介護過程に疑問を持つ介護職「介護過程の展開が知りたいです。介護過程の展開とはなんですか?必要なのでしょうか。ケアマネジャーが作るケアプランがあれば良いと思うのですが」
こんな疑問を解決します
この記事の内容
こんにちは、せいじです。
介護業界に携わって18年。現在は初任者研修や実務者研修の講師の仕事をしています。
それまでは介護職、施設、居宅のケアマネジャー、施設長をしていました。
さて、みなさんは日々の仕事の中で、根拠を持って介護ができているしょうか?
「介護の根拠?どういうこと?」と思う方もおられるかもしれません。
しかし、目の前のお困りごとを解決するだけでは、介護とは言えません。
それは「ただのお世話」になります。
ただのお世話でも介護は大変なんだ!という声もあるかもしれません。
たしかにその通りなのですが、介護の質をあげていくため、そして介護を専門職たらしめるためには、その介護をする根拠が必要なのです。
今回はその根拠となる介護過程やその展開について書いていきます。
初任者研修では介護過程の基礎的理解を学び、さらに実務者研修では介護過程の展開がメインテーマとして扱われています。
これだけ取ってみても、かなり重要な事柄であることが分かっていただけるのではないでしょうか。
現場で実践するために、ぜひご覧いただけると嬉しいです。
また、あわせてこちらの記事もご覧いただけると、介護に専門性をもたらすことの大切さを感じていただけると思います。
介護過程とは?
では、介護過程について書いていきます。
名前だけで難しそうに感じ、食わず嫌いしてしまいそうですが、それほどややこしくありませんし、大切なことなのでぜひ覚えていただけたらと思います。
まとめると次のような内容になります。
- 介護過程の意義や目的
- 介護過程の基本的な流れ
- 個別援助計画書はケアプランに基づいて作成
掘り下げていきます。
介護過程の意義や目的
介護過程の意義や目的は次のようなことです。
介護過程の意義や目的
- 介護に専門性、つまり根拠をもたらすもの
- 自立支援に向けた介護の実施
- 利用者や家族に対するサービス内容の提示
介護過程を展開し、介護の根拠を明確にすることが目的ですね。
その場限りのお手伝いでは、ただのお世話であって介護ではありません。
つまり、根拠を伝えることができて初めて介護と言えるわけです。
また、介護をする目的は自立支援です。
自立支援は一朝一夕でできるものではなく、達成するために計画立てて支援する必要があります。
介護過程の展開で個別援助計画を作成し、それに基づいて介護をするのはその為です。
介護過程の基本的な流れ
介護過程の基本的な流れは次のようになります。
介護過程の基本的な流れ
- アセスメント
- 計画作成
- 実施
- 評価(モニタリング)
まず、アセスメントによって利用者の情報を収集し、課題分析を行います。
課題分析とは、利用者が求める生活を阻害していることがらを明らかにすることです。
その解決のために、目標を設定し、達成するためのサービス内容を実施します。
実施したらそれで終わりではなく、実施しているサービス内容が自立支援に向けた目標達成にきちんと向かって行けているかを確認しなければなりません。
それが4番目の評価(モニタリング)になります。
確認して課題解決に向けて進めていないようであれば、改善してまた計画に反映、そして実施という流れになります。
個別援助計画書はケアプランに基づいて作成
介護過程の中の個別援助計画書は、ケアマネジャー(介護支援専門員)が作るケアプランに基づいて作成することになっています。
個別援助計画書は、ケアマネジャーの支援の方針に沿って、整合性を持って作らなければならないからです。
個別援助計画書は、次のような種類があります。
個別編所計画書の種類
- 訪問介護計画書
- 通所介護計画書
- 介護計画書
- 看護計画書
- リハビリ計画書
- 栄養ケア計画書
- 福祉用具サービス計画書
etc.
個別援助計画書がなぜケアプランに基づいて作成する必要があるのかは、次の介護過程とケアプランの違いで詳しく解説していきます。
介護過程とケアプランの違い
介護過程で作る個別援助計画書と、ケアプランの違いについて解説していきます。
課題の設定や目標、サービス内容と、ほぼ同じ項目になっていますが、作成する過程や誰が作成するか、そして計画書に基づいてサービスを提供する、提供する側の対象が異なります。
掘り下げて解説していきます。
ケアプランはケアマネが作成
ケアプランと個別援助計画書の違いについて整理すると、次のようになります。
ケアプランはケアマネジャーが作成することになっています。
そして、利用者の生活全般を対象に、利用者が求める生活を達成するためには、どのような課題の解決が必要で、そのためにどの専門職などがかかわるかを整理したものになります。
一方、個別援助計画書は、ケアマネが示した課題の解決に対して、担当とされている専門職が、具体的になにをするのかを書いていくものになります。(例は介護の個別援助計画書なので、介護職になっています)
なので、個別援助計画書はケアプランに基づいて作成する必要があるのです。
ケアプランは多職種、介護過程は介護の専門職
ケアプランは多職種、つまり利用者の課題解決に必要なサービスが提供できる専門職のまとめて記載したものになっています。
一方で、個別援助計画書は、専門職で作り、専門職が行う計画書ということになります。
ケアプランは支援の大きな方向性を示し、個別援助計画書は具体的に何をするのかを書いていきます。
個別援助計画書には次の2つの側面があります。
個別援助計画書の2つの側面
- 計画的な側面
- マニュアル的な側面
計画的な側面はそのままですね。
計画立てて、課題や目標を達成していくことです。
マニュアル的側面は、個別の介護マニュアルとして使える必要があるということです。
たとえば、Aさんのことを知らないスタッフでも、個別援助計画書の手順に従って行えば、Aさんの支援ができる、という内容が必要です。
まとめ
介護過程について書いてみました。
介護過程は介護の根拠になるものです。詳しくは介護の専門性とは何か?専門性がないと言われる理由は?を見ていただけると嬉しいです。
つまり、介護の専門性を裏付けるものになるので、逆に言うとこれがなければ専門的な介護はできないということですね。
それなりに時間や手間がかかることですが、サービスの質を上げていくためには端折ってはいけない部分です。
ぜひ施設をあげて取り組んでください。
なお、介護過程の展開については、下記の記事も参考にしていただけると思います。
介護過程の展開における個別援助計画書の目標の立て方とポイント3つ
介護過程の展開におけるモニタリングを徹底解説【ポイントは5つ】
ご覧いただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとございます。
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