認知症の中核症状とは【介護をする上で理解が必須条件です】

認知症

認知症介護で必要なのは中核症状の進行を遅らせることと、周辺症状(BPSD)を抑えることです。

中核症状を理解しておくことで、進行具合の評価をすることができます。

記憶障害などは、薬の服用により進行を抑えることができます。

今回は、認知症の中核症状について書いていきます。

筆者のプロフィール

  • 高齢者福祉の経験17年
  • 現在は初任者研修、実務者研修の講師

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認知症と中核症状の種類

認知症の医学的な定義は次のようになっています。

認知症とは、脳の後天的な器質障害により慢性的かつ不可逆的に脳の認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態

不可逆的とは、元に戻ることがない、という意味です。

つまり、脳自体の障害によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたしてしまう状態で、元に戻ることはない、ということですね。

それにより起こる認知症の具体的な中核症状は次の通りです。

 

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断力の低下
  • 実行機能障害
  • 計算力の低下
  • 言語障害(失語)
  • 失行・失認

掘り下げていきます。

記憶障害

加齢による物忘れとは違い、認知症の疾患によって起こる記憶の障害です。

物忘れと認知症の記憶障害の違いを具体的な例としては、次のようになります。

  • 物忘れ:朝食に何を食べたか忘れてしまう
  • 記憶障害:朝食を食べたことを忘れてしまう

記憶障害では、記憶に必要な記銘力・保持力・想起力が低下します。

最近の出来事から記憶が失われるようになり、認知症が進行するにつれて昔の記憶も忘れていきます。

初期の段階では本人も忘れてしまっている自覚があり、なんとかつくろおうとします。

自分に異変が起こっていることが分かって不安にさいなまれ、混乱することもあります。

想像するととてもつらいですね。

見当識障害(失見当識)

見当識とは、時間と場所を認識する能力のことです。

見当識に障害を受けると、次のようなことが分からなくなります

  1. 自分のいる場所がわからない
  2. 家がどこにあるかわからない
  3. 時間がわからない
  4. 昼か夜かがわからない
  5. 季節がわからない

1と2の影響で、外出して家に戻ってくることができなかったり、徘徊といった行動が見られる場合があります。

3と4の影響で、昼に寝て夜に起きると昼夜逆転の生活になる可能性があります。

理解・判断力の低下

認知症では記憶障害によって、理解力、判断力も低下します。

理解力の低下により言葉の意味の理解も低下し、物事の判断もできなくなります。

その影響で次のようなことが起こりえます。

  • 自信の喪失
  • ひきこもり→寝たきり

自分に自信がなくなり、人と会うのが嫌になります。

それがひきこもりにつながり、運動機会がなくなって身体が衰え、寝たきりになってしまうリスクがあります。

周囲の人には本人の理解を否定せず、自信を喪失しないような配慮が求められます。

実行機能障害

実行機能障害とは、手順に沿って物事を行うことができなくなる症状です。

たとえば、調理などの食事の準備や、電化製品の操作の仕方がわからなくなるといったことが起こります。

スタートしてからゴールまで、順番に物事を追って行けなくなるのです。

計算力の低下

認知症の方は早い段階で数字の理解がむずかしくなります。

その結果、計算力が低下します。

レクリエーションで計算問題をやってもらうと顕著にわかりますが、それほど認知症がひどくないと感じる人でも、簡単な計算問題が解けなくなります。

目で見ても数字の理解ができないのです。

進行に伴ってさらにその症状は強くなり、買い物で支障が出ます。

計算できないので、なんでもかんでもお札で支払うようになり、小銭が増えていきます。

やたらと小銭を持つようになったら、イエロー信号だと捉えましょう。

言語障害(失語)

言葉を理解することがむずかしくなります。

音は聞こえていても、それが意味のある言葉として認識できないのです。

ですから、話をすることもむずかしくなります。

相手に伝えようと思っても、どのような言葉を使えばよいのかがわからないからです。

言葉を使って伝えるという行為ができなくなると、人間はかなりストレスを感じます。

これが原因で、非常に怒りっぽくなったり、イラついたりしやすくなる場合があります。

失行・失認

失行とは、行動ができなくなることを言います。

次のようなものがあります。

  • 着衣失行:衣服の着脱ができなくなる
  • 構成失行:図形が書けなくなる
  • 観念失行:複雑な動作ができなくなる

これらにより、日常的に行っていた動作が奪われていきます。

例えば、箸やスプーンを使って食事をするなどの行為ができなくなります。

失認とは、認識を失う症状です。

自分の身体の状態や、物に対する認識、などが認識できなくなるのです。

次のようなものがあります。

  • 視覚失認:目に入っていても脳が認識しない。鏡に映っている自分がわからないなど。半側空間無視という、自分の身体の片側だけ認識できない症状もある。食事時に右側もしくは左側だけ残す場合、といった場合、半側空間無視の可能性が高い。
  • 聴覚失認:音は聞こえているが、何の音なのかがわからなくなる。
  • 触覚失認:物に触れても、それが何なのかがわからなくなる。

半側空間無視の場合、歩行時に壁などの障害物にぶつかって、転倒や怪我をする恐れがあります。

周囲からは見えているように見えるので、対応が遅れる場合があります。

うまく誘導して、安全に配慮する必要があります。



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まとめ

認知症の中核症状についてまとめてみました。

2025年には65歳以上の認知症高齢者が700万人に達するのではないか、という試算もあります。

介護サービス従事者としては、認知症対応は必須業務と言えます。

まずは中核症状を理解して、どのような対応が必要かを把握しておきましょう。

そして、次に周辺症状に対しての理解と対応が必要になります。

近日中にアップ予定です。

そちらもぜひご覧ください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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