バイスティックの7原則には自己覚知が不可欠【重要です】

バイスティックの7原則

感情コントロールに悩む援助者「バイスティックの7原則を使って対人援助をするためには、自分の感情をコントロールする必要があるよね。感情をコントロールするってとてもむずかしいと思うんだけれど、できるようになるために、なにか良い方法がないかな。話しを聞きながら感情をコントロールする方法があれば知りたい」

こんな疑問を解決します

この記事の内容

  • 自己覚知ってなに?なぜ必要なの?
  • 自己覚知する方法

対人援助技術の原則として、バイスティックの7原則があります。

活用するためには、自分の感情をコントロールする必要があります。

これがなかなかむずかしいんですよね。

なぜなら、私たちは感情動物であり、いろいろなことに影響されて感情が動くからです。

今回の記事は、感情をコントロールしながらバイスティックの7原則を活用できるようになる方法を書いていきます。

結論としては、自分がどのようなことに感情が動かされるかを知る、自己覚知が重要です。

なお、バイスティックの7原則の解説については、下の記事をご覧ください。

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自己覚知ってなに?なぜ必要なの?

自己覚知とは、援助をする際に、自分の考え方や価値観による先入観、偏見などが入らないようにするために、自分自身を理解しておくことです。

自己覚知が必要な理由をまとめます。

 

  • 自分の価値観で人の話しを受け止めてはいけない
  • 主観で受け止めると感情が動く
  • 客観的と他人事の違い

掘り下げていきます。

自分の価値観で人の話しを受け止めてはいけない

対人援助をする際は、自分の価値観で人の話しを考えてはいけません。

なぜなら、対人援助とは、相手の価値観や感情に寄り添い、その人自身が結論を導き出せるように支援することだからです。

バイスティックの7原則が謳っているのも同じくです。

しかし、人はだれしも自分の価値観で考えてしまいがちです。

そこで、自分がどのような価値観を持ち、どのようなことに感情が動くのかを、あらかじめ知っておく必要があるのです。

目的は自分の感情の動きにいち早く気づき、それを横に置いておくためです。

たとえば、相手の話しを聞いているときに「その考え方はちがう」と思ったとします。

しかし、それは自分の価値観であって、相手の価値観ではありません。

ですから、自分の「違う」との考えを横に置いて、相手の考えに寄り添いながら話しを聞くよう努めなければならないのです。

主観で受け止めると感情が動く

人が感情的になるのは、主観で受け止めているときです。

自分事に対しては敏感に受け止め、それに対して感情が反応するようになっているのです。

たとえば、「私はあなたが嫌いです」と言われたら、感情が動きますよね。

怒ったり、悲しんだり、不快に感じたりといった心の動きが出ます。

これは自分事として自分にベクトルが向いて、自分の主観で感情が動くからです。

しかし「私はあの人が嫌いなんです」と自分とはあまりかかわりのない第3者の人の話しを聞く時は、あまり感情が動きません。

「どうしてそう思うの?」と、自分ではなく相手にベクトルを向けることができます。

このように、対人援助する際は、どんな話であっても客観的に聞く必要があるのです。

客観的と他人事の違い

客観的にとらえるのと、他人事のようにとらえるのとは違います。

他人事は自分にベクトルが向いていて、自分に関係があるかないかで考えています。

そして、自分に関係がなければ興味を持たず、傍観者になります。

客観的にとらえるとは、自分の考えではなく、いろんな角度から物事をとらえて考えることです。

つまり、自分自身の立場や価値観から考えるのではなく、自分の価値観を横に置いて、物事の全体をとらえて考えること、になります。

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自己覚知する方法

自分の価値観がどのようなものかを自己覚知する方法を書いていきます。

まとめると次のようになります。

 

  • 自分が許せないと思うことを書き出す
  • 若い女性と水夫の物語のワークをする

掘り下げていきます。

自分が許せないと思うことを書き出す

自分が「これだけは許せない」とか「これだけは怒りを感じる」といった事柄を書き出していきます。

自分の価値観がどのようなものかを、客観的にとらえるためです。

たとえば次のようなことです。

  • 相手から挨拶しない
  • 1分でも遅刻する
  • きちんとした敬語が使えない
  • 提出物の期限を守らない
  • 字が汚い
  • 気がつかない
  • 掃除が不十分
  • 整理整頓ができていない

このように、自分がされたり、その環境にいるとイライラしたり、怒りを感じるような事柄を書いていきます。

これらの事柄は、対人援助する際、自分の感情が動きやすい事柄になります。

しかし、自分がイライラしたり、怒りを感じることを、他の人も同じように感じるわけではないと理解してください。

ですから、それらは自分の価値観として、横においておかなければなりません。

人が「整理整頓はしたくない」と言ったときに、「それはおかしい。整理整頓しないと生活が不便じゃないか」と反論するのではなく「整理整頓をしたくない理由はなんですか?」と相手にベクトルを向けるようにするためです。

余談になりますが、許せないことが多ければ多いほど、あなたはストレスを感じやすい人生を送っているはずです。

水夫と若い女性の物語のワークをする

自己覚知のワークとして有名なのが「水夫と若い女性の物語」です。

この物語を使うと、自分がどのようなことに価値を置いているのかが垣間見えます。

そして、それがどのような経験からきているのかも、なんとなく気づくことができます。

また、個人ワークをした後でグループワークをすると、人それぞれいろいろな価値観があることを理解することができます。

具体的な進め方を説明していきます。

  1. 物語を読む
  2. 個人ワークで好感の持てる順位と理由を書く
  3. 4人ぐらいのグループになり、グループとしての順位を決める(ルールとして多数決はなし。必ず話し合い、メンバー合意のもと順位をつける)

まずは個人ワークです。

物語を読み、5人の登場人物に対して、好感が持てる順番に順位をつけ、その理由を書いていきます。

次に、4人1組のグループに分け、グループとしての順位をつけます。

グループ分けについては「老若男女バランス良く配置されたグループにする」のがポイントです。

できるだけバラけるようにしましょう。

そして、順位をつけるルールとしては、「多数決はなしで、話し合いをしてメンバーが合意すること」です。

後日、詳しい解説記事を書いていきます。

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まとめ

バイスティックの7原則を活用するために必要な、「自己覚知」について書きました。

自分がどのような価値観を持っていて、どのようなことに感情を動かされるのかを知ることは、非常に大切です。

仕事において対人援助をするときだけでなく、親、兄弟、友人、会社の同僚など、すべての人間関係を良くしていくために、活用できます。

自分のことを客観的に見る機会は、普段ほとんどないですよね。

ですから、こういったワークを通じて、自分を知ることが大切なのです。

そこに意識を向けることに慣れてくると、普段から自分の感情の動きをリアルタイムで感じられるようになります。

そうすれば、冷静に相手の状態も見ながら話しがしやすくなるはずです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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