介護のコミュニケーションを考える人「介護はコミュニケーション技術がもっとも大切だと習いました。移乗、移動、排せつや入浴、食事介助など、様々な技術がある中で、どうしてコミュニケーション技術が1番大切なんだろう?」
こんな疑問を解決します
この記事の内容
こんにちは、せいじです。
介護が他の仕事ともっともちがうところは、人が人に対してなにも介さないでサービスを提供する、ってことです。
なぜなら、介護は人の生活をあつかう仕事だからです。
たとえば、コンビニで買い物をするときは、コンビニの商品を目当てに行きます。
店員はコンビニの商品を販売することでお客さんに満足を提供するわけですね。
でも、介護は介護職そのものが商品なんです。
ここが介護の仕事の特殊なところです。
で、介護職が自分自身を届けるために大切なのが、利用者と理解し合うこと、つまりコミュニケーションということになります。
というわけで、今回は介護におけるコミュニケーション技術の大切さについて書いていきます。
介護におけるコミュニケーション技術の大切さ
介護におけるコミュニケーション技術の大切さ、これについて深堀りしていきます。
ひとつは人の生活を支援するうえで、お互いに理解しあうことが大切、と書きました。
もうひとつは、利用者の置かれている特殊な状況に理由があります。
というわけで、掘り下げていきます。
絶望している利用者に光を照らす
介護職がかかわる利用者は、みな日常生活に支援が必要な人ばかりです。
その中の多くの人が絶望的な気分でいます。
どうして?
それは次のような理由からです。
利用者は絶望的な気分
- 脳梗塞で障害が残り、もう治らない
- 施設に入れられた、家族に見放された
- 人の手を借りないと生きていけない状況
ほとんどの利用者が、ある日突然病気やケガによって、自分で日常生活が送れなくなった人です。
もしあなたがそのような状況になったらどうでしょう?
そんな残酷な状況に置かれた人に、「もう一度ここから自分らしい生活を取り戻そう!」と思ってもらわないといけないわけです。
なぜなら、気持ちが深く沈んでいる状態では、リハビリもなにもあったものじゃないからです。
リハビリは本人が回復したい、という意欲があってはじめて効果があります。
なので、介護職は利用者にコミュニケーション技術を駆使して、気持ちを立てなおすためにかかわる必要があるのです。
利用者が自立に向かえるように
つまり、介護保険法で介護に求められている「自立支援」をするためには、まず利用者が「自分が求める生活をしよう」と思ってくださらないと始まらないわけですよね。
「そんなのムリゲー、性もこんも尽き果てたわ」って状態で、周囲がどれだけアクションを起こしたってなんの役にも立ちません。
なので、まずは精神的な立ち直りの支援をしなければならないわけです。
繰り返しになりますが、そこで必要なのがコミュニケーション技術です。
病気や障害によって思うようにならなくなった身体
これまで担えていた役割ができなくなった状態
それでも、いかにその人に価値があり、大切な存在なのかを伝える
最終的に動き出すのはもちろん本人次第ですが、そこまでたどり着けるように支援するのが介護である、と言えます。
だから、介護にはいろいろな技術がある中でも、コミュニケーション技術がもっとも大きな割合を占めるんですね。
認知症の利用者に心の平穏を
また、認知症の利用者に対しても、コミュニケーション技術が不可欠です。
認知症の利用者は、常に不安の中で生きているからです。
そして、中核症状によって、生活に不都合を発生させます。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 理解、判断力の低下
- 実行機能障害
- 計算力の低下
- 言語障害(失語)
- 失行・失認
この中核症状への対応の仕方次第で、周辺症状が現れるのです。
つまり、認知症の利用者の行動にどう対応するかによって、その人が落ち着いて生活できるか、それとも周辺症状が現れるようなつらい状況になるか左右されるわけです。
認知症の利用者に寄り添ってコミュニケーションを図れば、落ち着いて生活できる可能性が高まるでしょうし、そうじゃなければ混乱の中に迷いこませてしまうってことです。
認知症については、別記事でまとめています。
ご覧いただけると嬉しいです。
認知症の周辺症状とは?【対応次第で症状を抑えることが可能です】
介護のコミュニケーションで大切なこと
さて、ここまでは、コミュニケーションの大切さについて書いてきました。
次はコミュニケーションをはかるうえで「大切なこと」を書いていきます。
傾聴、受容、共感
コミュニケーションで大切なことは、「相手に伝える」ことよりも、「相手の話しに耳を傾ける」ことです。
専門用語でいうと、傾聴することですね。
ただ単に聞くのではなく、相手の話しに耳を傾けて聴くことが大切です。
次に、相手の話しをありのまま受け止める「受容」をしなければなりません。
自分の価値観で相手の話しを判断したり、評価したりするのではなく、ありのまま、そのままを受け止めるのです。
そうすることで、相手は安心して話しができるようになります。
そして、相手の気持ちに共感するのです。
共感とは、相手がどのように感じているかを理解することです。
人は共感してもらえると
自分の気持ちを理解しようとしてくれている
わかってもらえる人がいる
と思え「話しを聞いてもらえた」と感じることができるのです。
話しを聞いてもらえると、自分が大切にされていると感じることができます。
自分に価値があるんだ、と感じられるようになるのです。
対人援助技術の基本原則として、バイスティックの7原則があります。
人の話しを聞く際にとても大切に技術になりますので、ぜひご覧ください。
非言語コミュニケーションの活用
コミュニケーションは言葉だけでするものではありません。
言葉以外の非言語コミュニケーションも大切なコミュニケーションです。
- 表情
- しぐさ
- 姿勢
- 身振り・手振り
- 声のトーン
これらも使って、私たちはコミュニケーションをしているのです。
「目は口ほどにものを言う」という言葉もあるぐらいですかからね。
なので、言葉だけでなく、からだ全体を使って相手に伝えるようにしましょう。
スキンシップも効果的
非言語コミュニケーションのひとつ、直接相手のからだにふれるスキンシップもコミュニケーションです。
相手のからだにふれることは、こちらのメッセージが強く伝わります。
なので、どのようなメッセージを伝えたいのか考えながら、からだにふれるようにしなければなりません。
丁寧に優しくふれることで、相手を大切に思っていることが伝わります。
逆に、雑にあつかうことで、大切にしていないことが相手にばれます。
まとめ
介護におけるコミュニケーション技術の大切さについて書きました。
コミュニケーション技術は、介護技術の中でももっとも重要です。
これをおざなりにして、良い介護はできません。
介護職としての自分の気持ちを利用者に伝えるために、また利用者の気持ちを理解するために、コミュニケーション技術をしっかりと身につけたいですね。
というわけで、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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