バイスティックの7原則の中で、個別化の原則を詳しく知りたい。普段の生活の中での活用方法も知りたいな。
こんな疑問を解決します
こんにちは、せいじです。
今回は対人援助技術の原則、バイスティックの7原則の中の個別化の原則について書いていきます。
この原則によって、私は施設長時代にスタッフとの関係性を作ってこれたと思っています。
この原則のおかげで、50名のスタッフがいる施設で、年間退職者が14名から2名にまで減少しました。
つまり、利用者に対してだけでなく、チームのリーダーとして人をまとめていくためにも活用すべき原則と言えます。
筆者のプロフィールはこちらをご覧いただけると嬉しいです。
この記事の内容
バイスティック7原則は、対人援助技術の基本的原則です。
その中の個別化の原則をわかりやすく解説していきます。
個別化することで、クライエントの問題点を正しく理解でき、信頼関係を築くことができます。
バイスティックの7原則の個別化の原則をわかりやすく解説
クライエントは唯一無二の存在である
バイスティックの7原則の個別化の原則は、クライエントが他の誰でもなく、唯一無二の存在であると捉えなければならない、ということです。
人は誰しも「大勢の中の1人」ではなく、「個人」と扱われることで、重要感を感じるからです。
たとえば、研修に参加して質問されたとします。
その際に講師から「前から3番目の人」と呼ばれのと、「○○さん」と名前で呼ばれるのとでは、受け取り方が違いますよね。
名前で呼ばれた方が、講師が自分に重要感を置いてくれていると感じます。
また、上司から頼まれごとをする際に、「手が空いている○○さん、お願いできる?」とまるで他の人でもできるようなニュアンスで言われるより、「○○さんだからお願いしたい」「○○さんにしか頼めない」と、自分にしかできないんだ、と感じるように言われた方がモチベーションが上がりますよね。
同じように、話しを聞く際も、相手をその他大勢とひとまとめにしないで、個人と捉えることが必要だ、という原則です。
クライエントと同じ問題は存在しない
クライエントを個人として捉えるのと同様に、クライエントが抱える悩みも、唯一無二のものであると捉えなければなりません。
年齢も性別も置かれた環境も同じ人が、まったく同じ問題に直面したとしても、問題の捉え方は全員異なるからです。
捉え方が異なる理由は、価値観が違うからです。
人は自分の価値観を通して物事を判断します。
価値観は過去の経験や体験によって作られます。
この世にまったく同じ価値観を持つ人は存在しません。
なぜなら、まったく同じ体験、経験をしてきた人はいないからです。
ということは、問題の捉え方もすべての人で違うということです。
たとえば、毎日10km歩いている人からしたら、5km歩くのは楽ちんです。
しかし、2kmしか歩かない人が、5km歩くのは大変ですよね。
この違いのずれによって、クライエントが捉えている問題の大きさと、援助者が捉える問題の大きさがずれてしまうのです。
ですから援助者は、問題の大小よりも、クライエントがその問題をどう捉えているかにフォーカスしなければなりません。
よって、問題の内容は同じでも捉え方は人によって違うため、唯一無二の問題として考えなければならないということです。
個別化の効果
これまでのまとめになりますが、個別化の原則に基づいて支援することによって、次のような効果が得られます。
- クライエントの問題が正しく捉えることができる
- クライエントとの信頼関係が構築できる
目の前にいる人を、唯一無二の存在であると捉え、その方が抱えている問題は、この世に一つしかない問題である、と考えなければならない、ということですね。
バイスティックの7原則、個別化の原則の活用事例
相手の話しは相手のもの
よくあるケースとして、クライエントが悩みを話しているのに、援助者がその話を取ってしまう、ということがあります。
援助者が「自分も同じような経験をしたことがあるよ」と語り出してしまうのです。
クライエントとしては「自分の話を聞いて欲しい、自分の気持ちをわかって欲しい」と思って話をしているのに、話しの途中で援助者に自分の体験談を語り出されてしまうと、話しを聞いてもらえない、と感じてしまいます。
問題の捉え方はクライエント個人によるものであり、援助者が同じ経験をしていたとしても、捉え方が違うということを理解しておかなければなりません。
「あなたの気持ちがわかる」は禁句
クライエントの話しを聞いたときに、自分同じような経験をしていると、つい「自分もおなじような経験をしたことがあるので、あなたの気持ちがわかるよ」と言ってしまいがちです。
しかし、繰り返しになりますが、同じ問題でも、人によって捉え方は異なります。
たとえば、クライエントにとってその問題が100のボリュームで感じることであったとしても、援助者にとっては50の問題かもしれません。
つまり、援助者が分かっているのは、50の問題として感じている状況ということになり、クライエントの思いとずれてしまいます。
そのうえで「わかるよ」と言われても、クライエントにすれば「全然分かってくれていない」と感じてしまいます。
その人の気持ちはその人にしかわからない、という前提で、相手が抱えている気持ちを理解するのではなく、共感することが求められるのです。
まとめ
バイスティックの7原則のうちの個別化の原則について深掘りしてみました。
同じような境遇にある人や、同じような問題を抱えている人でも、人間である以上価値観が異なるため、捉え方が違う、との理解を持っておかなければなりません。
そうでないと、問題の理解や、クライエントの信頼を得ることができないからです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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