【介護】利用者とのコミュニケーションの基本

介護のコミュニケーション

コミュニケーションの基本を知りたい介護職「介護にはコミュニケーションが不可欠。そのコミュニケーションの基本を知りたい。だってこれがないと介護職として始まらないんでしょ?だから基本を学ばないとって思ってるんだよね」

こんな疑問を解決します。

この記事の内容
  • コミュニケーションの基本がわかる
  • 言語以外のコミュニケーションの活用方法がわかる

こんにちは、せいじです。

介護業界で18年仕事をしています。

現在はセミナー講師として、接遇やコミュニケーションの取りかたなどの研修を、事業所向けに行っています。

さて、介護においてもっとも大切なのはコミュニケーション技術です。

人と人がなにも介さないでサービスを提供する、という特殊性により、コミュニケーションが大きな割合をしめます。

今後、介護業界にロボットが普及していくと思いますが、AIによってより人間に近い対応をロボットができるようになったとしても、やはり生身の人間と同じようなレベルには行かないでしょう。

ここは人間が担うべきところになってくるはずです。

というわけで、今回はコミュニケーションの基本としておさえておくべきことがらについて書いていきます。

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【介護】利用者とのコミュニケーションの基本

さて、コミュニケーションの基本の要素としては、次の通りになります。

  • コミュニケーションとは?
  • 傾聴・受容・共感
  • 自己開示

掘り下げていきます。

コミュニケーションとは?

コミュニケーションとはなんでしょう?

言葉の意味を考えると、意外と漠然ととらえていることがわかりますよね。

たとえば「会話をすること」と答える人もいるでしょう。

また、「アイコンタクトも立派なコミュニケーションだ」と言う人もいるかもしれません。

「同じ時間を共有するだけでもコミュニケーションになる」とも言えます。

では、具体的にコミュニケーションを表現するとどうなるか、次のような表現になります。

「コミュニケーション=相互理解」

コミュニケーションとは、ただ話しをしたり、かかわりをもつことをいうのではなく、お互いを理解すること、そのために行うこと、という意味になります。

なので、相手のことを理解しつつ、自分のことも理解してもらう目的で行うということですね。

傾聴・受容・共感

傾聴

コミュニケーションをはかるにあたって大切なことは、相手の話しにしっかりと耳を傾けることです。

これを傾聴と言います。

ただなんとなく相手の話しを聞くのではなく、相手の話しを積極的に聞く態度ですね。

なので、奥さんが一生懸命に話しをしているのに、だんなさんがうわの空で聞いている、結婚生活がマンネリ化した夫婦の会話とはちがうってことです(笑)

相手に対して、聞いてますよ!と積極的に示すのが傾聴ですね。

受容

次に、聞いた話しをありのまま受け止める、受容が大切です。

相手の話しに対して、良い、悪いを考えるのではなく、相手が話すままを受けとめることですね。

「いや、それはちがうんじゃない?」

と口をはさまないってことです。

これをされると、相手は話しを聞いてもらえたと感じることができなくなります。

逆に、せっかく話をしたのにわかってもらえなかった、聞いてもらえなかった、となるわけですね。

共感

最後に共感も大切な要素となります。

相手の話しをありのまま受けとめ、相手がその話しの中で感じている感情に寄り添うことです。

  • 腹が立った
  • 悲しかった
  • 悔しかった
  • つらかった
  • 嬉しかった

これら、相手が抱いた感情を共に感じることが共感になります。

「腹が立ったんですね」

「悲しかったんですね」

というように、相手が抱いた感情を感じるわけですね。

話しを聞いて、自分がどのように感じたかではないというのが注意点です。

ここでは、自分の価値観は邪魔なので、横に置いておく必要があります。

たとえば、

「ちょっと聞いてよ、今日こんなに嫌なことがあってさ。〇〇さんに〜されたのよ!」

「いやいや、そんなんでいちいち怒ってどうするの?」

これは話し手の話しを聞き手が自分の価値観で判断している例です。

これをされると、相手は話しをする気がなくなったり、自分の気持ちをわかってもらえない、話しを聞いてもらえない、というふうに思います。

「〇〇さんに〜されて嫌な気持ちになったんだね」と共感すると、相手は「そうなのよ。それでね・・・・」と話しを続けることができます。

世のだんなさんはこれができていないんですよね。

だから、話しを聞いているつもりなのに、話している奥さんはまったく聞いてもらえたと感じることができず、消化不良に終わってしまうわけです。

自己開示

コミュニケーションは相互理解なので、相手の話しを聞くばかりではいけません。

自分のことを知ってもらうために、自分を開く必要があります。

自分を開くとは、自分のことを相手に伝えることです。

人は自分のことばかり根ほり葉ほり聞かれると、身がまえるようになります。

なぜなら、奪われてばかりいる気持ちになるからです。

  • この人はなんの目的で聞くんだろう
  • 知った内容をどうするつもりだろう

そんな気持ちが生まれて、ありのまま話しをしてくれなくなります。

しかし、自分の情報を相手に伝えることによって、お互いを理解しあう、という目的が伝わります。

自分との関係性を深めようとしてくれている、と感じると、相手も安心して話しができるようになるのです。

ただし、自己開示が必要だからといって、自分ばかり話しをしてはいけません。

人は話しをしたい性質があるので、聞かされてばかりになるとしんどくなります。

また、そこに自慢話しが入ると、うんざりして聞く気が失せます。

上司の自慢話しが嫌われることからもよくわかりますね。

「そんなん聞いてないし、知りたくもないし」と思ってしまうのです。

なので、相手のことを理解しようと、という目的を忘れずに自分の話しを織り交ぜるようにしてください。

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言葉以外のコミュニケーションも活用する

コミュニケーションでもちいるのは言葉だけではありません。

非言語コミュニケーションがあります。

たとえば、次のようなものです。

  • 表情やしぐさ
  • 姿勢や態度
  • 服装、身だしなみ
  • 声のトーン
  • ボディタッチ

これらを有効活用しながらコミュニケーションをはかりましょう。

掘り下げていきます。

表情やしぐさ

人は視覚から入る情報に影響をうけやすい性質があります。

言葉よりも表情やしぐさのほうが相手の情報として影響を受けますよね。

たとえば、「ありがとうございます」という言葉を言われたとします。

  1. 笑顔で元気よく
  2. うつむき加減で小さな声

この2つでは、同じ「ありがとうございます」の言葉でも、受けとりはまったく逆になります。

1はよろこんでもらえたと思いますが、2では、よろこんでもらえていないと感じますよね。

このように、言葉よりも視覚から入ってくる情報のほうが影響が強くなるのです。

「目は口ほどに物を言う」という言葉がまさにそれです。

なので、相手に伝える際は、表情やしぐさに注意が必要ですし、大いに活用できる要素になるということですね。

この状況をあらわすものとしてメラビアンの法則というものがあります。

メラビアンの法則をわかりやすく解説【人への影響を自在に操る】

読んでいただけると、人がなににたいして影響を受けるかがわかっていただけると思います。

読んでいただけると嬉しいです。

姿勢や態度

姿勢や態度も視覚情報として相手に強い影響を与えます。

どれだけ好意的に接してくれている人でも、姿勢が崩れていたら横柄に感じたりしますよね。

たとえば、自分の話しを笑顔でうなずいて聞いてくれている人がいたとします。

でも、椅子の背もたれにもたれかかり、足を組んだ姿勢だとどうでしょう?

  • 「なんかえらそうだな」
  • 「自分のことを下に見てるのかな」
  • 「敬意を感じないな」

と思いますよね。

というわけで、相手の話しをきちんと聞いていることを伝えたければ、姿勢や態度もきちんとする必要があるということです。

声のトーン

視覚の次に人に影響を与えるのが聴覚です。

聴覚で得る情報としては、声のトーンなどですね。

「ありがとうございます」を次の2つの言いかたで聞くとどう感じますか?

  1. 元気にハツラツとした声で
  2. 小さなか声でボソッと

1だと、今日も元気そうだな、気分が良さそうだなと感じます。

2だと、なにかあったのか?体調でも悪いのか?と心配になります。

なので、声のトーンにも注意しましょう。

ボディタッチ

からだにふれることもコミュニケーションのひとつです。

ふれることで、相手をどう思っているかがを受けとられます。

やさしく丁寧にふれることで、

  • 大切にされている
  • 好意的に思ってくれている
  • 愛情を持ってくれている
  • 心配をしてくれている

と感じるでしょうし、雑なあつかいをされることで逆の受けとりになります。

また、背中や肩をポンっとたたくことによって、激励や励まし、期待といった気持ちを相手に伝えることもできます。

ボディタッチひとつとっても奥が深いですよね。

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まとめ

介護における利用者とのコミュニケーションの基本について書きました。

介護ではコミュニケーション技術が非常に重要になります。

なぜなら、介護は人が人と生身でかかわる仕事だからです。

また、コミュニケーション技術はとても奥が深いものです。

相手に伝えるとき、また相手からの発信に対して、人は言葉だけでなく、いろいろな要素から情報を得ようとします。

なので、自分の思いを相手にきちんと伝えるためには、あらゆる要素を活用する必要があるのです。

特に利用者は心に傷を抱えている人が多いです。

自分のからだが思うように動かなくなって、いままであたりまえにできていたことができなくなり、

それによって社会的な役割を失い、つらい経験をしているからです。

その気持ちを支え、もういちど前をむいてもらうためには、コミュニケーション技術が不可欠なのです。

ぜひ磨いていいただけたらと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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