現場の施設ケアマネジャー不要論とその理由【でも必要です】

ケアマネジャー

施設ケアマネジャーって本当に必要なの?仕事っていっても事務所で来客や電話の対応をしたり、ケアプランを作るために座ってパソコン作業してるだけでしょう?あんまり仕事ないんだったら、介護職として仕事をしてもらった方が、利用者のためになると思うよ。

こんな疑問を解決します。

この記事の内容

  • 施設ケアマネジャーが不要とされる理由
  • 施設ケアマネジャーがいないデメリット

「施設ケアマネジャーは不要ではないか」という意見は、以前からありました。

実際に介護職と兼任している施設もあります。

なぜそのような議論が起こるのか、そして実際にいなくても施設介護に影響はないのかを書いていきます。

個人的な結論としては、利用者の自立支援をするためには、ケアマネジャーは必要です。

施設ケアマネジャーの役割や具体的な仕事については下記の記事をご覧ください。

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施設ケアマネジャーが不要とされる理由

介護の現場からの意見として、施設ケアマネジャーが不要とされる理由は次の通りです。

  • なにをやっているのかよくわからない
  • 現場に来て利用者を見ない
  • プランが実状と合っていない
  • 介護をしたほうがよっぽど意味がある

掘り下げていきます。

なにをやっているのかよくわからない

現場から施設ケアマネは必要ないのでは?という声が出るのは「施設ケアマネがフロア以外でどんな仕事をしているのかがよくわからない」ということがあげられます。

フロアでは利用者と少し話しをして、すぐに事務所に戻ってしまうからかもしれません。

しかし、施設ケアマネの仕事は多岐にわたります。

フロアで利用者や各専門職とやりとりをすることも大切な業務ですが、それ以外にも必要な仕事があるのです。

そのひとつに事務所での来客や電話への対応の仕事があります。

ご家族が面会に来た際に、窓口で真っ先に迎え、利用者の様子などを伝えつつコミュニケーションをはかるのです。

この目的は、施設とご家族との信頼関係を作るためです。

たとえば利用者が転倒などの事故や、体調を崩していたとします。

もちろん事前にご家族に状況を連絡しますが、施設に様子を見に行った際に、すぐに施設ケアマネが出てきて「心配をかけて申し訳ないです」という声をかけるのと、そうでないのとでは、ご家族の印象が変わります。

そのような対応をすることで「利用者本人、ご家族の気持ちを考えて対応してくれているんだな」と伝えることができるでしょう。

普段から信頼関係を構築できていれば、万が一の場合でも不信感につながったり、大きなクレームになることを防ぐことができます。

電話についても、利用者の様子を聞きたいご家族から電話が入ったり、行政からの問い合わせに対応したりしています。

しかし、この部分はなかなかフロアで働く介護職員からは見えないところとなります。

現場にきて利用者を見ない

「施設ケアマネは利用者の生活を見に来ない」という声があります。

事務所で座ってばかりで、フロアにあがってこない、という意見ですね。

だから利用者のADLや必要な介護を理解できていない、ということになります。

介護職にとってはここが一番大きいかもしれません。

利用者にかかわらずして、どうやってケアプランが作れるんだ、ということになるからです。

また、アセスメントを通して施設ケアマネジャーに情報を伝えていますが、それだけでなくきちんと状態を見てほしいと思うのが介護職です。

それをしない施設ケアマネに対しては不信感を感じることになります。

プランが実状と合っていない

ほとんどフロアにあがらず、利用者と直接のかかわりを持たないでケアプランを作成すると、しばしば実情とそぐわないものになる可能性があります。

各専門職からのアセスメントだけですべてを把握することは無理があるからです。

なぜなら、各専門職はすべてのことを記載することができません。

忙しい中で書類を作るわけですから、必要最低限の情報にとどまってしまうケースが多いのです。

それをもとにケアプランを作成すると、実状とのずれが発生してしまうのです。

普段、あまりフロアで利用者にかかわらず、ケアプランが実状にもそぐわないものだと、介護職員のケアマネに対する不信感は増すことになります。

その上でケアに対して意見を言われたときには「利用者のことを知らないのに口出ししないで」という気持になるでしょう。

介護をしたほうがよっぽど意味がある

介護職からしたら、ただでさえ人手が足りない中であるため、ケアマネジャーが現場に入って介護の仕事をした方がよっぽど意味があると思っています。

ここでも施設ケアマネージャーの仕事がよくわからないことが理由にあげられます。

裏を返すとケアプランが実際の介護に活用されていないということになります。

その理由は2つ考えられます。

  • 介護職員がケアプランの重要性を理解していない
  • 施設ケアマネジャーの作るケアプランが利用者の実状と合っていない

ひとつは介護職員がケアプランの重要性を理解していないケースです。

介護職員がケアプランの重要性を理解していないのであれば、利用者に提供しているものは自立支援に向けた介護ではなく、単なるお世話になっている可能性があります。

もう一つは施設ケアマネージャーが作るプランが利用者の実状と合っていないケースです。

これは施設ケアマネジャーの利用者の把握不足、アセスメントからの課題、ニーズの抽出不足が考えられます。

施設ケアマネージャーが作っているプランが利用者の実状に合っていない場合は、施設ケアマネージャーの存在意義が問われても仕方がないと言えます。

 

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施設ケアマネジャーがいないデメリット

では、仮に施設ケアマネジャーをなくしてしまった場合、どのようなことが起こるでしょうか。

以下にまとめてみました。

  • 利用者の課題・ニーズが抽出できない
  • 自立支援に向けた介護ができない
  • 客観的に各専門職を見てマネジメントする人がいなくなる

掘り下げていきます。

利用者の課題、ニーズが抽出できない

施設ケアマネジャーがいないと利用者の課題やニーズが抽出できません。

ケアマネージャーは介護職やその他の専門職から集めたアセスメントと、施設ケアマネジャー自身が行ったアセスメントをもとに分析し、課題・ニーズを抽出します。

その際には、ケアマネの研修で習得した課題分析の方法を用います。

アセスメントについても、必要な項目が決まっていて、それに基づいて課題分析をするようになっています。

つまり、専門職であるケアマネジャーが、適切な項目を用いたアセスメントから課題・ニーズの抽出を行えば、利用者の求める生活に向けた支援となるケアプランが作成できるようになっているのです。

自立支援に向けた介護ができない

施設ケアマネジャーがきちんとしたケアマネジメントを行わないと利用者の自立支援はできません。

利用者が自立するための課題やニーズが抽出できないからです。

ケアマネジメントがきちんと機能しないと介護職の現場は目の前の困りごとに対応するだけになります。

たとえば、排せつ行為に介助が必要な利用者に対して、どこができて、どこができないか、そして、そのような支援をして排せつ行為の自立を目指していくのか、という支援ができないのです。

これではただのお世話になり、介護を提供していることにはなりません。

専門職の連携を作る人がいなくなる。

専門職は自分の専門分野から利用者を分析します。

介護職は生活を支援する専門職として利用者を分析しますし、セラピストは利用者の身体機能や認知機能の維持向上の専門職として利用者を支援します。

専門職がそれぞれが違った角度から利用者を分析することになるため、施設ケアマネジャーは課題を抽出し、その解決のためにつなげていく必要があるのです。

その役割を担っている施設ケアマネジャーがいなくなるということは、専門職をひとつのチームにして支援することができなくなるということです。

下手をすると各専門職がバラバラに利用者を導いてしまい、利用者が混乱することも起こりえます。

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まとめ

鈴木のマネージャー不要論に対して記事を書いてみました。

施設の支援の質が高いものになるかどうかという点について、施設ケアマネージャーの役割は非常に重要といえます。

ですから、施設ケアマネジャーが不要というのはまちがいということです。

しかし、施設ケアマネジャーが本来の役割を担えていないというケースもたくさんあります。

実地指導対策の書類作成ばかりして、実際に利用者の自立支援に向けたケアプランが作られていないというケースですね。

このような仕事であれば、施設マネジャーが不要だと思われても仕方がないといえます。

この意見の裏にあるのは、もっと施設ケアマネジャーがスキルを上げていく必要があるということではないでしょうか?

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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