バイスティックの7原則における需要の原則について知りたい。対人援助をするにあたって、非常に重要だと思うけれど、受容するのはなかなか難しい。コツを知りたいな。
こんな疑問を解決します
こんにちは、せいじです。
今回は、対人援助技術の基本原則であるバイスティックの7原則の中の、受容の原則について書いていきます。
筆者である私の簡単なプロフィールは次の通りです。
この記事の内容
あるがままを受け入れる受容の原則ですが、実践するのは慣れとコツが必要ですね。
なお、バイスティックの7原則については【対人援助技術】バイスティックの7原則をわかりやすく解説をご覧ください。
受容の原則についてわかりやすく解説
バイスティックの7原則における受容の原則について、わかりやすく解説していきます。
まとめると次のようになります。
- あるがままを受け止める
- 自分の価値観を挟まない
- 相手の話しを遮ったり、否定しない
掘り下げていきます。
あるがままを受け止める
受容の原則とは、相手の話しをあるがまま受け止めることを指します。
受容とは、読んで字のごとく「受けて容れる」ことだからです。
たとえば、乾いたスポンジがすぐに水を吸い込んでしまうように、そのままを受け容れてしまわなければなりません。
物を入れる容器のように、相手をあるがまま、丸ごと自分の中に容れるイメージですね。
自分の価値観を挟まない
援助者はクライエントの話しに対して、なにも足さず、なにも引かない姿勢で聞かなければなりません。
それがあるがままを受け容れることになるからです。
自分の価値観によって、クライエントの話しを聞き、自分なりの捉え方をしてはいけないということです。
人は自分の価値観を誰もが持っています。
その価値観を意識せずに話しを聞いてしまうと、無意識のうちに自分の価値観を通して話しを聞き、解釈してしまいます。
こうなると、相手の話しをあるがまま受け入れることはできません。
ですから、自分がどのような価値観を持っているか、先に自分自身が把握しておかなければならないのです。
相手の話しを遮ったり、否定しない
あるがまま受け入れるためには、相手の話しを遮ったり、否定してはいけません。
遮ったり否定するということは、自分の価値観によって相手の話しを判断していることになるからです。
たとえば、クライエントがAという判断をしようと悩んでいたとします。
援助者の価値観ではAという判断は間違い、と感じても、クライエントの判断を否定してはいけません。
援助者がすべきなのは、クライエントがAという判断に対して、考えを深められるように支援することです。
そして、クライエントの考えによって、Aを選択するのか、別の選択肢を考えるのかを決断できるように導いていかなければならないのです。
受容の原則を実践するコツ
普段、私たちは主観で話しを聞いています。
人としては当たり前のことですが、そのままではクライエントの話しを受容することはむずかしくなります。
無意識のうちに自分の価値観を通して話しを聞いてしまうからです。
ですから、クライエントの話しを受容するために、準備が必要です。
ポイントとしては次の通りです。
- 自分の価値観を知る
- スイッチを作る
- セルフトークで相手の感情を呟きながら聞く
- 第三者である、もうひとりの自分を作る
掘り下げていきます。
自分の価値観を知る
クライエントの話しを受容するためには、自分の価値観を知っておく必要があります。
クライエントの話しを聞いていると、援助者の価値観に基づいていろいろな考えや感情が浮かんでくるからです。
話しを聞く際に、自分の価値観をまったく通さない、ということは不可能です。
しかし、自分がどのようなことを「良い、悪い」と判断するのか、どのようなことを大切にしているのかを知っておくことで、自分の中での反応に対してあらかじめ準備することができます。
そして、クライエントの話しを聞きながらセルフトークを行い、自分の価値観による考えをフラットにしていくのです。
たとえば、私は体育会系で育ってきたので、先輩に対しての言葉遣いや、立てるという文化が価値観として強くあります。
これをしない人に対して「先輩に対して失礼だ!」と感情が動きやすいところがあります。
しかし、それは私の価値観であって、クライエントの価値観ではありません。
ですから、自分がそのような価値観を持ち、その話しが出た時に感情が動きやすい、ということを把握したうえで、クライエントの話しを聞く必要があるということです。
そうすれば、自分の感情に振り回されることなく、クライエントの話しをありのまま受容することができます。
スイッチを作る
クライエントの話しをフラットに聞くために、自分流の切り替えスイッチを持っておくと良いと思います。
そのスイッチによって、自分の中で話しを受容する意識に切り替えるのです。
たとえば、次のような方法が考えられます。
- 話しを聞く場所を決めておく
- ノートとペンを用意して聞く
- 深呼吸して心を落ち着ける
- 話しを聞く際の服装を決めておく
自分の中で、話しを聞く前に必ずする行動を決めておく、とか、ユニフォームを決めておくと、気持ちが切り替えやすくなります。
ノートとペンを用意するのは、重要事項を書き留めることで、クライエントの話しに意識を向ける効果があるからです。
また、クライエントに対して、ノートとペンを用意することによって、真剣に聞こうとしている姿勢を伝えることができます。
セルフトークで相手の感情を呟きながら聞く
クライエントの話しをフラットに聞くコツとして、話しを聞きながらクライエントの感情を心でつぶやくという方法があります。
クライエントの感情に意識を強く向けることによって、援助者自身の感情への意識を低下させる効果があります。
話しを聞いているとき、つい自分の感情が動いてしまうことがあります。
そうならないように、クライエントの感情の起伏に意識を向けるのです。
第三者である、もう一人の自分を作る
4つ目の方法は、クライエントと援助者である自分が話しをしているのを、第三者として見守っている自分を作る、という方法です。
援助者自身を客観的に見ることによって、自分の感情をとらえ、気づけるようになります。
イメージとしては、自分の中からもうひとつの人格を取り出し、クライエントと援助者とで三角形を作った位置に置く感じですね。
自分の表情や姿勢、振る舞い、口調や声のトーンなどを外から見ているようにイメージしてクライエントの話しを聞くと、客観的な視点が持てるようになり、感情をコントロールしてありのまま受容できるようになります。
すぐにうまくいかないかもしれませんが、常に意識しておくようにすると、そのうち自然にできるようになるはずです。
まとめ
バイスティックの7原則の中の受容の原則について書きました。
クライエントは自分が話す内容に、不安を抱えていることが多いです。
こんな話しをしたら、マイナスに思われるのではないか?「あなたが間違っている」と否定されるのではないか、といったことが頭に浮かんできて、ありのまま話しをすることをためらいがちです。
援助者が丸ごと受け止める姿勢を見せることで、安心して話しができるようになります。
ですから、表情やしぐさ、口調にも十分に注意して、ありのままを受け容れるように、そしてそれがクライエントに伝わるようにしましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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