介護事故の原因となる3つのリスク要因【最重要です】

介護事故

介護現場に事故はつきものだって言われているよね。どうやっても防ぎようがない事故があるって。そんな事故にも原因ってあるのかな?防ぎようがないんだから、原因もないんだろうか。

こんな疑問を解決します。

この記事の内容

介護事故の原因となる3つのリスク要因の解説と、それを用いて事故防止の原因を究明する方法について書いています。

介護の現場では「事故はつきもの」と言われます。

たしかにすべての事故を防ぐことはむずかしいでしょう。

しかし、事故にはすべて原因があります。

そして、介護事故を防ぐためには、原因の究明がもっとも重要になります。

なぜなら、正しい原因にたどり着けなければ、正しい対策は立てられず、事故を減らすことができないからです。

逆に、原因をしっかりと導き出し、適切な対策を立てることができれば、限りなく0に近づけていくことができるはずです。

今回の記事は、介護事故の原因を明らかにしていきます。

介護事故の種類や定義、種類別のランキングについては、下記の記事をご覧ください。

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介護事故の原因となる3つのリスク要因(3分類)

介護の事故の原因につながるリスク要因は、3つに分類できます。

3つのうちのいずれか、もしくは複数が要因となって、事故につながっているということです。

その3つの要因とは、次の通りです。

 

  1. 利用者側にあるリスク
  2. 介護者側(介護職)にあるリスク
  3. 環境に潜むリスク

掘り下げていきます。

利用者側にあるリスク

介護を受ける利用者が持つリスクのことを指します。

まとめると次のようなことがらです。

  • 身体状況(ADL、IADLなど)
  • 認知面
  • これまでの生活歴(生活習慣含む)
  • 既往症、現病歴

身体状況(ADL、IADLなど)

利用者の身体状況からくる事故のリスクです。

下肢筋力、移動の方法、排せつ、入浴といった日常生活動作や、電話、買い物、などの手段的日常生活動作の状態把握が必要です。

日々の体調によって変化する場合があるので、普段の状態を把握したうえで、変化に対して気づきを持たなければなりません。

認知面

認知症の有無や、認知症の種類、深さ、それが日常生活に及ぼす影響によるリスクです。

現在の状態と中核症状を把握しておくことにより、病気の進行に気づくことができます。

これまでの生活歴(生活習慣含む)

利用者の価値観や性格、日々の生活習慣によるリスクです。

把握しておくことにより、利用者の行動を予測することができ、事前にリスクを排除することができます。

既往歴・現病歴

これまでかかった病気や、現在抱えている病気によるリスクです。

病気により、普段注意しておかなければならないポイントをおさえておくことで、重篤な状況になる前に対応することができます。

介護者側(介護職)にあるリスク

介護を提供する介護者側、つまり介護職側にあるリスクのことを指します。

まとめると次のようなことがらです。

  • 介護者の経験・知識・技術
  • 身体の状態
  • 心の状態
  • 組織上の問題

介護者(介護職)の経験・知識・技術

介護職の経験や知識、技術の不足からくるリスクです。

介助の能力や、観察力、気づきの力、情報を共有するための記録や伝達力、コミュニケーション力なども含まれます。

介護職全員が同じ能力を持っているわけではないので、職員ごとの能力をお互いに把握し、必要時は補い合う必要があります。

身体の状況

介護職の身体の健康状態もリスクになります。

持っている疾患や腰痛、風邪やインフルエンザといった感染症、疲労、睡眠不足などからくる集中力の低下などが該当します。

自己管理が大切な部分ですが、こちらもチームのメンバーが状態を把握して、補い合うことでリスクを軽減することができます。

心の状態

介護職の心の状態、つまり精神状態からくるリスクです。

仕事、プライベートからの影響に関わらず、ストレスによる精神状態の乱れはリスクになります。

人を支援することは、メンタルヘルスが大きく影響します。

時には自分自身が潰れてしまったり、他者に向いて虐待に走ってしまうことも考えられます。

職員の言葉や行動、仕事の状況など、精神状態が表れるようなことがらに注意を払い、上司が面談をしたり、メンバーがフォローすることでリスクを減らすことができます。

組織上の問題

組織上の問題とは、たとえば最低限の介護職が確保できているか、事故の情報共有システムが整っているか、など、チームが円滑に機能するために必要な状態になっているかどうか、というリスクです。

これが不足していると、介護職1人ひとりの能力が高くても、チームは円滑に機能せず、リスクが高くなってしまいます。

逆に、システムによって個人の能力を補うこともできます。

環境に潜むリスク

介護を行う環境にあるリスクのことを指します。

まとめると次のようなことがらです。

  • 住環境
  • 家具など
  • 動線上
  • 日常生活用具類(福祉用具)

住環境

住環境については、騒音、段差、床などの素材、死角の存在がリスクとして考えられます。

騒音は認知症の利用者の精神状態に影響を及ぼします。気分がすぐれなくなったり、落ち着かなくなり、転倒などのリスクとなります。

段差は施設であればバリアフリーが基本となっているので、あまり影響がないかもしれませんが、自宅やデイサービスであれば、リスクになります。

床の素材については滑りやすさや硬さが影響してきます。

畳の目の向きなども注意する部分ですね。

住環境や、次に出てくる家具については、長くその場所にいると慣れてしまって、リスクに気づきにくくなります。

たとえば、小さな段差があったとして「今まで一度も転倒事故が発生したことがないから」という理由で放置されてしまい、転倒が起こった時に初めて「もっと早く手を打てたのに」といったことが起こりえます。

それを防ぐためには、定期的に外部の目を入れて、チェックしてもらうことが有効です。

普段働いている人にとっては当たり前になっていたことがらに、気づかせてもらうことができます。

家具など

家具などでは、テーブルや椅子が利用者の身体に合っているかどうか、テーブルの角などでけがをする恐れがないか、などが該当します。

テーブルや椅子の高さは、転倒や転落だけでなく、食事の際の誤嚥リスクにつながります。

最近は小柄な高齢者向けの椅子や、高さ調節できるテーブルが増えてきましたが、元々椅子は西洋の文化で、西洋人の体格に合わせた高さで作られていました。

日本の一般家庭で広く使われるようになったのは明治以降です。

一般の商品は膝下40㎝のものが多いのですが、日本人の高齢者だと34~38cmぐらいなので、合わないのです。

テーブルの高さも、多くの施設では高すぎる傾向にあります。

きちんと座って腕をテーブルに乗せた時に、肘の角度が90度になるのが理想です。

動線上

動線上というのは、移動する経路に障害物があるかないかです。

物だけではなく、たとえば床が濡れて滑りやすくなっている場合も考えられます。

移動する前に、動線になにもないか、誰もいないかをチェックする必要があります。

日常生活用具(福祉用具)

日常生活用具については、杖が身長に合っているかなどの適切な使用の有無と、先のゴムがすり減っていないかといったメンテナンス、破損する恐れがあるほど老朽化していないか、といったことがリスクになります。

在宅の利用者であれば、福祉用具貸与に該当する物は業者が定期的にメンテナンスしてくれますが、施設の物品やT字杖は貸与ではないため、自分たちで管理しなければなりません。

T字杖のゴムは100円均一でも購入でき、簡単につけかえることができるので、定期的に交換することをお勧めします。

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介護の事故防止の要、原因の究明方法

ここまでは、介護事故の原因につながる3つのリスク要因について書きました。

次に実際に事故が起こった時に、どうすれば事故の原因を突き止められるかを書いていきます。

 

  • 事故報告書の活用
  • ヒヤリハットの活用
  • 事故防止の勉強会の実施

掘り下げていきます。

事故報告書の活用

1つ目は事故報告書の活用です。

事故報告書は事故が起きた際に記録をする書類ですが、事故が起きた原因を記載する欄があるはずです、

この原因の部分を、あらゆる角度から検証し、充実させていくのです。

転倒事故を例にすると、原因に「利用者がつまずいたから」では不十分です。

これではただ客観的事実を書いているにすぎません。

  • なぜつまずいたのか?
  • 予見できるような情報は?
  • なぜ事前に手を打てなかった?

事故の原因、要因を突き止める上では、3つのリスクに当てはめながら掘り下げていくことが必要です。

ヒヤリハットの活用

2つ目は、ヒヤリハットの活用です。

ヒヤリハットとは、事故にまで至らなかったけれど、文字通り「ヒヤリ」や「ハッ」としたことがらのことを指します。

たとえば、利用者が歩行中につまずいたとか、歩行が極めて不安定な人が、ひとりで立ち上がり歩こうとしていた、といったことです。

介護事業所では、ヒヤリハットを記録しておくことになっています。

実際に転倒事故が起きた時に、この事故に至るまでに予見できることがらがなかったかどうかを振り返りましょう。

予見できるような内容が以前に起こっていたとしたら、転倒に至る前に手を打てた可能性があるということです。

なぜその情報を活用して、転倒を防止できなかったのかを分析する必要があります。

事故防止の勉強会の実施

3つ目は、事故防止の勉強会の実施です。

事故の原因を掘り下げる方法を、チームメンバーと共有しましょう。

全員が正し原因究明を行えるようになれば、事故はおのずと減っていきます。

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まとめ

介護事故の原因となる3つのリスク要因と、それを活用した事故の原因の究明方法について書きました。

原因を突き止めることは、事故を防ぐためにもっとも重要なことです。

この力をつけることができれば、事故の数を大幅に減らすことができます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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