介護現場の事故対応でおさえておくべきポイントとは

介護事故

正しい介護事故が起こった時の対応を知りたい。介護事故が起こった場合、初期対応がとても大切だと言われているよね。初期対応次第で施設の信頼が左右されると思っているんだけれど、どんな対応をすればいいんだろう。

こんな疑問を解決します。

この記事の内容

介護事故の対応について、不適切な対応と、正しい対応をするためのおさえておくべきポイントについて書いています。

こんにちは、ハッピーアクト介護のセミナー講師、せいじです。

高齢者福祉の業界で17年、介護職、施設&居宅ケアマネ、老健、特養、有料老人ホームの管理業務に携わってきました。

さて、介護の施設で事故が起こった場合、初期対応が非常に重要です。

適切な対応ができるかどうかで、施設への信頼度が変わってきます。

ここを失敗すると施設の信頼は損なわれ、最悪の場合は訴訟に至ることがあります。

しかし、きちんとした対応ができれば、逆に「なにかあってもきちんと誠実に対応してくれる施設」と信頼度が上がります。

この記事では介護現場で事故が起こった場合、適切に事故対応するためのポイントをわかりやすく書いていきます。

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介護の事故対応の悪い例

この記事では利用者の転倒を発見した場合を例に書いていきます。

現場で事故が起こった場合の不適切な対応をまとめると次のようになります。

 

  • 利用者への対応がきちんとできない
  • 家族への連絡がきちんとできない
  • 行政への報告がきちんとできない

掘り下げていきます。

利用者への対応がきちんとできない

転倒事故が起こった場合、まずするべきことは次の通りです。

  • 意識の有無
  • 外傷の有無
  • 痛みの有無

これらのことが適切にできていないと、二次災害が発生したり、クレームにつながったりします。

ひとつずつ内容を確認していきます。

意識の有無

意識があるかないかで、身体へのダメージの大きさが変わります。

意識がない場合は緊急対応として、救急車の手配に動かなければなりません。

あとは呼吸の有無、心肺停止していないかどうかの確認が必要になります。

緊急対応が必要な場合は、心肺蘇生などの応急処置を実施しつつ救急車の到着を待ちましょう。

看護師など、医療の専門職の判断を仰ぐまでは、発見した体制から大きく動かすことなく待つ必要があります。

外傷の有無

外傷があり、出血がひどい場合は、止血をする必要があります。

傷にガーゼなどを当て、その上から圧迫することで、多くの場合止血することができます。

出血がない場合は、本人に確認したり、本人からの確認が難しい場合は、発見した時の状況から打っている場所を推測して、異常がないか確認します。

赤くなっていたり、皮下出血になっている場合があります。

痛みの有無

痛みの有無、痛みがある場合はその程度を確認します。

痛みがひどい場合は、骨折の恐れがあります。

できるだけ動かしたり負担をかけないようにしましょう。

家族への連絡対応がきちんとできない

家族への連絡で不適切なケースとは、次の通りです。

  • 連絡が入っていない
  • 連絡が遅い
  • 説明がきちんとされていない
  • 誠意がない

事故があった際、家族への連絡ができていないと、信頼を損なうことになります。

たとえば、なんの連絡もなく面会に来て、利用者の事故を知るとなると「なぜ連絡をくれなかったのか」と不信感につながります。

また、連絡が遅いことも不信感につながる可能性があります。

連絡をすぐに入れられなかった理由がなにかあるのではないか、と思うからです。

きちんとした説明ができない時も、不信感につながりますね。

なにか隠しているのでは?とか、やましいことがあるのでは?と思ってしまうからです。

あと、誠意を感じられない伝え方も、家族の気持ちを悪い方向に持っていってしまいます。

まるで人ごとのような伝え方であったり、利用者本人の責任であって、自分たちに責任はない、というような伝え方をした場合ですね。

ですから、伝え方にも配慮が必要です。

行政への対応がきちんとできない

介護の事故が起こった場合、事故の種類や程度によって、行政への報告が必要になります。

行政への対応で不適切なケースは次の通りです。

  • 必要な事故報告書を提出していない
  • 期限までに事故報告書を提出していない
  • 事故報告書と実際の事故の内容に違う点がある

報告義務がある事故の種類や程度などは、行政によって異なります。

このルールに則って、きちんと報告できていないと、行政からの信頼が損なわれます。

また、行政によって違いはありますが、事故報告の期限も定められています。

この期限も守らないと、不信感につながります。

報告書がきちんと出されていても、実際の事故の内容と異なったところがあると、信頼の低下につながります。

たとえば、施設で事故があって、施設の対応に納得できなかった利用者の家族が行政に相談に行ったとします。

その際に、きちんと行政に報告していないと、行政は対応に苦慮することになります。

そして、報告義務を果たしていない事業所に対して、不信を感じます。

なにか報告できない理由でもあるのか、と思いますよね。

そうならないように、報告義務のある事故については、必ず期限内に報告するようにしましょう。

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事故が起こった場合の対応

介護現場で避けられない事故というのはあり得ます。

事故が起こった場合、クレームや家族、行政の信頼を損なわないために、押させておくべきポイントをまとめます。

 

  • 家族対応でおさえておくべきポイント
  • 行政対応でおさえておくべきポイント

掘り下げていきます。

家族対応でおさえておくべきポイント

家族対応で押さえておくべきポイントは次の通りです。

  • 事故の報告は速やかに行う
  • 事故の状況は包み隠さず報告する
  • 結論から伝える
  • 不満に対しては真摯に受けとめる

事故の報告は速やかに行う

現場で事故が起こった場合、速やかに家族に報告しなければなりません。

なぜなら、時間が空けば空くほど、家族は不審に感じるからです。

たとえば、午前中に転倒事故があったとします。

特に外傷もなく、痛みもなかったために、家族への連絡が後回しになったとしましょう。

夕方ごろ痛みが出てきて、病院の受診が必要となった場合、その時点で家族に連絡することになります。

家族はどう思うでしょう?

病院の受診が必要になったから事故の連絡をしてきたけれど、もし病院に行く必要がなかったら、施設は事故のことを報告しないつもりだったんじゃないか?という不信感が生まれますよね。

ですから、些細な事故であっても、速やかに家族に連絡しなければならないのです。

事故の状況は包み隠さず報告する

事故の状況は包み隠さず報告しましょう。

報告にはなく、後日新しい事実を知ることになると、家族は不信感を感じざるを得ません。

ですから、きちんと伝えられるよう、事故報告書に事前にまとめるなどの準備をしてから伝えるようにしましょう。

結論から伝える

家族が事故の報告を受けた場合、まず知りたいのは利用者が無事かどうかです。

ですから、まず結論から伝えるようにしましょう。

たとえば次のような感じです。

本日○○時頃、Aさんが居室で転倒されました。痛みや傷などはなく、今のところお変わりなく過ごされています。(事故の詳しい内容)

先に事故の詳細から話しをすると、家族からしたら一番聞きたいことが気になって、内容が入って来なくなります。

ですから、必ず安否から伝えるようにしてください。

不満に対しては真摯に受け止める

もし報告した際に、事故が起こったことに対して家族が施設への不満を訴えたとします。

その場合は、不満に対しての説明はせず、まず家族の話しを聞きましょう。

そして、家族の思いを受け止めましょう。

仮にこちらの否が少なかったとしても、途中で説明することで家族としては言い訳に聞こえてしまいます。

しかし、とことん家族の気持ちに寄り添って話しを聞くと、「起こったことは仕方がない」「施設もできるかぎりのことをしてくれているんだと分かっている」との気持ちが出てきます。

説明をするのは、このように家族が聞ける状態になってからにしましょう。

行政対応で押さえておくべきポイント

行政対応で押さえておくべきポイントとしては、次の通りです。

  • 定められている事故報告書のルールを守る
  • 事故報告書に事故の詳細を漏れなく書く

まずは決められた事故報告をきちんと行わなければなりません。

これについては当たり前ですね。

行政は介護保険の保険者として、家族が安心して介護保険を使ったサービスを受けられるようにしなければなりません。

ですから、施設に対しても、家族が安心できるサービスの提供を求めます。

その一方で、避けられない事故があることも理解してくれています。

ケースによって、施設の都合を代弁してくれることもあるのです。

しかし、報告をきちんと行なっていないと、行政は家族に説明のしようがありません。

ですから、家族の言い分を一方的に聞くしか無くなってしまうのです。

報告義務を怠っているのは施設側なので、致し方無いですね。

その辺りを十分理解して、きちんと報告するようにしましょう。

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最後のポイントとまとめ

介護の現場で事故が起きた際に取るべき対応のポイントをまとめました。

最後に書いておくと、もし施設に否がなくても、謝罪はしましょう。

これは、施設に責任があって事故が起こった、という意味ではなく、家族に不安な思いや心配をかけてしまった、という意味でです。

交通事故などの時によく「謝罪したら罪を認めることになるから、仮に自分の方が悪くても謝罪してはいけない」と言われたりしますが、保険会社の方から聞くと間違った考え方だそうです。

謝罪しようがしまいが、事故の責任の比率は変わることはないとのことです。

逆に自分に否が大きい場合、謝らないことで大ごとになるケースが多いんですね。

人間ですから、きちんと誠意を持った態度でなければ「こらしめてやろう」という気持ちが強くなるのは当然です。

ですから、介護で事故があった場合も、家族の思いを考えて、つらい思いをさせた、という意味で謝罪の気持ちを伝えましょう。

その方が利用者のことを考えて対応していることが伝わるはずです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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