介護職から施設ケアマネジャーに転職したよ。でも、介護職や他の専門職との連携がなかなかうまくいかないんだよね。利用者に必要なサービスを求めているだけなのに、現場は忙しい、ってなかなか取り合ってくれない。ケアマネとして相談できる相手もいないし、けっこう孤独な仕事だよね。どうやったらうまくいくかなぁ。
こんな悩みを解決します。
この記事の内容
ケアマネの試験に合格すると研修が待っているわけですが、そこでの内容はほとんどが居宅ケアマネとしてのもので、施設ケアマネの内容は少ないです。
ですから、施設ケアマネは実際の仕事の中で、なにが正解か悩むんですよね。
今回は研修では教えてくれない施設ケアマネジャーの悩みと解決方法を書いていきます。
施設ケアマネジャーの仕事や役割については、下記の記事をご覧ください。
施設ケアマネジャーの悩み
施設ケアマネジャーとして実際に私が直面した悩みを元に書いてきます。
悩みを以下のようにまとめてみました。
- 施設ケアマネの仕事は楽だよね
- だったらやってみてくださいよ(介護職)
- ケアマネのくせに専門職の仕事に口出すな!
- 同じ思いを共有できる人がいない・・・・
掘り下げていきます。
施設ケアマネの仕事は楽だよね
介護職からすると、ケアマネの仕事はとても楽に見えます。
なぜなら、事務所に座って仕事ができるから(笑)
その時点で「ケアマネ=楽な仕事」にうつるんですよね。
私が介護職をしていたときも、施設ケアマネには、ふだん事務所でえらそうに座って、たまに現場に来たと思ったらいろいろ口出しするうっとおしい人、という印象を持っていました(笑)
だったらやってみてくださいよ!
アセスメントからニーズ、課題を導き出し、この方向でサービスを提供しよう!と打ち出しても、なかなか行動してくれない介護職・・・・。
なんとか日中の習慣に取り入れてもらえない?とお願いするも「こんなに忙しいのにできるわけないでしょう!だったらケアマネがやってくださいよ」と返ってくる・・・・。
ここでやってしまうと最後、いつのまにかケアマネの仕事になってしまって、介護職はしらんぷりなんてことになります。
これでは継続的なサービスにならず、ケアマネジメントの仕事にも支障が出ます。
専門的な知識がないのに口出ししてくるんじゃない!
看護師やリハビリのセラピストから出てくる意見ですね。
すべての人ではないですが。
しかし、彼らにはプライドがあります。
介護福祉士や介護支援専門員の資格とくらべて、自分たちの方が価値のある資格を持ち、価値のある仕事をしている、というプライドです。
だから、言い方をまちがえると、ケアマネごときがなにを口出してくるのか、という反発になります。
上司の理解がない
施設ケアマネジャーは、実地指導のときにも指摘されないよう、書類をしっかりまとめておく仕事、だからケアプランの内容はどうでもいいから、とりあえず書類がそろっている状態にしておいてくれ、と考える管理者のかたもいます。
そうなると、できるだけケアマネ業務は簡略化して、現場に入ったり、他の雑用の仕事をしろよ、ってことになります。
これではケアマネジャーとしてのやりがいを失ってしまいかねませんよね。
同じ思いを共有できる相手がいない・・・・
施設ケアマネは100人の利用者に対して1人の配置なので、施設に1人しかいないことがほとんどです。
ですから、自分と同じ立場で、同じような悩みを共有できる人がいないのです。
相談員が近い立場なのでわかりあえるところもありますが、すべてではありません。
それに、直近まで介護職をしていた人が施設ケアマネデビューすると、今まで同じ境遇の人がたくさんいたところから1人になってしまうので、かなり孤独を感じるのではないでしょうか。
とはいえ周囲の目は施設ケアマネとして見てくるので、自分にその気はなくても特別な形になってしまいます。
精神的なタフさが求められますね。
施設ケアマネの悩み 解決方法
上記に書いた施設ケアマネの悩みに対して、解決方法を書いていきます。
- 介護保険法を熟知する
- ケアマネジメントをみがく
- ご本人、ご家族に施設を理解していただく
- マネジメントをする立場である理解
- 地域の交流会に参加する
掘り下げていきます。
介護保険法を熟知する
現場の介護職や看護師、セラピストの多くは、介護保険法をあまり把握していません。
ケアマネジャーとしてはここが強みとなります。
自分の施設がどのような規定をされているのか、介護保険法をしっかりと把握し、必要な時にそれをかみくだいて伝えられるようにしておきましょう。
そうすれば「自分たちがわからないところを理解している職種」ということで、施設ケアマネとしての立場を確立することができます。
たとえば「なぜこの書類が必要なのか?なくして手間を省くことはできないか?」と現場で疑問があがったときに、その書類がどのような根拠法にもとづいて運用されているかを説明するのです。
根拠法さえしっかり把握していれば、どこまで削減できるかがわかります。
現場の負担軽減にひと役買えるようにもなります。
また、施設の管理者に対しても重宝される存在になることができます。
そうなれば、自分が思うような仕事がやりやすくなります。
ケアマネジメントをみがく
ケアマネジャーは、本職であるケアマネジメントをみがき、現場で使えるケアプランを作成することが必要です。
ケアマネの専門性をスタッフが感じるようになると、ケアマネとして認められるようになります。
利用者に対するプランが実状とずれていると、介護職などから「ケアマネジャーはご利用者を見ていない、書類を作成すればよいと思っている」と受け取られてしまいます。
ですから、最低限、共通認識ができていることがわかるレベルのケアプランが必要です。
理想は、アセスメントからしっかりと分析してニーズを導き出し、ご利用者の自立支援、自己実現に向けてサービスが実施されるようなプランをつくれることですね。
有志の勉強会に参加したり、定められているケアマネの研修に参加し、専門職としての技術を磨いてきましょう。
ご利用者、ご家族に施設を理解していただく
ご利用者、ご家族に、施設のあり方をご理解いただくことで、周囲の信頼を得ることができます。
介護職からしたら、事故を起こしてご家族に責められたり、万が一、訴訟問題になったりしたらどうしよう、という不安があるからです。
最近はご利用者、ご家族の権利意識が以前とくらべると強くなってきています。
中には「施設に入れば絶対に転倒することはない」と思っておられるご家族もおられます。
そんな中で、転倒リスクに過剰になり過ぎて、スタッフが疲弊してしまうこともあるのです。
過剰な「スピーチロック」につながってしまうということもあります。
ですから、介護職が安心してご利用者を支援できるよう、ご家族に対して施設のあり方をきちんと説明し「ご利用者の生活を守った上での安全確保になるため、全力はつくすが絶対に転倒することはない、ということは約束できない」ことを理解してもらうのです。
そうすることで、介護職と施設ケアマネジャーの信頼関係が深まります。
マネジメントをする立場である理解
施設ケアマネジャーは、各専門職の連携をつくり、利用者に必要なサービスが提供できるようにしていく仕事です。
ですから、マネジメント能力が求められます。
各専門職に対して、自分はマネジメントする立場であることを理解し、専門的な意見にしっかりと耳を傾けるようにしてください。
そして、わからないところがあれば素直に教えを乞うようにしてください。
そうすれば、各専門職から信頼を置かれ、施設気マネジャーとしての意見に聞く耳を持ってくれるようになります。
地域の交流会に参加する
施設ケアマネは孤独になりやすい職種です。
なぜなら施設にひとりしかいないため、仕事での悩みを理解しあえる人がいないからです。
悩みを相談したい場合は、地域の専門職の交流会に参加するのをおすすめします。
同じ施設ケアマネジャーが集まる会をさがし、そこに参加するのです。
そして、悩みを相談してみるといいですね。
同じ境遇で悩んでいる人もいるはずですし、すでに解決できた人もいるかもしれません。
くれぐれもひとりで抱え込んで、精神的につぶれないようにしてください。
まとめ
施設ケアマネジャーが直面しやすい問題と、そこからの悩み、そしてその解決方法について書きました。
サービスの連携、調整役を担う施設ケアマネとしては、各専門職から信頼を置いてもらえるようになることが重要です。
そのために必要となることがらをまとめてみました。
最初はなかなかむずかしいでしょうが、積み重ねていくことによって周囲の目はちがったものになるはずです。
専門職としての力をみがき、その他の専門職からの意見をしっかりと吸い上げるようにしていけば、おのずと関係性はよくなっていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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