【認知症】介護のストレスを軽減する方法

認知症

認知症対応に悩む介護職「認知症の方の介護が苦手なんだよね。急に怒り出したり、現実の状況とは違うことを話したり、どう対応していいかわからなくなる。正直ストレスに感じている。良い対応方法を知りたい」

こんな悩みを解決します。

こんにちは、ハッピーアクトセミナー講師のせいじです。

現在は、主に介護のセミナー講師や初任者研修、実務者研修の講師をしています。

ざっくりとしたプロフィール

  • 特別養護老人ホームで介護職6年
  • 介護老人保健施設でケアマネ3年
  • 居宅ケアマネ4年
  • 施設管理職6年

詳細なプロフィールはこちらをどうぞ

この記事の内容

認知症利用者の理解とストレスを感じないようにする対応の仕方について書いています

介護職が苦労するのが認知症の利用者への対応です。

対応が不十分な現場に、深い認知症の方が入所されると、負担が急激に上がります。

それがストレスになり、介護の仕事が嫌になってしまう職員もいますね。

でも、正しい対応をすれば、周辺症状は抑えられ、穏やかに過ごしてもらうことができます。

しかも、実はそんなに難しいことをする必要はないのです。

今回の記事は、認知症利用者への対応で介護職がストレスに感じる理由と、対処方法について書いていきます。

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認知症を患った高齢者の状態

認知症を患った高齢者には、病気によって様々な症状が現れます。

その症状は、中核症状と周辺症状に分かれます。

  • 中核症状:認知症という病気が原因で出てくる症状
  • 周辺症状:周囲の環境や関わり方により出てくる症状

詳しく見ていきます。

認知症の中核症状と周辺症状の理解

具体的な中核症状は次のようなものです。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 理解・判断力の低下
  • 実行機能障害
  • 計算力の低下
  • 言語障害(失語)
  • 失行・失認
  • その他

下記の「認知症の中核症状とは」の記事に、それぞれの具体的な症状を記載しています。ぜひご覧ください。

 

具体的な周辺症状は次のようなものです。

  • 不安・心機状態
  • 強迫症状
  • 抑うつ状態
  • 幻覚
  • 妄想
  • 睡眠障害・昼夜逆転
  • 徘徊・帰宅願望
  • 暴言・暴力・介護拒否
  • 不潔行為
  • 収集癖
  • 異食行為

周辺症状についての記事もリンクを貼っておきます。

 

介護職の対応で周辺症状は抑えられる

繰り返しになりますが、中核症状は病気による物理的な脳の変化によるものなので、改善は困難です。

しかし、周辺症状はその中核症状に対する関わり方によって出てくる症状なので、改善することが可能です。

  • 穏やかな空間を作る(音環境も含む)
  • 利用者に関わる際の表情
  • 言葉をかける際の口調

この3つに注意することで、周辺症状を改善することができます。

真っ向勝負してはだめ!相手の世界を理解する

認知症の方は、中核症状にあるように、現状を正しく理解できなかったり、記憶できなかったりする病気です。

よく「昔に戻る」と表現しますが、自分の若かりし頃の記憶が甦り、その時代を生きている人もいます。

認知症の方にとってはそれが真実であり、リアルな世界なのです。

対応で一番のNGは、利用者にとってのリアルな世界を否定することです。

たとえば「子供を迎えに行かなければならないから、家に帰りたい」と帰宅願望を持つ方がいるとします。

その方に「あなたの子供はもう大人になっています。あなたが迎えに行かなくても大丈夫です!」

と言い聞かせたとしましょう。

それは、健常者にとってのリアルな世界を否定されているのと同じことなのです。

私たちもそのような対応をされたら、混乱しますよね?

以前大ヒットしたバックトゥザフューチャーという映画を思い出してください。

タイムマシンで過去に行ったら、過去に起こるべきだったことを主人公のマーティが邪魔してしまい、その影響で現在の世界も変わってしまうというお話しです。

  • 自分の家に帰ったら知らない人が住んでいる。
  • 担任の先生に話しかけたら「お前なんか知らない」と言われる。
  • 生きているはずの父が死んでいる

(3部作のうちのシリーズ1と2がごっちゃになっている感がありますが、そこは気にしないでください。認知症の方の置かれている世界をたとえたいだけなので)

認知症の方にしたら、現実世界を突きつけられるのは、バックトゥザフューチャーの世界なのです。

大パニックになるのが理解できますよね。

一体この世界でなにが起こっているのか?

自分がおかしくなったんじゃないか?

誰か理解してくれる人はいないの?

こんな時に認知症の方は周辺症状を悪化させます。

映画ではそんな状況でドクことエメットブラウン博士が現れます。

彼も主人公と同じ「現在」から来た人なので、マーティの気持ちを理解し、共に元の「現在」に戻すための方法を考えてくれます。

私たちは、マーティにとってのブラウン博士にならなければなりません。

つまり、認知症の方の世界を理解し、その世界での問題解決のために寄りそうのです。

介護職がしなければならないのは、利用者の世界を受け入れ、その上で気持ちが穏やかになれる対応をすることです。

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認知症対応で介護職のストレスを軽減する方法

認知症の方の対応で強くストレスを感じるのは、利用者の世界を理解しようとしないからです。

認知症の方を理解することで、周辺症状を抑え、介護職もストレスを軽減することができます。

穏やかな空間を作る

認知症の方は環境に対して敏感になります。

慌ただしい環境や、物音が気になるような空間だと、落ち着かなくなるのです。

また、新しい環境に馴染むのも苦手ですね。

認知症により、適応能力が低下してしまうからです。

ですから、その方の居室にこれまで使い慣れた家具を置くとか、音環境に配慮するなどの対応が必要です。

利用者の目に入るところでは、介護職は慌ただしく動かないようにしましょう。

笑顔で余裕のある動きをすることで、利用者は落ち着いて生活することができます。

 

表情に注意する

認知症を患っている方は、記憶障害によりものごとをすぐに忘れてしまいます。

しかし、表情の記憶は残りやすいと言われています。

人が人から一番影響を受けるのは、視覚情報、つまり表情や態度、しぐさです。

介護職が険しい表情で利用者に接すると、怖いなどの記憶が残り、介護拒否や介護抵抗につながります。

忙しい時や入浴介助といった負担の大きい業務の際は、つい表情が険しくなってしまいがちです。

意識して表情を穏やかにしましょう。

言葉がけに注意する

人が影響を受ける要素は、視覚情報の次に聴覚情報、つまり声のトーンや口調です。

認知症の方に声をかけるとき、口調に十分注意してください。

また、声の大きさにも配慮が必要です。

穏やかな口調、程よい声の大きさで話しをしましょう。

あと、言葉をかける際には利用者の視野に入り、目線を合わせて行うようにしましょう。

利用者が座ったり、寝ている姿勢の状態で、介護職が立ったまま声をかけると圧迫感を感じます。

私たちも同じですが、認知症の方はなおさらその圧迫感を不快に感じます。

きちんと視線の高さを合わせ、穏やかな表情で声をかけるようにしてください。

 

認知症利用者の世界に寄りそう

認知症は、現実の世界をきちんと認知できない病気です。

ですから、現実にはそぐわない言動が見られます。

記憶は新しいものから阻害されていき、昔の記憶は比較的保たれます。

若い時に戻ってしまうのは、若い時の記憶が保持されているからです。

人は自分が見ている世界が事実だと思っています。

ですから、認知症の方にとっては、認知症の方が見ている世界が事実なのです。

それに対して、現実世界の事実を押し付けても、何も解決しません。

むしろ認知症の方の混乱を招き、さらに周辺症状が悪化するだけです。

介護職は、利用者が今見ている世界に寄り添い、不安や不快な感情を取り除けるような対応をしなければなりません。

そうすることで利用者は問題から解放され、穏やかに過ごすことができるのです。

認知症の方も健常者も、してほしいことは同じ

つい認知症の方に対して、特別なかかわりが必要と構えてしまいがちですが、実はそうではありません。

認知症の方も、そうでない方も、困った時にしてほしい対応は同じです。

つまり、問題解決に向けて助けてほしいのです。

自分の気持ちを理解し、寄り添ってほしいのです。

唯一の違いは、それが事実かそうでないかということだけです。

しかし、事実も人の受け取り方によって異なりますよね。

同じものごとが起こっても、人によって受け取り方は様々です。

対人援助の場合、事実がどうであるかよりも、その人がどのように受け取り、どのように困っているかが重要なわけです。

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まとめ

認知症を患った方への対応について書いてみました。

対応方法がわからず、ストレスを感じてしまう介護職は多いです。

しかし、認知症の方を特別扱いするのではなく、悩みや問題を抱える人として向き合いましょう。

普段、自分の大切な方が困っていたら、相談に乗りたいと思いますよね。

そして、できるなら一緒に解決してあげたいと思うはずです。

認知症の方へも同じように接してください。

その方が抱えている問題や悩みにフォーカスするのです。

そうすればなにも難しいことではなくなりますよね。

というわけで、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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