奈良県の上牧町にある社会福祉法人の特別養護老人ホーム郁慈会(いくじかい)で、虐待があったことが判明しました。
ニュースの内容は以下の通りです。
上牧町の社会福祉法人が運営する3つの特別養護老人ホームで、入所者への虐待が14件あったとして、県が去年、行政指導していたことがわかりました。
行政指導されたのは、上牧町の社会福祉法人「郁慈会」です。
県によりますと、郁慈会が運営する特別養護老人ホームで虐待が行われているという情報が寄せられ、調査の結果、去年までの6年間に町内にある3つの施設で14件の虐待を認定しました。NHK NEWS WEBより引用
果たして、その虐待とはどういったものだったのでしょうか。
奈良の特養でどんな虐待が行われていたのか?
今回判明した虐待は平成28年までの5年間にわたって13件確認されており、その内容は以下の通りでした。
- 職員による暴言
- 顔をたたくといった暴行
- 頻繁に呼び出されるのを避けようとナースコールの電源を切る
- 補助的に設置した酸素吸入器の酸素がなくなった状態で放置する
入所者にとってナースコールは「安心コール」と言われます。
いくら頻繁に鳴らされるからといって、コールの電源を切るとは言語道断の行為ですね。
また、酸素吸入器の酸素がなくなった状態で放置するなんて、補助的なものとはいえ万が一のことが起こった場合に命を失う危険につながります。
そういった感覚が完全に麻痺してしまっていたのだと推測されます。
特養での虐待事件はなぜ発覚した?
特別養護老人ホームなどの老人ホームはどうしても閉鎖的になってしまうので、なかなか表面上に出てきにくい環境となっています。
今回発覚したのは県への通報によるそうです。
誰が通報したのかは明らかにされていませんが、もし職員が通報したのであれば、同じ介護の仕事をするものとしてまだ救われるなと思います。
虐待の現場を見て心を痛める職員がいた、ということですから。
しかし、家族様などの入所者の身内の方だったとしたら、かなり深刻だと思います。
なぜなら家族様は基本的に我慢される傾向にあるからです。
施設を利用している家族様の心境としては、「自宅で介護が難しいため、施設から出されてしまったらどうしよう」という不安や、「面倒を見てもらっているから、少々のことは仕方がない」ということから、引け目を感じて訴えることが難しくなってしまうのです。
そうであるにもかかわらず家族様が行動されたとしたら、よっぽどひどい状況がそこにあったと推測できますね。
上牧町の特養、施設の対応は?
施設を運営する社会福祉法人郁慈会は県の指導を受けて、次のようなコメントを出しています。
認知症の入所者の方に対応する中で、強い口調で接したり、手がぶつかったりすることがあった。指導を真摯(しんし)に受け止め、業務の軽減など職員がゆとりを持てるよう改善していきたい。
NHK NEWS WEBより引用
まとめ
数年前にも有料老人ホームを多数運営する法人の3か所の施設で、虐待が日常的に行われていたというニュースがありました。
また、今回ニュースになった社会福祉法人郁慈会のある奈良県上牧町の介護老人保健施設でも、以前入所者が虐待によって亡くなっていた、という事件がありました。
高齢者施設においての虐待はいつまで経ってもなくなりませんね。
同じ業界で働くものとしては、非常に心苦しいことです。
介護を提供する中で、施設ではよく利用者と1対1になる場面があります。
その中で職員の倫理観だけに任せるのは困難なのかもしれません。
監視カメラなどの目がないと、なくしていくことは難しいのかもしれませんね。
職員が虐待に手を染めることから守る、という意味でも必要と言えるのではないでしょうか。
今後の流れを見守りたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント
昨年11月に亡くなった祖母がショートステイで利用していました。昨年9月に2週間のショートステイの予定が、突然、立てなくなったと連絡が入り、迎えに行くと車椅子に乗せられていました。すぐに病院に行けば良かったのですが、家で様子を見てからにしようと思い、連れて帰った2日後に家で転倒し、救急車で病院に行くと左大腿骨の骨折でした。3年前は施設で転けたと言って病院に運ばれ、右大腿骨の骨折だったので、施設でヒビが入っていたのかも…結局、手術した夜に血栓が飛び、心筋梗塞と脳梗塞を起こし、2ヶ月入院して、再度心筋梗塞で亡くなりました。99歳を目前に施設に預けた事をどれだけ後悔したか、わかりません。聞くと、そんな人が沢山いるようで、頻繁に利用していたわけでは無いので、もっとよく調べれば良かったと、未だに後悔の日々です。ショートステイでもそんな状況なのだから、入所している人はもっと酷かったのかもしれませんね…
akariさん、コメントありがとうございます。
御婆様の件につきましては、お気持ちお察しします。
同じ介護サービスを提供するものとして、後悔の気持ちを抱かせてしまったことに対して、申し訳なく思います。
介護サービスがもっと信頼されるものとなるよう、日々頑張っていきたいと思います。
貴重なご意見、ありがとうございます。
これからも当ブログをよろしくお願いします。