衝撃の銭湯体験!高齢者の自立支援の課題とは?

介護の知識・技術

介護サービスの問題として、過剰介護があります。

施設では、高齢者が自分でできるにもかかわらず、介護職が待っていられずに手を出してしまいます。デイサービスではお客様扱いし過ぎて、至れり尽くせりの介護をしてしまうところが多く見られます。

利用者としても、してくれることが当たり前になり、してくれないところはサービスが悪いとの評判となってしまいます。

ケアマネ
ケアマネ

安全やホスピタリティが重視され過ぎて、過剰介護になっているのです

でも、事故を起こしてはいけないし、お客さんがいなくなるのも困ります、難しい問題ですね。

本来介護の目的は、介護が必要な高齢者でも、自分でできることは自分で行い、環境を整備することによってその範囲を広げていこうという自立支援にありますが、結果として利用者のできることを奪ってしまう介護になっています。

極端に言ってしまうと、介護職の存在が高齢者の自立を妨げているのです。

先日見かけた銭湯での高齢者が、改めて自立支援を考える機会となりました。

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銭湯で見た片麻痺男性の施設ではありえない入浴

まじ??

奈良県吉野村にある、小さな銭湯に立ち寄ったときのことです。

その銭湯には、近隣にあるキャンプ場の客や、移動途中の旅行客が多く利用していました。

身体を洗う場所が10名分程度しかなく、浴槽も屋内に1か所と、露天風呂が1か所のみしかありません。

夕方に利用したのですが、次の日が祝日ということもあり、浴室内には10名以上のお客さんがいて、なかなか混雑していました。

さて、私が湯船につかっていると、70歳過ぎの男性が入ってきました。

だらりと下がった右腕はひじが少し曲がり、手のひらは5本の指が熊手のように内側に曲がっていました。

右足が左足に比べて細く、膝は自分の意思では曲がらない様子です。

つまり、あきらかに右片麻痺の後遺症をもつ方でした。

その男性が、杖も持たずひとりで浴室に入ってきました。

入口から浴槽までの3メートルほどを歩いて移動すると、浴槽内の段差を昇降するために設置されている手すりにつかまり、浴槽のふちに座りました。

そして、置いてあった桶を使ってかけ湯をし、手すりを持ちながら浴槽の段差を降りて、湯船につかりました。

男性の後からは誰も来ません。

浴室内に知り合いがいる様子もありません。

完全にひとりで利用しているようです。

浴槽内では、健康な左手で手すりをつかんで身体を支えていました。

浸かって3分ほど経ったころ、両足が浮いてきて、そのままお尻まで完全に浮いた状態になり、身体全体が水面と平行に近づいていきました。

手すりで身体を支えてはいましたが「このまま溺れるんじゃないか」とひやひやする場面でした。

しかし、それも男性のコントロールできる範疇だったようで、10秒程度するとまた座位の姿勢に自力で戻りました。

そして、なにごともなかったように段差を上り、そのまま浴室から出て行きました。

これが高齢者施設だったら、血相を変えて介護職がかけつけ、男性の身体を支えていたことだろうと思います。

そして、強制的に浴槽から出されていたでしょう。

もちろん、ヒヤリハットか事故報告書ものです。

今後は危険ということで、男性の入浴は機械浴になっていたかもしれません。

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介護職の過剰介護が高齢者の自立支援を邪魔している

ご主人様の邪魔をする猫

その後私は身体を洗い、男性の10分ほどあとに浴室を出ました。

脱衣室では、私のすぐ下が男性の使用するロッカーでした。

男性はまだ裸の状態でしたが、身体は拭き終えたようでした。

私がドライヤーを終えて脱衣室を出るまでに、およそ20分ほどかかりましたが、その頃男性はシャツとズボン下の下着姿で、両方の靴下をはき終えたところでした。

浴室を出てさらに20分ほど広間でゆっくりしましたが、男性が脱衣室を出てくる姿を見ることなく銭湯をあとにしました。

かなり長い時間かかっていたのは事実ですが、完全な右片麻痺の男性が、ひとりで浴室を歩き、浴槽内で身体を温め、そして脱衣室で更衣をしていました。

介護施設でサービスを提供するのが当たり前になっている私には、衝撃的な姿でした。

介護職がいたら、おそらくこんな入浴はできません。

「事故を起こしては困るから」「時間がかかりすぎて本人の負担になってしまうから」という理由で、あらゆる場面で介護職が手を出していたでしょう。

その結果、ほぼすべて自分でできる高齢者が、その能力を奪われていくのです。

自立支援を目的としている介護職のあり方を、考えさせられる場面でした。

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まとめ

介護サービスを提供するにあたっては、高齢者に対して安全配慮義務を負うため、推測される事故を未然に防ぐ責任があります。

今回の男性であれば、浴室から浴槽までに転倒する可能性が十分考えられますし、浴槽内でおぼれてしまうリスクもあります。

他にも多くの利用者がいる中で、施設ではここまでゆっくりと入浴を楽しんでいただける環境が作れない、という問題もあります。

事実、男性が服を脱いでお風呂に入り、入浴後服を着て脱衣室を出るまでに、1時間以上かかっていました。

しかし、時間や環境があれば、完全な右片麻痺の方でもここまでできるんだ、ということを、介護職は受け止めて考えなければなりません。

自立支援すべき介護職が、要介護者を増やしていくという本末転倒なサービスを続けていては、いずれ介護保険の崩壊を招いてしまいます。

本当の介護を実践するために、現場にメスを入れる必要があるということです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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