介護職の人間関係が悪い原因を知りたい人「介護職の人間関係ってどうして悪くなりやすいのか、原因を知りたい。介護職って、人間関係が悪い、人間関係のトラブルが多いって聞くんだけれど、どうしてなのかな?他の仕事とちがうところはどこなんだろう。また、改善する方法があれば知りたい」
こんな疑問を解決します
この記事の内容
こんにちは、せいじです。介護の仕事を20年以上しており、現在は介護の研修の講師やコンサルタントの仕事をしています。
さて、介護職の退職理由は、ずっと「人間関係の問題」が第一位になっています。
人間関係の問題は、他の仕事でも退職理由の上位になりますが、介護職はその割合が若干高くなっています。(一般平均約15%、介護職約16%)
介護の仕事は、対人援助の仕事であり、本来であれば人を理解するプロなので、人間関係を良くするのに長けているはずです。
それなのに、職員同士の関係性が悪くなるのはどうしてなのでしょう。
原因としては、介護職の職場環境の特殊性があげられます。
というわけで、今回は介護職の人間関係が悪くなる原因と改善方法について解説します。
介護職の人間関係が悪くなる原因は?
では、介護職の人間関係が悪くなる原因について見ていきましょう。
原因をまとめると、次のようになります。
介護職の人間関係が悪くなる原因
- 転職組が多く、仕事に対する価値観が多様
- 年齢と経験年数が比例しない
- 教育体制が確立されていない
- 明確な正解がなく、評価が難しい
- マネジメント能力が低い
それぞれ、掘り下げていきます。
転職組が多く、仕事に対する価値観が多様
介護職の大きな特徴として、新卒で就く割合が少ないということがあげられます。つまり、転職組が他の職種よりも圧倒的に多いんですね。
転職者が多いということは、職場に多様な考え方が存在することになります。なぜなら、私たちは、初めて就いた仕事での当たり前を、社会人としての当たり前と認識するからです。
そして、それぞれの仕事で必要な思考をベースに、その後の仕事も捉えるようになるのです。
ですから、介護の職場はいろいろな価値観が混在する環境になるんですね。
価値観の違いが大きいと、どうしても人間関係のトラブルが増えやすくなります。
年齢と経験数が比例しない
転職組が多いということは、必ずしも年齢が上下関係に反映されなくなります。つまり、年齢が上だから、経験値も上、立場も上、という形になりにくいのです。
むしろ、立場が逆転してしまうケースが多いんですね。
年下から指導を受けなければならない、歳上に指導をしなければならない、そのような環境下では、人間関係のトラブルが起こりやすいと言えるでしょう。
教育体制が確立されていない
現場の教育体制が確立されていないのも、人間関係のトラブルが起こりやすい原因のひとつです。
介護は、経験によって学ぶもの、というところからスタートしました。そして、きちんとした教育体系がない中で進められてきました。
その結果、我流介護が横行し、それぞれ自分の経験によって作りあげたやり方で介護をするようになりました。
当然、指導する際も、それぞれのやり方での指導になるわけですが、指導者によって内容が異なると、指導される側が困るんですよね。
A指導者のやり方で行ったら、B指導者から指摘される、逆も然り、ということが起こるからです。
それが人間関係のトラブルになり、やめてしまうケースが少なくありません。
明確な正解がなく、評価が難しい
評価が難しい仕事であることも、介護職の人間関係に問題が起こりやすい原因のひとつです。評価には公平さが求められるからです。
評価に公平さがないと、スタッフの不満が高まり、評価者との関係性が悪くなったり、比較対象となる同僚との関係が悪くなる原因となります。
介護職の仕事の評価が難しいのは、客観的に評価しにくいからです。
たとえば、販売の仕事であれば、どれだけ売れたかという成果を数字ではかることができます。
数字は客観性が高く、誰がみても優劣がわかりますよね。ですから、たくさん売った方が評価が高い、売れた数が少ない方が評価が低い、と決めやすいのです。
しかし、介護職の評価を数字でするのは困難です。なぜなら、サービスを受けた利用者の、介護職に対する主観の評価も影響するからです。
ですから、客観的なわかりやすい評価というのが難しくなるんですね。
評価の不明確さは、不平不満につながります。そして、組織の崩壊にもつながりかねない、大きな問題に発展する可能性があります。
マネジメント能力が低い
介護の現場は、一般の仕事と比較すると、マネジメント能力が乏しい傾向があります。なぜなら、直接的な介護をすることが重視されるからです。
ですから、リーダーが、リーダーとしての職務ではなく現場の仕事に逃げてしまい、いつまで経ってもマネジメント能力が高まらないのです。
本来であれば、リーダーはチームの方向性を示し、それに向けてマネジメントしていくことで、人間関係などのトラブルをおさえていくことができます。
しかし、介護の現場では、組織づくりよりも、「人が少ないから現場が回らない。とにかく利用者の介助をしてくれ!」という話しになってしまうため、組織がうまく機能しなくなるのです。
組織が機能しないと、問題が発生するリスクを減らすことができず、人間関係のトラブルも多くなってしまうのです。
介護職の人間関係を改善する方法とは
ここからは、では、どうすれば介護職の人間関係を改善することができるのか、ついて見ていきましょう。
まとめると、次のようになります。
介護職の人間関係を改善する方法
- マネジメント体制を確立する
- 介護の専門性を高める
掘り下げていきます。
マネジメント体制を確立する
人間関係の問題を減らすためには、マネジメント体制を確立し、きちんとした組織づくりをすることが重要になります。
なぜなら、きちんとした方向性が示され、施設がなにをしようとしているのか、職員としてなにをしなければならないのか、を共有できていると、人間関係の摩擦は起こりにくくなるからです。
本来、このような組織づくりをしていくのは、施設長や管理者の役割となります。そして、それを元に、現場のリーダーが自分のするべきことをおこなっていく、という流れになるんですね。
とはいえ、施設長や管理者だけが実践していば良いというものではありません。リーダーなどの立場にある人は、施設の方針の決定にかかわるケースもあるため、メンバーをまとめていくために、どのような方針が必要かを、真剣に検討するようにしていかなければなりません。
専門性を高める
介護の専門性を高めることでも、人間関係の問題が起こりにくくなります。なぜなら、介護の専門性の一つは、相手のことを理解することだからです。
介護は、対人援助の仕事で、人の生活を支援していくことが求められます。その際に重要なことは、相手の世界を理解することです。
自分とは価値観のちがう人の世界を理解することで、相手が求める生活の実現に向けて、支援をすることができるのです。
その専門性を、利用者だけでなく、一緒に職員同士でも行えば、お互いの関係性を良くして仕事ができるようになるのです。
介護職の人間関係が悪いのはなぜ?原因と対策とは:まとめ
介護職の人間関係が悪いのはなぜなのか、原因と対策について書きました。
この記事をまとめます。
介護職の人間関係が悪くなる原因
- 転職組が多く、仕事に対する価値観が多様
- 年齢と経験年数が比例しない
- 教育体制が確立されていない
- 明確な正解がなく、評価が難しい
- マネジメント能力が低い
介護職の人間関係を改善する方法
- マネジメント体制を確立するから
- 専門性を高める
ということで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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