部下がミスをした時、リーダーなどの上司は指導する役割を担っています。時には厳しい姿勢で臨まなければなりません。しかし、絶対にしてはいけないことがあります。
それは「ミスを責める」ということです。
「ミスを責める」と部下はネガティブな思考に陥り、ミスを受け入れられなくなります。ミスを受け入れられないということは、反省し、改善することができない、ということです。
ミスをしたら叱られて当然だと思うのですが?
叱ると責めるは違うんですよ。責めると人はミスを受け入れられなくなるんです
今回はミスを責めることで部下に起こる、3つのネガティブな思考パターンを書いていきます。
自分を守るためのいいわけで頭がいっぱいになる
デール・カーネギー氏は、著書「人を動かす」の中で、人を責めてはいけないと説きました。そしてこう書いています。
人間はたとえ自分がどんなに間違っていても決して自分が悪いとは思いたがらないものだ
たとえば、あるスタッフがAさんのお薬を誤ってBさんに配ってしまったとします。原因は配ったスタッフが名前をしっかり確認しなかったからです。
しかし、本人の中では「ミスをしてしまった」という思いの一方で「薬の袋にもっとわかりやすい目印をつけてくれたらいいのに」とか「こんなに忙しいんだから間違っても仕方がない」と自分を正当化するのです。
一般的にこれを「いいわけ」と言いますが、本人の中ではまっとうな言い分となります。その上でミスを責められると、ますます自分の正当性を証明することで頭がいっぱいになります。
この状態では、どれだけリーダーが改善するよう指導しても、部下の耳には入りません。
相手のあらをさがして反撃しようとする
責めるられることで起こる思考パターンとして「相手のあらさがしを始める」というものがあります。「人には言うけれど、あなただってミスをしたことがあるじゃないか」というパターンですね。
こちらもひとつめと同じく、自分の正当性を証明するために起こる思考です。
「自分がミスしたことはしかたがないのだ。だって私を責めているリーダーも、ミスをしたことがあるじゃないか」と自分が犯したミスを棚に上げて、相手を責めるのです。
他にも「そんな言い方をしなくてもいいじゃないか」と、論点を変えて批難する場合があります。
そして、最悪の場合、それを周囲の人に言いふらすのです。「リーダーは私を責めるけれど、実はリーダーも以前こんなミスをしたことがあるのよ」といった具合です。
これではチームの人間関係全体に影響を及ぼすことになります。
やる気(モチベーション)を失い仕事の質が下がる
人はだれしも承認欲求、つまり「人に認められたい」と思っています。責められることは、部下にとっては認められていないとの受け取りになります。
承認欲求が十分に満たされないと「こんなに自分は頑張っているのに、周囲は認めてくれない」と不満につながります。不満はやる気の低下につながり、やる気が低下すると仕事の質が下がります。
その結果ミスが多くなり、また責められ、やる気が低下する、という悪循環に陥るのです。
そして介護の仕事が嫌になり、最悪の場合退職してしまいます。
責めることがミスの改善につながらないってことはわかりました。ではリーダーはどう指導したらいいのですか?
部下がミスを改善できる指導方法があるのです。それについては次回の記事で取り上げますね
まとめ
「ミスを責める」ことが、部下にどのような影響を及ぼすか、というテーマで書かせていただきました。
「人を動かす」では、過去に起こった歴史的な連続殺人事件の犯人でさえ「自分の身を守っただけなのに、なぜ責められるのか」と主張したと紹介されています。
人は決して自分が悪いとは思いたがらない生き物なのです。
リーダーとして部下を指導する際は、そういった人間の心理を理解したうえで、関わらなければなりません。
なぜなら、指導する目的は、部下の成長のためだからです。
では、どのようにしどうすれば良いのか、それについては次回の記事で取り上げたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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