大きいですけどね。
しかし、2019年からは特定処遇改善交付金という制度ができました。
少しずつですが、一般の平均に近づいてきています。
私の生活に目を向けると、介護職時代を振り返っても、特別お金に困ることはありませんでした。
- 27歳で結婚
- 子供1人の3人家族
- 家をローンで購入
- 妻は育児に専念(結婚4年目頃から半日、週4回のパート)
- 車2台所有(普通車1台・軽1台)
これで30代半ばまで生活していました。
周囲を見渡しても同じような生活をしている人は少なくない印象です。
だから、介護職の男性は結婚して子供をもうけ、家族を養っていくなんてとてもできない、というのは真実ではないですね。
介護職の専門性は高い
介護職の仕事は人間の生活を支援する仕事です。
また、人と人の間になにも挟まないで、人が直接人にサービスを提供する仕事なのです。
専門職として必要な能力をまとめると次のようになります。
- 他人と短期間で信頼関係を構築する高度なコミュニケーション能力
- 信頼されるだけの人間性
- 心身に障害を持っている方の生活を自立に向けて支援する能力
- 生活を支援するために、医療やリハビリ、栄養といった知識に加え、「人間」そのものの理解
利用者からしたら、介護職に自分のプライベートをさらけ出すことになるわけですから、強い信頼関係がないと安心して任せることはできませんよね。
それだけの信頼関係を構築しようと思ったら、介護職には相応の人間性が求められます。
加えて、心身に障害を持ちつつも、自立に向けていろいろな工夫をしながら支援していくのです。
認知症の方が穏やかに生活できるよう、対応していくのです。
それを実現していくためには、高度なコミュニケーション能力が必要になってきます。
そして、人間に対する理解を深めなければなりません。
誰にでもできる仕事でしょうか?
実は非常に高度な能力が求められることが分かると思います。
介護職はピンキリ
介護職として意識を高く持ち、日々自己研鑽を行って、専門性を高めている介護職はいます。
しかし、そうでない介護職もたくさんいるのは事実です。
むしろ、人材不足によって間口が広い分、そうでない人がたくさんいるというのが現状ですね。
中には外からお客さんが来ても、まともに挨拶もできなかったり、とんでもない接遇だったりするところもあります。
いや、むしろそういったところの方が多いかもしれません。
現在、介護職として活躍している人が、改善していかなければならないところですね。
結論:介護職は日本の底辺=土台を支える仕事である
介護の仕事は確かに底辺に位置しますね。
しかし、レベルの低い意味での底辺ではありません。
日本の土台を支えているのが介護職である、ということです。
まとめると次のようになります。
- 介護職は日本を支える仕事
- 介護職は元気でなければならない
- 介護職として誇りを持ち日々自己研鑽しよう
掘り下げていきます。
介護職は日本を支える仕事
介護の仕事は日本の社会を支える仕事です。
次のように表すことができます。
- 介護職は高齢者を元気にする仕事
- 高齢者が元気になると家族が元気になる
- 家族が元気になると会社が元気になる
- 会社が元気になると日本が元気になる
- 介護職は日本の底辺=土台を支えている仕事
これからますます少子高齢化が進み、高齢者は増えていきます。
介護が必要な高齢者とその家族の生活を支えていくためには、介護職が必要不可欠なのです。
介護職は元気でなければならない
日本の土台を支え、高齢者を元気にする介護職。
その介護職が元気でなければ、高齢者、そして日本が元気になるはずがありません。
だから、介護職は仕事を楽しみつつ、元気でいなければならないのです。
介護職として誇りを持ち日々自己研鑽しよう
そして「日本を元気にする」という役割を担っている介護職を誇りにし、その仕事をしている自分を誇りにしてもらいたいと思います。
そのためにも、専門性を高めていくための自己研鑽は必要ですね。
「家族にはできない介護」、介護の専門職だからできる介護、をしていかなければなりません。
まとめ
「介護の仕事は底辺」という世間の評価に対して、実際には私が17年間経験したことを交えつつ、考察してみました。
介護職の役割の重要性や、仕事における専門性は高いです。
しかし、実際に介護職に就いている人自身が理解できていなかったり、能力が不十分である場合が多いですね。
だから、介護職のイメージを改善していくためには、現在働いている介護職自身の努力がもっと必要だと思います。
私はセミナー講師として「介護職を元気にするセミナー」をテーマに活動しています。
ぜひご依頼いただき、介護業界を明るくしていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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