介護職による虐待の被害者の多くは認知症で女性だとのことですが、その他にも特徴がありますか?また、なぜ対象となりやすいのでしょうか?
こんな疑問を解決していきます。
この記事の内容
介護職による虐待の被害者となる利用者の特徴と、その理由を書いていきます。
サービスを提供するうえで、傾向を把握しておき、自分が加害者にならないよう十分に意識することが必要です。
介護職による虐待の被害者はどんな人か?
介護職による虐待の被害者の特徴は以下の通りです。
そして、虐待の内容は次の通りとなっています。
掘り下げていきます。
なぜ虐待の被害者のうち、認知症のかたが8割なのか?
認知症のかたは、なにかあっても正しく記憶しておくことができませんし、記憶に残っていたとしても、他者がわかるように表現することができません。
そして、仮に自ら訴えることができたとしても「あの人は認知症だから、きっとまちがって認識しているのだろう」という先入観から、信じてもらえない状況にあります。
また、認知症は状況を正しく認知できない病気です。
ですから、食事を食べたのに「まだ食べていない」と繰りかえし訴えられたり、「家に帰りたい」と精神的に不安定になったりします。
介護職のかかわり方によっては暴力的になったり、暴言をはいたりといったことが起こりえます。
思うように理解していただけない状況だと、つい介護職も感情的になることがあります。
通常は理性によってコントロールするのですが、相手が認知症のかただと、仮に介護職が手を出したり、暴言をはいたりしても、他の職員に知られないかぎりばれることはありません。
ですから、つい理性がきかなくなって、利用者に暴力をふるったり、暴言をはいたりしてしまうのです。
そして、いちどタガがはずれてしまうと、おさえがきかなくなってしまいます。
繰りかえし虐待がおこなわれると、気がつけば常態化していて罪の意識も薄れていきます。
その結果、介護職の心の中に芽生えるのは
「こちらの言うことを聞かない利用者が悪い」
「これだけ大変な思いをさせられているのだから、多少の暴力は許される」
という自己弁護です。
こうなると、虐待が発覚するまで自分をとめられなくなる可能性があります。
80歳以上の女性が虐待の被害者になりやすい理由
虐待の被害者に女性が多いのは、男性に比べて腕力などの身体能力が低いからです。
80歳以上の高齢者が被害にあっているのも、同様の理由からですね。
虐待をするにあたって、加害者は発覚するのをおそれます。
男性で若く、腕力が強い利用者だと、暴力や暴言によって相手が怒った場合に、反撃にあう可能性があります。
また、直接攻撃を加えなくても、大声を出したり、暴れたりされる可能性があります。
その場合、周囲になにかあったんじゃないかと勘ぐられるおそれがあります。
しかし、身体能力が低いとその心配がありません。
加害者は、抵抗できず、反撃もしてこないであろう利用者を選んで標的にするのです。
かなり卑劣な行為と言えますね。
要介護3以上の人が虐待にあいやすい理由
要介護3以上の認定を受けているかたというのは、下記の状態にあるかたです。
すべてあてはまると要介護4や5になりますし、身体はとても元気だけれど、認知症が深くて会話が成立しない人もいます。
虐待の被害者になりやすいのは、認知症が深く、身体能力も低いかたになります。
80歳以上の女性が被害にあいやすいのと同様、要介護3以上になると、身体能力が低下して反撃にあうリスクが減ります。
また、認知症が深いと、被害を訴えることができませんし、訴えても理解してもらえません。
ですから、どうしても虐待の対象となりやすいのです。
まとめ
介護職員による虐待の被害者になりやすい利用者の特徴と、その理由について書いてみました。
まとめると、認知症が深く、身体能力が低下している女性のかたが被害にあいやすいということになります。
加害者側の介護職からすると、虐待が発覚する可能性が低く、まともにコミュニケーションがはかれないため、つい自分の感情がコントロールできなくなり、虐待に及んでしまうということですね。
要は弱者が虐待にあいやすいということです。
そのようなかたを対象に暴力をふるったり、暴言をはいたりするというのは、人間性をうたがいたくなるところですが、特殊な人が起こすことではない、というのがこわいところです。
介護職のだれもが、過度のストレスや、認知症の利用者に対して適切に対処できる知識や技術をもっていないと、虐待におよんでしまう可能性があるということです。
肝に銘じておく必要がありますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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